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【少年野球選手の投球障害に対する予防プログラム〜YKB-9〜】
〈はじめに〉
肩や肘障害は、あらゆる年齢の野球選手においてよく見られます。
各年代の肩肘痛の発生率は表の通りです。1~3)
![](https://assets.st-note.com/img/1664958668642-iDP93DeqKB.png?width=1200)
2)Shanley E, et al. Am J Sports Med. 2011
3)Ciccotti MG, et al. Am J Sports Med. 2017
※1 人の選手が 1 試合もしくは 1 回の練習に参加した場合 を1 athlete-exposureとし,1000 athlete-exposures(以 下,1000AE) あたりの傷害発生率が指標とされています。
特に、9歳以上の選手では、1年間の肘内側の損傷リスクが9歳未満の選手(10.4%)に比べて2.7倍(30.4%)高くなることが分かっています。
また、あらゆる研究報告から1年間で約3〜4人に1人が投球障害になることが分かっています。
そのため、これらを予防することが重要になりますが、投球障害に対する予防プログラムの効果を報告した研究が非常に少ないのが現状です。
高校野球投手における肩および肘の傷害の発生率に対する予防プログラムの効果を評価した研究では、「肩のストレッチ運動を実施した群では、対照群に比べ、障害発生率が36%減少した」と報告されてます。
また少年野球選手を対象とした研究では、「9つのストレッチと9つの強化エクササイズを実践したところ、肘内側障害は半分に減少した」と報告されています。
今回は私が最も優れていると思う『少年野球選手の肩および肘の投球障害発生に対する予防プログラムの有効性を検討』した論文を紹介します。6)
〈方法〉
対象の9~11歳の237人の選手(16チーム)を、介入群(8チーム、117人)と対照群(8チーム、120人)がランダムに振り分けられました。
介入群の参加者は、投球障害予防プログラムエクササイズを少なくとも週に1回ウォームアップ時に行うよう指導されました。
■介入プログラム(mYKB-9)
ウォームアップ時に行う5種類のストレッチ、2種類の動的モビリティ、2種類のバランストレーニングから構成(実施時間は全部で10分)
![](https://assets.st-note.com/img/1664959144977-DGn3jrWCGS.png?width=1200)
介入群の参加者とそのコーチは、初回、1ヵ月後、3ヵ月後の計3回、2名の理学療法士からプログラムエクササイズの適切な実施方法についてトレーニングを受け、プログラムのエクササイズを説明したリーフレットも受け取りました。
参加者には野球日記を配布し、1週間にmYKB-9を行った回数を毎日記録してもらい、この情報をもとに実施回数が算出されました。
両群とも12ヶ月間経過観察し、その間の肩と肘の障害の発生率が記録されました。
肩肘痛は、投球時の痛みに加えて、4ヶ月ごとに実施した臨床評価所見や超音波検査で異常が認められるものと定義されました。
パフォーマンス関連因子として球速、身体機能として肘伸展、肩内外旋・水平内転・股関節内旋の可動域、動的バランス(修正Star Excursion Balance Test)、胸椎後彎角が介入前後で評価されました。
〈結果〉
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