藪田建治/一介の小説家

小説家/作家 心が暖まるような小説。人生観やメッセージ性を大事にしています。 個人BASEshop https;//myletter.base.shop

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マガジン

  • My Letter

    生きるヒントとなる考え方や短編小説を残すマガジン。皆様のほんの小さな生きる糧にして頂ければ幸いです。

最近の記事

不向きな仕事をやり続けるよりも・・・

 入社してから分かった。僕は人付き合いが苦手なんだ。  いや最初から分かっていた気もする。自分は周囲から浮いているのも思っていたから、人付き合いが苦手なんだということも。でもこれじゃあダメなんだ、克服しないといけないんだと自分に言い聞かせていた。その気持ちもあったかもしれないな。  でもいずれにしろ今の環境で人付き合いが多いことからは不向きだ。社内もそうだし、社外の人とも多く接しないといけない。人と接する、その度に緊張が走り上手く会話にならないんじゃないかと不安が過ぎる。 「

    • 自分で自分を認める

      どうした?顔色悪いぞ。」 「顔色悪いですか。すみません。いつものことなんですけど、周囲の目とか評価が気になって、不安で仕方ないんです。」 「分かるよ、僕も昔は他人の顔色が気になって仕方なかったからね。自分がどういう風に見られてるのか、みんなから浮いてないか常に不安だったもん。他人のちょっとした言動でも気になるよね。」 「そうなんです。」  自分の気持ちを分かってくれる。でも先輩は昔はと言っていたけど、この気持ちが分かるならそれからどう変わっていったんだろ。この先輩のように変わ

      • 再投稿 短編小説 夢を諦めて

         夢を諦めて祖父母の家に行く。  奈良県の近鉄生駒線に乗った昌慶は、車窓から見える景色を何気なく見ていた。ずっと育てきた東京には見ない景色。  昭和初期に建てられたかもしれない家屋、どこまでも続く竹藪。  都会生まれで都会育ち、前回ここに来たのは専門学校1年の夏休み。もう10年近く前の話。  ずっと舞台やミュージカルが好きだった。都会だから演目には不足しなかった。裕福ではなかったから、お小遣いやお年玉は全てチケット代に消えていった。 お金が足りなくて見れない時も、場所によれば

        • ミスを指摘し合うよりも補い合う社会

          「もっとちゃんと仕事してくれる?」 「やっているつもりなんですけど。」 「ほらこことか誤字があるでしょ。こういうところよ。だからダメなのよ。」  ミスが多い自分。見直してるつもりなんだけどな。確かにミスはミスなんだけど、そんなにこのミスが大きなことなのかな。   でもこの指摘されることで仕事をすることが怖くなる。ミスが多い自分には、当然怒られる回数も他の人よりも圧倒的に多い。他の人も自分はミスをよくする人間だ。仕事の出来ないやつだと目でこちらを見る。 「まああの人はそういう性

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        • My Letter
          3本

        記事

          誰とでも仲良くしないといけないという呪い

          「この仕事代わりにやっといて。今日中にお願いね。」  あまり親しくない同僚が自分に向けて発した言葉。こちらの都合は聞かない。こちらの状況も知ろうとしない。 「でも僕にもやってる仕事があるから。」 「いや俺も忙しいんだ。俺じゃなくても良い仕事だから。どうせ定時には終わってるでしょ。そんな仕事量も多くないんだし。」  こういう人とも仲良くしないといけないのかな。社会人になって学生の時よりいろんな人を知ることになった。学生の時は自分と親しい人とだけ付き合っていればそれで良かったのか

          誰とでも仲良くしないといけないという呪い

          他人の目が気になる11.11

           他人の目が気になって仕方がない。嫌われていないか、変だと思われていないか。自分が言った言葉、自分がした行動が気になって後から何度も振り返る。でもいつもネガティブになるばかり。 「さっきの言葉もしかして気を悪くした?」 「えっなんのこと?」 「「いやなんでもない。ちょっとおかしい僕。忘れて。」 「他人のことをすごく気にしているの疲れない?」 「いや僕が何も出来ない人間だから。だから他人の機嫌を損ねたらダメなんだ。」  本当は良い人だし、仕事も出来るのに生まれ育った環境からなの

          他人の目が気になる11.11

          短編小説 母からの手紙

           もうすぐこの部屋から離れる。10年過ごした私の部屋。いろんな思い出があるだけにちょっと寂しい気持ち。誰にもわかってもらえず孤独を感じた日、眠る前にいろんな悔しさに涙が溢れて一晩過ごした日、朝コーヒーを飲みながら何気ない時間に幸せを感じた日も。いろんな思い出がこの部屋には詰まっている。目の前にあるノートも日々の日記を書いている。気持ちを吐き出した言葉。  でも引越しする為に整理しなくちゃ。最低限の物しかもっていかないと決めたから、思い出は私の心の中にしまっておく。  片づけ

          短編小説 母からの手紙

          上司との関係が上手くいかない時11.8

          「なんか顔色悪いように思うんだけどなんかあった?」 「いや上司との関係が上手くいってなくてね。気を遣わせてしまってごめん。」 「いやそれは良いんだけど大丈夫?」 「うーん正直に言えば、それで仕事に行くのがすごくつらいんだよな。どうも人付き合いが上手くないからさ。学生時代も友達は少なかったけど、社会に出てこんなに上手くいかないなんて思わなかったよ。」  僕個人の考えでは今目の前にいる友人が人付き合いが下手だなんて思わないけど、その人との相性が悪かったのだろう。それに人付き合いが

