ハロウィンの夜に
俺の名はきゃらを15歳になる。
この時代は自分が石を投げた距離だけ
土地を与えられた。
その与えられた大地を自由に栽培し
生計を立てる。それが15歳になる男子は
元服して行われる
だから俺達はずっと
幼少期は石投げをしていた
隣国との戦争があるとき
男たちは総出で戦うのだが
屈強な男をつくるために
王様が考えた政策だ
俺には友達がいたゴガーとヒタペンだ
3人でいつも石投げをしていたが
3年前からはヒタペンは
一緒に石投げはしなくなっていた
それでも石投げ意外の時は
野をかけまわり星を眺め
要するに散々遊んだ悪友だった
俺たち15歳になる男子は
今、皆一列に広大な大地の前で並んでいた
いよいよ土地が分け与えられる
ゴガー、ヒタペン、俺の順番で石を投げる
ゴガーの腕前は知っている
他の子と比べても遥かに飛距離がある
きっと将来は俺と同じで
広大な大地を得て奥さんを3人くらい貰い
悠々自適に暮らすのではないか?
早速、試験官がゴガーに石を渡す
『緊張してミスするなよー』
そうはっぱをかけてやる
緊張して本来の力を発揮できないことを
防ぐには少しだけいじわるな
ジョークをいってやるのが一番良い
日常を思い出させリラックスさせることだ
ゴガーは投げた。
その石は飛びに飛んだ。
歴代最高記録がでた
『やったなぁーゴガー!!』
だが俺も自信はある。
次はヒタペンの番だった
正直ここ3年、ヒタペンとは石投げを
一緒にしていないからわからない
ヒタペンは腕を何かで覆っていた
でも明らかに人体の腕にしては違和感があり
こんもりしていた。
「お前のそれはなんだ?」
試験官が尋ねた
「なんでもありません。投げますね」
下手糞か!
試験官に強引に腕をまくられると
バネのようなものが腕にまかれていた
「お前これ、インチキじゃないか!」
「いえ、違います。私の腕です」
下手糞かっ!!
彼は試験官に引っ張られながら
連れていかれて
そのまま腕に巻かれたバネを没収された。
しかし投げる事は許された
土地が貰えなかったら
死を意味するようなものだからな
俺とゴガーが腕を鍛えていた間
彼はインチキで得をしようとしていたのだな
見そこなうよヒタペン
この2年石投げをしていなかったのか
ヒタペンの飛距離は驚くほど惨めだった
これではぎりぎり自分1人食わせるのが
精一杯で嫁さんももらえるかもらえないか
その残念さに試験官も哀れに思ったのか
一応、その腕につけるバネのような
器具をつけて投げてみろと提案された
それを認めるかどうかは王次第だが
単に腕っぷしだけではなく
そういう悪知恵も大事だと
評価されるかもしれないとのことだった
器具が許されたヒタペンは
生気を取り戻してもう一度投げた
が、結果は危惧をつける前より
75%減で飛ばなかった
どんだけだ、どんだけだヒタペン
それがヒタペンの公式記録になった
かわいそっ
俺は素直にそう思った。
次は俺の番だ
ゴガーが歴代最高記録をたたき出した
そのゴガーといつもいい勝負で
どちらかといえば俺の方が勝率が高い
もちろん、石の形状なども微妙に影響する
言うなれば、俺もゴガーももうそのレベルまで
肉体の限界を超えて鍛えあげた
ゴガーの方を見る
ゴガーが黙ってうなずいた
(おまえならできる)
そういう無言の頷きだった
俺も頷いた。
そして俺の前に投げるべき石・・・
えっ?これ石?
石っていうか岩なんですけどー!
俺は思わず試験官に向かって叫んだ
『どういうことですかー!!』
「いや俺、何かお前嫌いだ」
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