1回以上映画を観た人に読んでほしい『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンの感想や考察』(超絶ネタバレ有り)
ちわっ(o・ω・o)オタッ……虫圭ですっ。
今回は『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のネタバレ有りの感想や舞台挨拶で出たコメントを拾ってチェックなどしていきます。
とても素晴らしいアニメーション映画ですので、観たことない方はぜひ一度足を運んでみてください。
客層は老若男女混合ですので、『おじさんがアニメ観に行くのは……』とか『女子一人で行くのは……』とか、全く気にしなくて良いです。
⇒【ネトフリで観れるヴァイオレット・エヴァーガーデン】
▪️アン・マグノリアの孫デイジー・マグノリア
冒頭現れる新キャラ、デイジーですが、これは写真や会話ですぐ理解できますね。
テレビアニメ版10話に出てきた、アン・マグノリア、クラーラ・マグノリアの子孫です。
デイジーは名前が付いていますが、パパママには名前がありませんでしたね。エンドロールにも父母表記でした。
▪️「EMERGENCY PROVISIONです」
『緊急規定』のこと。
本当に子供割引を準備してたのかなぁ。
外伝のテイラーのこともあるし、その後も『子供からロハに近い依頼』をうけることがあった、っていう示唆なのかな。
▪️ユリスの病気……小児がん?
正直判りませんでした。
色々と調べましたが、劇中にあったヒントとしては、
帽子・手袋・3回の手術(どこをとは言ってない)・1年以上の長期入院・死の直前の急激な衰弱
ヒントからたどり着くのは小児がん(子供がかかる癌の総称)なのですが、投薬治療をして髪の毛が抜け落ちている、という様子はなかったですし(かつらをしているようにも見えませんでした)、脳腫瘍的なものかもとも思いましたが、やはり頭髪を剃っていない様子なので結局判然としない。
となると心臓系か? うーん、解らない。
医学に詳しい考察班頼んだぞ。
▪️ユリスへの感情移入
注釈として、この項目は、映画の内容というより私たち観衆が映画に対して感情移入するのはなぜか? という話です。
また、ちょっと穿った見方と言うか、あくまでも個人的な感想の部分が大きいですが。
亡くなってしまうユリスのシーンが物凄く泣けるじゃないですか。
これは、『ザイオンス効果』によるところが大きいかな、と思いました。
ザイオンス効果(Zajonc effect)」とは
同じ物・人物に接触する回数が増えるほどに、その物・人物に対する好感度・親近感が高まりやすくなる心理効果です。
第一印象が良い相手に、その後複数回会うことで、好感度が右肩上がりになる心理効果を指します。
逆も然りで、第一印象が悪い相手の場合、会うたびに嫌いになるということも起こります
ユリスから最初にアプローチされる電話の会話では、「なんか生意気そうなヤツだぞ?」と思ってしまいますが、登場後すぐに「この子は何か重たい病気なんだ」と我々は気が付くので、そのギャップでユリスに対して好印象("心配や同情や過保護"とユリス自身も言ってましたね)を持ってしまいます。
※こちらはメラビアンの法則。後で解説します
そして、ユリスのシーンは大きく3つパートで構成されています。
①ユリス登場シーン。ヴァイオレット、ベッドの下に潜む(ユリスの病気(死期)や、家族、友人との関係性の示唆)
②家族宛の手紙を書くシーン。ユリスの衰弱が進行しているのが随所から判る。(以下はそのヒント)
・手袋や肌を隠すような長さの靴下
・細くなった手足
・動くのや話すのが辛そうな声や息遣い
・腕を上げるのが辛そうな仕草
③ユリスがリュカと最期の電話を交わし、亡くなるシーン
ザイオンス効果は特に3回目から高い効果を発揮するということはマーケティングの手法としても知られています。
最初の電話越しの声に感じた「なんか生意気そう」はどこに行ったのか、ほとんどの視聴者はユリスのことを好きになっていることでしょう。
また、ザイオンス効果とは別にメラビアンの法則も働いていると思います。
※メラビアンの法則
メラビアンの法則とは『見た目と言動のギャップから生じる相手への印象の影響』のことで、ここでは、
『ユリスは見た目からして病気で、きっと先が長くないのであろうことを察することができる。しかし我が身を省みず、気丈で優しく、家族やリュカを想っている。ヴァイオレットのことまで案じて、喜んでくれる』
というギャップによる印象の向上を指します。
以上の心理的効果や、ユリスというキャラクター、映像的演出、声優の演技、などにより、いつの間にか私たちはユリスという死が目前に迫った儚い男の子に感情移入しています。
だから、ユリスが電話でリュカに「ごめんなさい」と「ありがとう」を伝えるあのシーンは、めちゃくちゃ泣いてしまう訳です。
リュカも良い子ですよね。
「ユリス、僕たち、ずっと友達だったろ? これからも、ずっと友達でいようね!」
こんなこと目の前で言われた日には私なら泣き崩れます。
ユリスへの私たち観客の感情移入の考察は以上です。
まあ、かなりひねくれた見方とも言えますが、心理学的効果を当て嵌めるとそういうことになるなぁ、と思ったので参考までに。
