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事業報告書06 / ¥$『VULTURES』(レビューではない、間違っても)
サークルの卒業旅行で伊豆に行って、そのあと沼津で寿司を食べたり、深海水族館に行ったり、古着・レコード・昔のPOPEYE・映画のフライヤー・コーヒー豆・クラフトコーヒー・多肉植物が8畳くらいの空間に敷き詰められている店に「カルチャーすぎる」などと文句を垂れたりしていたら、カニエ・ウエスト+タイ・ダラー・サイン=¥$のアルバム『VULTURES』がドロップされた。年明け前から何度も延期を繰り返しており
もっとみる事業報告書05 / 「冬季うつ」の温度
身体が寒さを感知するたびに、心がどんぼりとする。いわゆる「冬季うつ」だ。厳密には冬季というより、気温が上がる季節から下がる季節へと移行したのを感じ取ると、それに呼応して心が萎れていく。自分のそれは生活に重大な支障が出るようなものではないが、それでも風呂が遠くなったり入眠まで2〜3時間かかったりするようになる。
少なくとも自分の観測範囲(インターネット)において、「冬季うつ」という言葉が積極的に用
事業報告書04:ヤバいはダルい
ありとあらゆる「ヤバい」がどうでもよくなってきた。アートでもエンタメでもツイートでも、確かにヤバいやつは多い。ただ、それを受容するのは「私」という単一の存在でしかなく、そこに意味が収斂されるならば、自分が見てる対象なんてヤバくてもヤバくなくても、別にどうでもいいんじゃないか?
いや、コンテンツに感動する心を失ったわけじゃない。そんな単一の存在を拡張するような、もしくは解体ようなものに出会った時に
事業報告書03:調布のドリブラー
またこの季節がやってきた。俺が公園にサッカーボールを放流する季節だ。
四年前だ。上京してすぐ、俺は自由を謳歌していた。コロナが猛威を振るっていた時だから、比較的人の往来が激しい昼間は家にいる。ようやく自由になれるのは日付が変わってから日が上るまで、上京前の俺なら家に閉じ込められていた時間だ。別に派手な夜遊びをするわけじゃない。ただ街を散歩したり、朝日に向かってチャリを漕ぐだけだ。何をしても無駄な
事業報告書02:オシャレと情報量(あるいはアニメ版『鬼滅の刃』とPlayboi Carti)
オシャレな人のインスタは、得てして無言だ。
乱暴な言い方をしてしまった。この場合の「オシャレ」というのは、自分の独断と偏見でしかない。なにか一定の基準があるわけでもない。ただ、自分が直感的に「この人オシャレだなぁ」と思ったインスタの投稿には、キャプションがついていない。あっても1〜2行くらい。ハッシュタグもない。あとストーリーも無言。古い看板とか、盛れない角度の自撮りとか、街で見かけた変な若者と
事業報告書 01:文学性と余裕
自分には文学性がない。
居酒屋で絡まれた強面のお兄さんが見せた意外な一面に、心を動かされたことがない。喫煙所にいるサラリーマンの目に映る悲哀に、感情を揺さぶられたことがない。駅前で歌う路上ミュージシャンの放ったリリックに、胸の奥を突かれたことがない。
そういう感性の乏しさを長らく憂いていたけど、最近はそうして憂うことすら文学性ワナビー仕草の一つに組み込まれているような気がして、どうにもこうにも