身体になじむ文章は音読でつくる
内田樹・三砂ちづる『気はやさしくて力持ち』を読んでいます。
声に出して読みやすい、音読がしやすいということは、言葉が身体に受け入れやすい、馴染むかたちで並べられているということだと思います。
書いた文章が自分や読んだ人の身体に馴染むかどうかは、自分の口で音読してみることでたしかめることができます。
何か文章を書いているときは、まだ言葉になっておらず、形も定まっていないアイディアが頭の中にあります。
私たちはそれをなんとかひねり出し、並べてみて、書き連ねていきます。
でも多くの人にとって、出てくる言葉や文章は自分の書きたい内容と比べて物足りないか、あるいは全く不十分なことが多いかと思います。
自分の考えていることを言葉にし、文章に書き起こしていくことは難しい作業です。
どれだけ時間をかけて手を入れても、満足に書けないことの方が多い。
だから、「思うような文章は書けない」ということを前提としてみてもいいのかなと思います。
ある程度まで書きたい内容を書けたら、それはそれで一旦よしとして、「言語化」から「読みやすさ」「音読のしやすさ」に考え方をシフトさせる。
自分で口に出して読んでみながら、つまったり、しっくりこなかったりする部分に手を入れていく。
そうすれば、たとえ言いたいことは十分に書ききれなかったとしても、自分や読んだ人にとって「しっくり」きやすい文章ができるのではないかと思います。
多くの人は声に出して文章を読むわけではありませんが、やっぱり音読をして整えた文章の方が読みやすいはずです。
文章の内容にこだわるのもひとつですし、「読みやすさ」にこだわって、「なんだかよくわからないけど、妙にしっくりくる文章」を目指して書いて、それを公開するのも悪くないんじゃないでしょうか。