【まとめ考察】劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン【大事な人と、もう一度観たい映画】
こんにちは(o・ω・o)虫圭です。オタク色濃いめです。
ついに劇場版の絵コンテ集が発売されました。
考察的に言うと絵コンテ集は答え合わせです。
ですので、本来この考察まとめも書く必要はないのかもしれませんが、まだ私は絵コンテ集を入手出来てないので、同じように絵コンテ通販待ちの方は「まだまだ考察と映画で楽しめんじゃん!!」
てことで、答え合わせするまでの繋ぎとして、これまでの考察を振り返りつつ、劇場版のストーリーに沿って、
読みやすさ
重視で考察まとめを綴っていこうと思います。
ちょっとテキスト量多くなりそうですが、劇場版、2回目を観に行く方も、10回目を観に行く方も、30回目を越えてもなお観足りない方も。
考察でアイスブレイクして、是非劇場に足を運んでください。
私の目的は、あなたが「もう1回観たくなったなぁ」とヴァイオレット・エヴァーガーデンを観に行き、京都アニメーションに御布施をしてくれる。ただそれだけです。
それでは、いきます(o・ω・o)
【『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、"特別な女の子"が"普通の女の子"になる物語】
妙な言い回しに思えるかもしれませんが、私は1回目を観た時からずっとそう思っています。
考察やチェックを繰り返す中で、印象はより強くなったと言ってもいいです。
そうだと決めてかかった訳ではありませんが、私なりに色々と調べたり振り返ったりした結果、やはりそこに辿り着いた、振り出しに戻った。という感じです。
では、"特別な女の子"が"普通の女の子になる物語"とはどういうことなのか。
3人のキャラクターを軸に語っていきます。
▼デイジー・マグノリア
物語の語り手
▼ユリス
ヴァイオレットを成長させる存在
▼ディートフリート・ブーゲンビリア
人と人を結ぶ架け橋
▼デイジー・マグノリア
花言葉は『持続性』
デイジーはストーリーテラー『語り手』です。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン初見者であっても、開幕5分で世界観やドールなど、彼女を中心にヴァイオレット・エヴァーガーデンの概要がつかめるように構成されています。
これは一度観た方はお分かりのことと思います。
彼女の登場回数は少なく、かつ登場時間も長くありません。後述のユリスよりも時間は短いです。
①冒頭
②博物館(旧CH郵便社)
③ラストシーン
数えるとこれだけしかありません。
ですが、デイジーがキーキャラクターであることは誰しも解ります。
そもそも立ち位置がちょっとズルいですよね。
あの、10話のアン・マグノリアの孫娘だなんて。
この時点でちょっと好きになっちゃいますよね。
しかも、デイジーとアンの中の人は同一人物です。
声優は諸星すみれさん。
こんなの、もっと好きになっちゃいますよね。
①冒頭
そんなデイジーの両親(特に母親)への反抗的なシーンから物語は幕を開けます。
場所はアンがいた時代からおおよそ60年後のマグノリア家。
暖炉の上の写真や、アンが大事に抱いていた人形の服のくすみ具合からも、時代が大きく流れていることが読み取れます。
デイジーはお母さんが「仕事」を理由におばあちゃん(アン)を大事にしていなかった、と暗に言っていますが、これはデイジーの本心とは異なりますし、事実とも違っています。
デイジーの母が医療従事者になったのは、そもそもアンの母であるクラーラが若くして病気で亡くなったことが切っ掛けであり、アンが自分を大事に育ててくれたからこそ、多くの人の命を救うために医療従事者になった。という話です。
だからこそ両親が病院(職場)に向かったあと、後悔の言葉を口にしている訳です。
そんな、両親に素直になれない女の子がデイジーです。
②博物館(旧CH郵便社)
