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泣ける話 普通じゃない自分を呪っていた2
「かわいいやつだな。」
これまで職場の人とは合わなかった。確かに僕自身はポンコツ人間だけど、他人から嫌味を言われたり、罵倒されなければならない理由はない。
どんな劣った人間にだって尊厳はある。その尊厳を壊すような人達とは付き合えない。
もう会う事のない人達のことを考えるのはやめよう。
でも自分が次に行く会社、その会社でも同じような目に遭ったらどうしよう。僕の仕事をする上での能力や人間関係を作っていく器は変わらない。
それであれば同じような結果になる可能性も大いにある。
不安がさらなる不安を呼ぶ。
今日言われた普通に出来ない、変わっているって言葉がいつまでも残っている。
普通に出来ないということは、これからも他人と上手くやっていくことは出来ない。そんな中でどうやって働いていけば良いというのか。
どこに行けば、誰と一緒なら・・・。
「なあ俺これからどうしたら良いんだろうな。俺は普通に出来ないらしい。変わった人間らしいわ。お前みたいに寄り添ってくれたら良いのにな。
でもそんな簡単じゃないみたいだ。みんなが変な目で見て距離を置いていく。関わらないほうが良いって離れていく。慣れっこといえば慣れっこだけど、やっぱりつらいや。」
目の前の地面を見てはポツリポツリと零れ落ちる物がある。
なんで俺だけが変な目で見られなくちゃいけないんだ、なんで俺は他人と同じように出来ないんだ。こんなんだったら生まれてきたくなかった。こんなつらい思いだけをするのなら産んで欲しくなかった。
でもそうやって両親を責めても仕方ない。両親の顔が浮かんでくる。両親は精一杯の愛情を注いでくれたはず。そりゃあ嫌なこともいっぱいあった。
自分達の期待をこちらに一方的に押し付けたりしてきた。でもそれだって俺に愛情があるから、両親の思う良い人生を歩んで欲しいと思うから。だから俺なんかに期待をした。
それなのに俺は何も応えることが出来なかった。それを両親に当て付けても何の意味もない。悔しさや悲しさを自分勝手に両親にぶつけても仕方ない。
それは分かっている。分かっているけど、誰かにぶつけでもしないとやってられない。そんな自分の弱さを知りながらもどうすることも出来ない自分が、さらに追い討ちをかける。
拳を強く握る。
横に座ったはずの野良犬が、目の前に座りこちらに目を向ける。
そのつぶらな瞳が心に小さな癒しを与えてくれる。
そうだよな、こんなことばかり考えていても仕方ないよな。
お前はこんな俺を慰めようとしてくれているんだな。
「ありがとう。」