          上司との関係が上手くいかない時11.8

          上司との関係が上手くいかない時11.6

          「なあ直属の上司と上手くいっていないんだけど、そんなことってない?」 「直属の上司か、上手くいっているのかな。でも俺はやたらと気を遣うこともないけどな。怒られることもあるけど、ちゃんと理由があって怒られてるのは分かるし。」 「そっか、俺の上司ってなんか自分の機嫌次第なんだよな。だからどこで怒られてるのか、なんで怒られてるのかたまに分からなくなる時があるんだよ。」 「うわっ、それはきついわ。完全に自分の気分次第じゃんかよ。それは難しいな。」 「そうなんだよ。でも一応上司だから上

          上司との関係が上手くいかない時11.6

          上司との人間関係が上手くいかない時 11.4

           上司との関係が上手くいかない。自分はどうにか関係を良くしたいと思っているけど、それが現実的にはいつも非難されてばっかり。  確かに僕は学生のときから人付き合いが下手くそだったから、関係が上手くいかないのも分かるんだけど、なんでこんなに上手くいかないんだろう。自分なりに相手のことを考えて行動したり、はいりょしているつもりなのに。自分の性格を呪ってしまう。 「なあ上司の人間関係ってどうしてる?そんなに悩むことはない?」 「どうだろ。そんなに悩まないかな。まあ僕の場合は上司と言っ

          上司との人間関係が上手くいかない時 11.4

          短編小説 AIがくれた副作用

           ニュースを見ればAIの話をしている。AIか、これまで何もしてこなかったな。自分の仕事もこれからAIが奪っていくのかな。  考えてみればこのAIはここ数年の話だけど、話題にされることは増える一方だ。たぶんこれからはもっと増えるだろう。来年はもっと進化しているだろうし、その後の2年後、3年後なんてどんなに進化しているかなんて全く想像も出来ない。  僕はこれまでAIを避けてきた。自分は新しいことに飛びつくのが遅い。躊躇してしまう性格。でもこのまま不安をずっと抱え続けていたり、社会

          短編小説 AIがくれた副作用

          1度気にしたらそればっかりになる人へ

           仕事からの帰り、1人寂しく歩いている。頭の中では今日言われたことが反芻している。普通にしろ、考えれば分かるだろ、余計なことをするな。そんなことをいっぱい浴びせられた。自分では普通にしているつもり、考えているつもり、気を遣っているつもりなのにな。  分かって欲しい気持ちもあるけど、自分が悪いんだ。自分がこんなだから受け入れてもらえないんだ。  自分の気持ちを分かってくれた友人に電話をかける。 「もしもし。」 「もしもし、どうした?」 「ごめん、忙しいところ悪いけど、ちょっと愚

          1度気にしたらそればっかりになる人へ

          僕の変わった誇り

          「普通さ、いくら推しがいるからってそんなにいろんな場所に行ってまでライブ見たいか?地元に来てくれているなら、そこで十分だろ?」 「いや僕にとってはいろんな場所に行ってまで参加したいんですよ。」 「それよりもっと明るい趣味を持てよ。しかも聞いたこともないアイドルのライブなんて恥ずかしいと思わないか?みんな笑ってるぞ。」  僕は恥ずかしいと思わない。僕にとってはこれが生き甲斐だから。でもこれって普通じゃないかな。確かに僕はこの職場では浮いている。自分の趣味の話をされたから、答えた

          短編小説 友人との再会

           1年ぶりに友人に会う。嬉しいな。仕事が忙しくてなかなか会う機会がなかったけど、ようやく会える日がきた。 「久しぶりー。」 「おー久しぶりー。」  久しぶりに会った友人は以前とは全然全く違う体格。前は太っていたのに今はすごく引き締まっている。 「どうしたの?なんか見ない間に体型全然変わったね。」 「あっ、分かる?ずっとジムに行っているんだよ。」 「「そりゃあ分かるよ。だってこう言っては失礼だけど前に会った時はこんな痩せていなかったし、こんな筋肉質じゃなかったからさ。ジムにずっ

          短編小説 友人との再会

          覇気がない、元気がない人達へ

          「覇気がないんだよ。そんなんじゃダメなことぐらい分かるだろ。」  こう言われたことは1度や2度じゃない。今までからずっとそうだった。学生の時も就職活動の時からも社会人になってからも。僕は普通にしているだけなのに、覇気はない、元気がないと年上の人、特に中年以上の人から言われる。  どうすればその覇気がある人に変わるんだろう。いつも元気良く挨拶していないといけない。いつも元気に返事をしないといけない。でも僕の性格を考えれば、それがどうしても出来ないんだ。 「あのう、どうすれば良い

          覇気がない、元気がない人達へ

          何者かにならないといけない

           何者かにならないといけない、呪文のように自分に言い聞かす。いろんなところで目にする言葉。  何者かにならないと価値が無い、そう焦る自分とどうしてもその何者かになれない自分がいる。なんでこんな苦しいんだろう。なんで僕はこの何者かになれないのだろう。そう自問自答しても答えが返ってこない。 「フォロワー5万人達成しました。」 「年収1千万超えました。」 「起業しました。」  そんな声が届く度に胸が苦しくなる。僕はそのどれにも当てはまらない。会社員としてやっているけど、別に大手企業

          何者かにならないといけない