2回目の登場は旧CH郵便社を訪れるシーン。
ヴァイオレットの足跡を知るために博物館を訪れたデイジーは、元受付嬢であり可愛いおばあちゃんになったネリネと出会い、ヴァイオレットが描かれた切手を目にし、ネリネからエカルテ島の情報を入手します。
伏線の嵐です。
読み取ってないのですが、博物館に入る前にチラッと映る、CH郵便社に関する昔の新聞記事の内容が気になっています。
ホッジンズの写真が載っているので、『若い実業家』みたいな文なのかもしれません。
気になります……。
余談ですが、集合写真に写っているテイラーが、外伝の時より身長的にちょっと成長してるの、エモエモのエモ、ですよね。
テイラーかわいい。
③ラストシーン
そのままラストシーンを語りたい……ですが、この話は時系列的に後回しにします。
▼ユリス
薔薇に彩られた少年
言わずもがな。
今作の必涙キャラクターのユリス少年です。
(もう私も何度泣いたか数えきれません)
ユリスを語る上で外せないのが『薔薇の花』
これまでも何度も書いていますが、改めて、ユリスの登場シーンごとに振り返ってみます。
①ユリスとヴァイオレットの出会い
②両親とシオンへの手紙。そして指切り
③リュカとの和解。そして別れ
①ユリスとヴァイオレットの出会い
CH郵便社休業日にかかってきた、唐突で不躾な電話。
その相手がユリスです。
ヴァイオレットが彼を訪ねると、そこにはパジャマにニット帽で病院のベッドの上にいる少年がいました。
ベッド脇に置かれた花瓶にはオレンジ色の13本の薔薇。
ユリス自身の物語を象徴するような、美しいオレンジの薔薇が満開に咲いています。
ユリスとヴァイオレットは出会い、ヴァイオレットはベッド下に隠れ、ユリスから『家族への手紙』を依頼されます。
②両親とシオンへの手紙。そして指切り
ヴァイオレット2回目(及び3回目?)のユリスとの会話シーン。
直前にヴァイオレットはディートフリートと話しているため、『兄弟っていうのは、はじめは弟を鬱陶しく思うが、懐いてくれる弟を嫌いに思えない』ということをユリスに話します。
両親への手紙を書き終え、シオンへの手紙も書き終え、ユリスはヴァイオレットと『指切り』をして、ユリスが天国へと旅立ったその時に、手紙を両親とシオンに渡すことを約束をします。
『絶対に約束を守ると誓いあう』
ユリスはそうヴァイオレットに教えます。
ヴァイオレットが帰る直前に、ユリスはヴァイオレットを呼び止め、『リュカへの手紙』を依頼します。
親友であるリュカや、両親や弟に素直になれないユリス。
容態が急変したユリスは眠り、『リュカへの手紙は後日』と話します。
ベッド脇には15本の白薔薇。少し、枯れ始めています。
ユリスとヴァイオレットの結末を暗示しています。
③リュカとの和解。そして別れ
ヴァイオレットがエカルテ島にいるその時、ユリスはその時を迎えます。
ヴァイオレットの代役として病室を訪れたアイリスが、ユリスとリュカを結ぶメッセンジャーとなります。
ユリスと電話で話すリュカの傍らには赤と白の薔薇。
電話越しに『ごめんなさい』と『ありがとう』そして『僕たち、ずぅーっと、友達だよ』という生涯の誓いを二人は交わし、ユリスの死という形で別離を迎えます。
リュカは生涯、ユリスのことを忘れないでしょう。
そしてそれは天国へと旅立ったユリスもまた同じです。
ユリスが息を引き取った後、両親とシオンへの手紙が読まれ、両親は涙し、シオンは無邪気に喜びをユリスに伝えます。
シオンがユリスの死を理解する時は、ユリスを埋葬する時でしょうか。
シオンはいつか、ユリスからの手紙を読み返し、両親と同様に涙するのでしょう。
ユリスはヴァイオレットに多くのことを伝えています。
会話の中でも、会話の外でも。
それはヴァイオレットの項にて語りますね。
▼ディートフリート・ブーゲンビリア
花言葉は『情熱』『あなたしか見えない』
ディートフリートは、今作品のパイプ役を担っています。
人と人を繋ぐ架け橋です。
そして今作品でもっとも株価を上げた男です 笑
