【1分で読めるnoteで学ぶ腸内細菌学59番外篇:アナモックス細菌を利用した下水浄水システムがすごい。って話】
こんにちは(o・ω・o)カエルです。
昨日、TikTokで『細菌』のニュースがバズっていたので興味深くて見てみました。
TikTokは意外と時事ネタや知識方面も投稿されてて面白いですね。
オーストラリア:クイーンズランド州では、
『アナモックス菌』という細菌が下水の浄水システムとして利用されている。
年間50万豪ドルの削減と、化学薬品、及びエネルギーを使わずに下水の浄水が行えるということで、地球環境に優しい浄水システムとして着目されています。
という内容で、「これは面白い!」と掘り下げて調べてみました。
日本ではアナモックス菌に関する基本知識はあまり見かけませんでしたが、海外のWikipediaにて、アナモックス細菌に関しての記事ありました。
Wikipediaによると、
嫌気性アンモニウム酸化の略語であるAnammoxは、多くの自然環境で発生する窒素循環の世界的に重要な微生物プロセスです。
このプロセスを媒介するバクテリアは1999年にDelft(デルフト)工科大学の研究グループによって特定され、科学界にとって大きな驚きでした。
約23年前に発見されたバイオテクノロジーとのこと。
さらに調べてみると、このアナモックス菌による浄水システム、既に日本でも導入されていました。
□『アナモックス反応』解説
アナモックス反応
嫌気性独立栄養細菌であるアナモックス細菌(酸素に弱い・増殖時有機物代謝を行わない細菌)
の働きにより、アンモニア態窒素(NH4+)と亜硝酸態窒素(NO2-)を直接窒素ガス(N2)に変換する反応
□削減効果
従来の浄水システムと比べ、
(1)必要な酸素量が小さくブロワなどの設備や使用するエネルギーが少ない
(2)反応に有機物を必要としないため有機物の薬剤添加が不要
(3)余剰汚泥(発生汚泥量)が少ない
などの特徴があり、大阪市との共同研究の結果、大阪市の下水処理場への適用性が確認されました。
大阪市の研究は2019年4月にウェブニュースとしてメタウォーター株式会社が公開しています。
さらに、2014年時点で日立製作所と日立プラントサービスがアナモックス細菌を使った浄水システムを考案・稼働させていました。
従来方式の浄水システムと同等の窒素除去性能でありながら、ランニングコストを7割削減し、6割の省スペース化を実現させるのが目的だそう。
企業努力は知らないところで進んでいるのですね……。
□詳細(2014/2の記事)
今回日立が開発した高速窒素除去システムでは、アナモックス菌の特性により、以下の3点を実現します。
(1)硝化工程では、アンモニアの約半量を亜硝酸に酸化するのみでよく、従来方式に比べて酸化用の酸素供給に要する動力コストを約50%低減できる。
(2)脱窒工程では、従来方法では必要な薬品(メタノールなど)を使用せずに窒素ガスに変換することができるため、従来方式に比べて薬品添加量を約80%削減できる。
(3)アナモックス菌による窒素処理が、従来比で約2倍の速度で行えるため、従来方式と比べて大幅な省スペース化を実現できる。
といったように、既に日本でも実用化されているアナモックス菌による浄水システム。
なぜ今TikTokでバズっているのかは不明ですが、細菌を用いたバイオテクノロジーが評価されるのは良いことだなぁ、と思います。
以前、日本の有名な公害である水俣病が起きた際、水銀に汚染された海を、独自進化した細菌が浄化した(そして『風の谷のナウシカ』のモデルになった)というエピソードを紹介しました。
これは"思いがけず"細菌が活躍していたケースでしたが、細菌研究が進み、そのメカニズムを様々な事業に活かすという動きが増えています。
(蛙・ω・)<今後も細菌から目が離せません。
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