皆さんがユリスを大好きになって、大泣きしてしまうのも仕方ないことなんです。ちなみに、
俺 も ユ リ ス が 大 好 き で す 。
病院の入り口の影に隠れるリュカも超かわいいですよね。
ミズハス(水橋かおりさん)の演技力が加わることで、最期のシーンで泣かなかったことは今のところ一度もありません。全観賞で泣いてます(現在10回観賞)。
▪️オレンジと白の薔薇
ユリスの病室に置かれている花です。
一度めの登場時にはオレンジの薔薇。二度めには白い薔薇になっています。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンにおける花は、状況やキャラクターの感情の変化を意味することは有名ですので、ここでは花言葉のみを紹介します。あとはお察しです。
▪️オレンジの薔薇の花言葉
情熱・絆・プライド・幸多かれ
▪️白い薔薇の花言葉
尊敬・純潔・約束を守る・無邪気・恋の吐息・私はあなたにふさわしい・心からの尊敬
特にオレンジは絆、プライド。
白は約束を守る、無邪気、心からの尊敬。
このあたりが反映されていそうですね。
素敵な描写だ……。
余談ですが、『外伝』のアシュリー・ランカスターが、エイミーに「家柄など関係なく、あなたとお友だちになりたいのです」と言うシーンでは、アシュリーの髪飾りが『白薔薇の髪留め』になっています。
『白薔薇』の花言葉は『私はあなたに相応しい』なので……
あとは解るな?
ヴァイオレット・エヴァーガーデンは良いぞ。
▪️集合写真の中央左でかがむテイラー・バートレット(エヴァーガーデン)
舞台挨拶野中で石立監督のコメントからです。
博物館になったCH郵便社の中に置かれている集合写真に、『外伝』で登場したテイラーが写っています。
付け加えて、退職しているエリカがテイラーの隣に立っていますね。
▪️船をこぐネリネ
博物館内でデイジーに切手の説明をしてくれた老婆はネリネです。
石立監督のコメントもありましたし、エンドロールにもネリネの名前があります。
切手の質問をされる時のネリネは頭を上下にこっくりこっくりさせていて、これは「寝ている」との監督のコメント。一瞬しか映りませんが、尺の都合で時間が短くなってしまったとのこと。
▪️手紙の最後の一文
これも舞台挨拶、午後の部での監督コメントです。
ギルベルトがヴァイオレットの手紙を受け取り、読んでいるシーンの最後に、手紙が一瞬映ります。
手紙はヴァイオレットの声で読み上げられていますが、この映った手紙の最後の一文だけ、「読まれていない」とのこと。
つまり、考察勢、解析班の出番案件です。
ちなみに、私が読み取った結果、以下のような文でした。
『Nun posukui noyirrikon』
文字は20文字。これは間違いありません。
ただし文字自体が読み取りづらいので、ここには誤りがあるかもしれません。
そして、この一文を解読することの難解さですが、
文字をまずアルファベットに変換するところから解析が始まる上に、解析後もそのままでは読めない仕様です。
とりあえず私には無理そうです。
ちなみに、テレビアニメ版の時にも似たような文が登場しているようです。
解析班。後は頼んだぞ。
タミル語の単語に並び替えるとかさすがに分からん。
9/22追記
Twitterで解読を募ったところ、解読してくださった方が現れました。
アカウント名を匿名で記載の許可をいただきましたので、こちらに記載させていただきます。
誠にありがとうございます。
▪️原文 ※私の書き写したメモ
ローマ字⇒ Nun posukui noyirrikon
タミル語⇒ Nāṉ mējarai nēcikkiṟēṉ
日本語⇒ わたしは、少佐を愛しています
『わたしは、 愛しています』はきっとそうだろうと思っていたのですが、『小佐』が確信が持てなかったので、解読していただいてスッキリしました。
改めて感謝申し上げます。
ありがとうございます。
▪️ヴァイオレットのリボン
デイジーが最後にエカルテ島を訪れ、町の人たちと会話をしているシーンですが、郵便局のシーン途中で枝に結ばれた『ダークレッドのリボン』が映ります。
これはヴァイオレットが髪に付けているリボンですね。
郵便局の前にデイジーは学校らしき場所で男性と話していますが、この時にもフェンスに結ばれたダークレッドのリボンが映っています。
さらに、郵便局員の男性が取ったサムズアップポーズは、ヴァイオレットがユリスから教えてもらった『なんかイカすな!・大丈夫!・任せておけ!』の印であり、島に移り住み、島民に愛されたヴァイオレットが島の人たちみんなにサムズアップを見せていた。
そしてヴァイオレットが身に付けていたリボンを家の外に結ぶことで、彼女が人々に愛されて生涯を送った。ヴァイオレットはギルベルトと幸せな人生を送った。
ということを表現しているのだと解ります。
▪️9/21追記
今10回目を観終わりまして追加の気付き。
郵便局員の男性、切手の話をした後、ふと斜め上を見てます。
これ明らかにヴァイオレットとの思い出を懐かしく振り返ってますよね。
だからこそ直後にデイジーにサムズアップをしてみせたのでしょうね。
「あのヴァイオレットなら、こんな時にはきっとこうしてみせたよね」
という表現です。
こういう細かい動き、京都アニメーションらしくて堪らないですね!!!!