ディートフリートは地味に登場回数が多く、
①墓地でヴァイオレットと出会う
②CH郵便社前でリボンを返す
③船のシーン
④ホッジンズと軍基地にて
⑤ギルベルトと岬にて
それぞれのシーンで株を上げていく秀才。それがディートフリート・ブーゲンビリアという男です 笑
テレビ版の殺伐とした雰囲気はどこへ行った。
①墓地でヴァイオレットと出会う
ギルベルト、ディートフリートの母親が眠る墓地を月命日の前日に訪れていたヴァイオレットと、ディートフリートが偶然鉢合わせます。
この時初めてディートフリートは毎月供えられていた花がヴァイオレットによるものだと知り、またそれがヴァイオレット自身の意思であることを知り、ヴァイオレットに対する気持ちを少しずつ変えていきます。
しかし、ギルベルトを忘れられないヴァイオレットに対し「ギルベルトのことは忘れろ」と冷たい言葉を投げ掛けます。
②CH郵便社前でリボンを返す
このシーンではあくまでヴァイオレットを船デート(?)に誘うだけですが、
ヴァイオレットにフリルの日傘の切っ先で刺さされそうになる寸前(笑)、ディートフリートは「ヴァイオレット」と名前を呼び、ヴァイオレットを止めます。
「おい」とか「お前」とか呼んでたくせに……
③船のシーン
何とかヴァイオレットを船デートに連れ出したディートフリートですが、ヴァイオレットはギルベルトにご執心で、ギルベルト関連の物以外には関心を持ちません。
ハンチング帽をギルベルトのものと勘違いして顔を緩めていたヴァイオレットは帽子がディートフリートのものと分かるなり「スンッ」ってなります。
この時のヴァイオレットかわいい。
この時のディートフリートもかわいい。
船上に出てから、ディートフリートは墓地でした話をヴァイオレットにもう一度切り出します。
「失くしたものは大きいな。お前も、俺も。この間は悪かった。二度と会えない。忘れろ。などと。俺だって忘れることはできない。結局のところアイツは、俺の弟だからな」
ディートフリート株急上昇中。
④ホッジンズと軍基地にて
ギルベルトの字とおぼしき手紙を持って依頼に来たにも関わらず激昂するという、なかなかに横暴なホッジンズにディートフリートは「言い方が悪かった」と謝罪。
ホッジンズが悪者に見えるほどに……。
ディートフリート兄ちゃん、すごく大人……。
⑤ギルベルトと岬にて
ディートフリート兄ちゃん、ギルベルトを叱咤激励する。
「家督も俺が継ぐからお前は自由に生きろ。ヴァイオレットとな」的な。
ディートフリート株ストップ高です。
テレビ版ではあんなにヴァイオレットのこと憎んでたくせに……ズルい……。
ちなみにこのシーンでもディートフリートは「お前(ギルベルト)を麻袋に詰めてヴァイオレットの前に放り出したい気分だ」
と、しれっとヴァイオレット呼びしてます。
こうして見ると意外とヴァイオレットとの絡みは少ないディートフリート。
ですが、
ヴァイオレット⇔ギルベルト
ヴァイオレット⇔ユリス
を繋ぐ役割をしています。
ギルベルトの方は説明不要ですが、ヴァイオレット⇔ユリスはどこでかと言うと、
ユリスとシオンの『兄弟の関係性』について、です。
兄から弟に対する、可愛いけど憎たらしい、という感情について、「何で分かるのさ」というユリスに対し、ヴァイオレットが「すべて、聞いた話です」と話しています。
ですが、船内でのヴァイオレットとディートフリートの会話では「私には兄弟がいないので分からない」とヴァイオレットが口にしています。
ここで、③船上の会話の後にディートフリートから『兄弟とは』という話を聞いていることが分かります。
加えて、横暴なホッジンズ社長の依頼を受けて、持ち前の海軍大佐という強権を駆使し、ギルベルトの所在を特定するという『ギルベルト⇔ホッジンズ』『ヴァイオレット⇔ギルベルト』の物理的な架け橋をしています。
作中で、良く考えると一番活躍しているのがディートフリートです。
そりゃ株も上がりますよね(納得)
そしてこれは【ダベるブログのつうさんの解説】でも語られていますが、
この優しい姿こそが、ディートフリートの本来の姿であり、ヴァイオレットに厳しいディートフリートは戦争という人に残酷な行為をさせる環境だったからこそ
なのだと私も思います。
テレビ版の殺伐とした雰囲気は、ディートフリートが戦時中に築いた性質の一面でしかなかった、という訳です。
また、ディートフリートとユリスとの面白い共通点として、『植物』があります。
ディートフリートは『ブーゲンビリア』
ユリスは『薔薇』
ですね。
両方、トゲがある植物です。
美しいけれど、触れるとケガをする。
近づきたいのに近づけない。
さらに、ディートフリートはギルベルトを送り出した後言っていますね「みな、簡単には素直になれないものだな」
【ディートフリートも、ユリスも、デイジーも、家族や友達に素直になれない、しかし本当は伝えたい想いがある】
三人は、『素直になれない』という共通したテーマを持ったキャラクターなんです。
さて、キーキャラクターのエピソードを語り終え、いよいよヴァイオレットのお話です。
ユリス、ディートフリート、そしてデイジー。
この3人とヴァイオレットの関係性について考察していきます。
もう少しだけ、お付き合いください。
▼ヴァイオレット・エヴァーガーデン
花言葉は『愛』『小さな幸せ』
▪️ヴァイオレットとユリス
【ヴァイオレットを成長させる存在】
それがユリスの今作品での、もっとも重要な役割でした。
ヴァイオレットとユリス、二人の会話はとにかくヴァイオレットの未来を暗示する内容が多く、その最たるものは、
「その人(ギルベルト)に何を伝えたかったの?」
という問いです。
「あいしてる、も、少しは分かるのです。と」
そう答えたヴァイオレットに、ユリスは
「わかっただけ?」
そう返します。
このあとヴァイオレットはエカルテ島に向かう道中、何度も手紙を書いたことが劇中で分かります。
また、ユリスはヴァイオレットに『指切り』を教えて上げました。
『絶対に約束を守ると誓う』こと。
この指切りのお陰で、ヴァイオレットは『大事なものを守る』という大切なものが増えました。
『あの方は私にとって世界のすべて』そう言わしめたギルベルトとの再会を放棄してまで、ライデンに戻ろうとするくらいに。
そして、指切りの誓いを直接果たすことが出来なかったことで、ヴァイオレットは『大切な想いを伝える』ことの重要性に改めて気付きます。
そうして書かれたのが、『最後の手紙』です。
▪️ヴァイオレットとディートフリート
「ギルベルトのことは忘れろ」
「この間は悪かった。二度と会えない。忘れろ。などと」
この2つの言葉にヴァイオレットは大きく揺れます。
墓地で、「ギルベルトのことは忘れろ」と言われた後、忘れることはできない。けれど、もう二度と会えないかもしれない。
そんな思いでCH郵便社に帰ったヴァイオレットは、鍵穴にうまく鍵を差し込めないほどに動揺して気が散漫になっています。
船上で、
ディートフリート「(ギルベルトに)また会えたら謝りたいことも、それから話したいことも」
ヴァイオレット「はい」
そう話したことで、ヴァイオレットは自分がギルベルトに会えたら何を話したいのか、強く意識しています。
この後にユリスと指切りをして、ギルベルトに何を伝えたいのか? という話をしているので、その想いはさらに強くなったでしょう。
これまで多くの人の想いを繋いできたヴァイオレットは、今度は自分の想いをどう繋ぐのか。
それを意識させたのはディートフリートです。
アニメ5話でヴァイオレットに
「多くの命を奪ったその手で、人を繋ぐ手紙を書くのか」
そう言っていたディートフリートが、今度はヴァイオレットとギルベルトを繋ぐ存在になったというのが……。
エモエモのエモーションです。心が揺さぶられる……。
▪️ヴァイオレットとギルベルト
先ず私は、何で浜辺のシーンで、ヴァイオレットはギルベルトに抱きしめ返さないんだろう?
と疑問に思いました。
そして次に、映画の序盤で『左腕の義手が故障』した伏線は、どこで回収したことになったんだろう?