読み取りどころが多くて、考察や感想を交わすのも、楽しいですね。
▪️サポーティングスタッフ
エンドクレジットに載っている、京都アニメーションのスタッフ名。それも、メインの作画などではない、『関わってくれたスタッフたち』という位置付けのクレジットです。
外伝の時にもありました。
いや、もしかしたら全作品にあるのかもしれませんが、触れておきます。
私は、昨年の放火事件で亡くなってしまわれた、西屋太志さんの描くデザインが大大大好きなのですが、サポーティングスタッフの欄には、名前が公表されている(公表したメディアだけは絶許)亡くなられた方の名前が載っています。
京都アニメーションのエンドクレジットには、入社一年未満のスタッフや新人は載らない、というのがあるそうですが、外伝の時は監督の意向ですべてのスタッフ名が載っています。
今回もそうなんじゃないかなー、と思っていて、そうだったら、何となく嬉しいな。嬉しいし哀しいな、など思いました。
これからも、京都アニメーション様には、希望と未来を創造する作品を作ってほしいな、なんていちファンとして想います。
未来のひとへ
長々と、今のところ思い付くことを書き連ねましたが、まだ公開4日目です。
円盤化されるのは恐らく8ヶ月くらい先でしょうから、更なる考察が捗りそうです。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
君の名は。の社会現象並みに、『普段はアニメ観ない層』『アニメを生活に必要としない層』『アニメーションを誤解している層』『考察解析班』などなど巻き込んで、一大ムーブメントにしていきましょう笑
劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン、2周目は1周目と違う気付きがたくさんあると思うので、一度観に行った方はぜひもう一度観て、新たな気付きを楽しんでください。
個人的におすすめは、ホッジンズがヴァイオレットにギルベルト生存のことを伝える暗い部屋のシーン。
ギルベルトのことを察する時のヴァイオレットの瞳が一瞬、下、上、と上下して、
『信じられない。まさか、本当に?』
と感情をも上下させているのが察せられる場面が超絶好きです。推しシーン。
最後に、良かったらこのnoteをTwitterなどでシェアお願いします。
出来れば映画を観ている方に向けて。
2回めを観てほしいので。
よろしくお願いいたします。
それではまた(o・ω・o)ノシ
▪️12回目の観賞後追加考察書きました
作品の捉え方が少し変わってくるかもしれない内容なので、興味があればぜひこちらも読んでみてください。
やっぱり京都アニメーションは最高やで!!
⇒【『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン追加考察(ネタバレ度:強)』|虫圭 】
▪️始まりと終わり
感想考察の、最後の最後に。
映画の冒頭を思い出してみてください。
映画始まりに『Sincerely』という文字が画面に映ります。
『Sincerely』はアニメ版OP曲のタイトルでもあり、意味は
『心から』です。
映画の最後、デイジーが自身の父と母に向けた手紙が読まれ、
『あいしてる』という文字が映ります。
そして道を歩くヴァイオレットの後ろ姿を越えて、
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の文字と共に映画は終わります。
繋げてみます。
心から
あいしてる
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
本当に、素敵なアニメーションですね。
2020/10/14
YouTubeでも考察(音声のみ)始めました(o・ω・o)良かったら。
【考察】劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン【ユリスと家族愛を考えてみた】 @YouTubeから
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