と疑問に思いました。
そして昨日、16回目の観賞時、ギルベルトがディートフリートに送り出され道を走っているシーン。
その時に右の袖が風に揺れているのを見て、ピンときたんです。
ヴァイオレットは両腕が義手ですよね。
あまりにも普通にしているので、意外と私はそれを忘れてることがあるんですけど、
義手ってことは、何かに触れても、その感触や感覚は無いんですよね、きっと。
ユリスと義手の話になった時にも、
「この義手を使いこなせるようになるまで少々時間がかかりました」
と言っていました。
さらに、ユリスとヴァイオレットが指切りをした後、ユリスは「冷たい指だな」とヴァイオレットの義手が『温かみがないもの』と言葉にしています。
このセリフはこの後に続く「僕も冷たくなっちゃうんだ」にかかっている訳ですが、
隠されたメッセージとして、ヴァイオレットの腕は冷たい作り物と改めてヴァイオレットと私たち観衆に明言していると私は思います。
つまり、
『ヴァイオレットの両腕は、血の通わない、痛みや温かみを感じないもの』
というメッセージです。
もしかしたら、ヴァイオレットはユリスの言葉を受けて、そのメッセージを心にとどめていたのかもしれません。(ユリスは悪意で言った訳ではありませんが)
しかし、事実として、どれだけ強くギルベルトに抱きしめ返したとしても、その感触はヴァイオレットには絶対に伝わらないんですよね。
私の結論はこうです。
【ヴァイオレットは、ギルベルトの腕で、自分の生身の部分を抱きしめられる感触を確かめていた】
左手が壊れたシーンは、
『ヴァイオレットの腕は、壊れても修理可能な作り物でしかないんだよ』
と分かりやすく私たちに見せたのではないかな、と。
加えて、最後の手紙の読まれなかった一文『わたしは、少佐を愛しています』
も、その表現に関わっているのではないかと思います。
※私が書き写したもの
最後の手紙でヴァイオレットは想いを言葉にしていました。
つまり手紙によるプロポーズです。
ですので、浜辺でのギルベルトの「愛してる」は、ヴァイオレットへの返答ということになります。
ギルベルトの「愛してる」がプロポーズの言葉であれば、ヴァイオレットが抱きしめ返すことでそれは『プロポーズの返答』です。
つまりここでは、ヴァイオレットからのプロポーズだったからこそ、『ギルベルトが返す(抱きしめる)』という形で終わったのでないか。
という考えです。
まぁ、どっちしても、「『ヴァイオレットが抱きしめ返さなかった』のは、なぜ?」と思ったでしょうから、やはり先に書いた『抱きしめられる感触を確かめていた』
が私にはしっくりきたんですよね。
さて、長々と書いて参りましたが、もう一度今回の考察まとめのテーマです。
『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、
皆様には本当に今さらなのですが、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という女の子のことをおさらいさせてください。
そして今回の劇場版で、
自分の気持ちを大切な人に初めて伝えました。
エイミーと友達になったのは、劇場版の恐らく3~年前です。
15歳くらいに初めて友達ができた女の子が、18歳で初めて好きな人に「あいしてる」と伝えた訳です。
それは、どれだけ大きな決心や、度胸が必要だったでしょうか。
あの、アニメーション作品としては
どう考えても長い浜辺のシーン
は、どれだけリアルな
『人の初めての告白』
を描いたものかが解ると思います。
言葉にならない想いがあのシーンで描かれている。
私はそう思います。
だからこそ、
『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、
"特別な女の子" が "普通の女の子"になる物語
なんです。
京都アニメーションに本当に感謝してぇ。
尊いって、こういうことなんやな。って。
▪️そしてデイジー
はい、ラストシーンのデイジーです。
エカルテ島を訪れたデイジーが灯台や学校や郵便局や喫茶店を回って話を聞いたり手紙を書いてるシーンですね。
デイジーはヴァイオレットと直接的な関係性はありません。
約60年の時が経っているので、ヴァイオレットが生きているとして、78歳を越えたおばあちゃんです。
郵便局員の『ヴァイオレットを懐かしむ反応』を見る限り、ヴァイオレットは亡くなっていそうです。
ちょっと話はズレますが、私は
『郵便局員ヴァイオレットの息子(親族)説』は否定派です。
確かに局員のおじさん、見た目は50代か60代くらいなので、ヴァイオレットが20歳くらいで生んでいればその可能性もあるんですけど、学校の先生(ギルベルトの教え子によく似ている)より、局員の方が歳上ぽいので、「なら違うか」って感じです。
いや、その場合学校の先生が見た目若すぎ、ギルベルトの教え子なら70歳くらいになってるハズでしょ。ってなるので、学校の先生が、ギルベルトの教え子の、子供(40歳くらい?)。
という可能性があり、そうなると局員のおじさんヴァイオレットの子供説また出てきちゃうじゃん。
という感じです。正直解りません。
別の考察ポイントで、『良きドールの証』は、『自動手記人形育成学校』の卒業の証なので、どこでも手に入るものじゃないと考えると、あのおじさんが付けてるドールの証は多分ヴァイオレットのものです。
なので、①受け継いだのか、②エカルテ島の局員はヴァイオレットを真似て付けるから作ったのか、というパターンが考えられます。
この辺りも考察の域を出ませんね。
仕方ない。
(追記:局員のおじさんが着けているドールの証はレプリカであることが公式の書籍で明らかになりました)
おじさんの考察は置いといて。
デイジーは語り手として、『ヴァイオレットのその後』を私やnoteを読んでいるあなたに追体験させてくれます。
ヴァイオレットはここにいたんだ。ここで働いていたんだ。
この島で多くの人に愛されたんだ。
きっとギルベルトと幸せにくらしたんだろう、
という風に。
ここでも、ヴァイオレットの『普通』が見えます。
映画冒頭で『国の催事』で代筆をしていたヴァイオレットは、エカルテ島に移り住んでからは島民と共に生き、共に手紙を書いて暮らしたことが解る訳です。
デイジーの時代のエカルテ島は、国で一番手紙を書く島です。
つまり、それほどエカルテ島の人たちは『想いを伝えることの重要性を理解している』ということです。
ヴァイオレットがどんなことをしてきたのか。
その様子が見えてくるようです。
そしてデイジー自身が、各地で『ヴァイオレットが愛された証』を見聞きしてきたのでしょう。
劇中ではその詳細は描かれていませんが、冒頭とラストのデイジーの心象の変化を見ればその違いは歴然です。
デイジーはヴァイオレットの半生を追体験したことで、ヴァイオレットが今作中で成長したような『想いを大切な人に、今、伝える』ことを学んだのだと思います。
それはラストのセリフで解る通りですね。
そして、私たちにも教えてくれるんですよね。
想いを今伝える重要性を。
他の方のレビューで「映画を観終わって、「映画観てる場合じゃねぇ!!」と思った」という方がいましたが、それも納得です。
また、デイジーのラストシーンの使い方で「ズルいなぁ」と思うのが、
デイジーの「あいしてる」と、映画冒頭の『Sincerely(心から)』が繋がっているところですよね。
さらにその後には『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の文字が映るのですから、完璧な映画です。
これだけでも泣いてしまう。
さて、いよいよ、物語を追って書いた考察まとめも終わりですが、あと3点だけお付き合いください。
▪️冒頭とラストの道
『道』は演出的技法として『人生のメタファー(隠喩)』として用いられ、ヴァイオレット・エヴァーガーデンではヴァイオレットが道を歩くシーンが多く描かれています。
これはもちろん、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という作品が、ヴァイオレットの物語であり、彼女の人生を『成長』というフィルターを通して描かれているからです。
今作のラストシーンは、『暗い道を進み、歩くヴァイオレットを追い越す』という終わり方をしています。
つまり、『ヴァイオレットの生涯を追って見ることはここまで。彼女の生涯を私たち(観客や作り手)は完全に追い越しましたよ』という表現になっています。
ですので、
『私たちが見ていたその背中の女性の名は、』
というタイトルコールで終わる訳です。
2020/10/16追記
私(虫圭)には音楽的知識がほとんどないので気付けなかったのですが、
例えばエカルテ島の名前には2つの意味が存在します。
また、これはもっとたくさんあるのでしょうけれど、
劇中流れるBGMがシーンを象徴している構成になっている
とのこと。例えば、
▪️サポーティングスタッフ
京都アニメーション放火事件から1年以上が経ち、コロナの影響を受けて上映が延期された劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンが公開され、大ヒットしています。
大きな事件があったにも関わらず、屈しない姿勢と、それでも素晴らしい作品を作り続けよう。未来に繋がるアニメーションを作ろうという京都アニメーションには尊敬しかありません。
今作品のエンドロールには、そんな作品に携わった多くのスタッフ。そして、事件で亡くなったスタッフの名前が載っています。
全てのお名前を確認することはできませんでしたが、22歳という、本当に若くして亡くなったアニメーターの方の名前もありました。
改めて追悼の意と、敬愛と、感謝を。
私は一生、京都アニメーションを愛します。
『指切り』してもいいです。
きっと、この考察を読まれているあなたもそうなのだと思います。
▪️WILL
Twitterで、主題歌を歌っているTRUEさんがコメントされていました。
ということで聴き比べ、調べました。
太字が劇場ver.の歌詞です。
CD音源と比較すると尺が少し短くなっています。
これは『未来のひとへ』をエンディングの後半に差し込んでいるからですが、この『未来のひとへ』は、放火事件があったからこそ差し込むことにしたのではないかな、と私は思います。
歌詞が、もう、そうなので。
はぁ。
歌詞読むだけで泣ける。
はい。考察まとめは以上です。
これまで上げたものでコチラに載っていないものもあるかと思いますが、今回はこちらの流れの方がまとまりが良いかと判断しました。
他の考察を読んでいない方がいらっしゃいましたらそちらもどうぞ。
【花言葉集】とかオススメです。
もしかしたら、今度は絵コンテを読んだ後で何か書くかもしれませんが、読んでみないと何とも言えません。
友人は「絵コンテ集、文字は小さくて読みづらいけど本当にすごいよこれ!!」
って言ってました笑
なので多分私もスゴいオススメだと思います。
皆様も是非に。
あとは、ユリスの病室の花の変化が解き明かされるのかだけが心残りです。
ユリスと言えば、最後の最後、エンドロールの後に、
エカルテ島のどこかの家の一室で、ヴァイオレットとギルベルトが『指切り』をするシーンで幕を閉じますね。
ユリスのシーン、枯れた白薔薇の花言葉は『生涯を誓う』
本作品でヴァイオレットを成長させたユリスが教えてくれた、
『絶対に約束を守ると誓いあう』
という指切りを見せることで、私たち観客は、『ヴァイオレットとギルベルトは、この後生涯を共に暮らしたんだ』と安心してハッピーエンドを喜ぶことができます。
観賞後、私たちは目を腫らしながらシアターを出るのにも関わらず、凄く晴れやかな気分でいられるのは、そのようなハッピーエンドの顛末を見せる演出がされているからです。
最後の最後まで、素敵な演出ですよね。
【ファンブックより】
【グーグルマップのギリシャ:フォレガンドロス島】
ここには、とある1つの建物があります。
□Παρεκκλήσι Τιμίου Σταυρού
『ホーリークロスチャペル』
という名前の小さな教会(チャペル)です。
フォレガンドロス島のなかにいくつもある教会の中で、唯一『チャペル』と表記されている建物です。
ヴァイオレットとギルベルトは、ギルベルトの家(チャペル)の、窓のクロス(十字)の前で『絶対に約束を守ると誓い合う』指切りをしたんですね……泣
追加でまた泣いた……。
追記はここまでです。
それでは皆様。長くお付き合いいただきありがとうございます。
また、劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンのシアターでお会いしましょう。
(o・ω・o)ノシ
追記
2020/10/14
YouTubeでも考察(音声のみ)始めました(o・ω・o)良かったら。
【考察】劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン【ユリスと家族愛を考えてみた】 @YouTubeから
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