「戦略ないくせに現場のせいにしないで」
平尾勇司『Hot Pepper ミラクルストーリー』を読んでいます。
●「そのノルマ、行動は何のため?」
メンバーは自分たちの行動の合理性を求める。自分たちの行動が全体戦略のなかでどのように位置づけられているのか? その行動はどのような根拠にもとづいて考えられ決められたのかを論理的に納得したいと考えている。
『ホットペッパー』では「事業を科学する」全体図をつくり、必ず全体図のなかの位置づけとその整合性と連携を明らかにした。 (p.104)
ただ単に
「給料もらってんだから黙ってノルマ達成しろ」
と言われるのと、
「〜という計算、理由でこういう数値をあげる必要がある。やろう」
と言われるのでは、戦略の実行者、すなわち現場の人たちのモチベーションや、目標の達成確率はまったく異なります。
合理的な理由がなければ、「いいから黙ってやれ」の”命令”であり、嫌々やる仕事になってしまいます。
●「これをするとどうなるの?」
また、以下のような話も出てきます。
では論理だけでいいのか? これも違う。理屈で人は動かない。情で動く。「この街の人々を喜ばせる」「お店のオーナーを感動で泣かせてみせる」「このチームで勝って涙を流す」
科学的で論理的な戦略プランにこの情緒的なプランを加えたとき、それは理屈を超えて実行されるプランになる。 (p.105)
「これなら勝てる!」とみんなが信じられる”合理的”なシナリオと、「これが実現したら最高!」という、”心が動く”シナリオの両方が必要です。
自分自身がなりたい・実現したい姿と、事業の数字や目標をつなげば、戦略は勝手に実行・達成されます。
「なぜこんなにテレアポしないといけないの?やってどうなるの?」
「この営業ノルマ、いったいどんな意味があるんだろう?」
現場の人たちにこんな風に感じさせているとしたら、会社側、マネージャーが戦略ストーリー、すなわち過去→現在→未来をきちんとつくれていない、もしくは伝えられていないということです。
「やるべきこと(現在)」
+
「なぜやるのか(過去)」
+
「やるとどうなるか(未来)」
を3点セットでマネージャーは伝える必要があります。
これを伝えることで、単なるノルマ、数値目標だったものを現場の人たちが長い時間軸(ストーリー)で捉えられるようになります。
戦略とはすなわち、過去・現在・未来を「なぜ」「そうすると」という接続詞で繋ぎ、”現在やるべきこと”に意味を与えることであると理解しました。
戦略を伝えずに目標だけ与えて、それが実行・達成されないと「君たちは期待外れだ」みたいなことをいうマネジメントだけはしないようにしたいですね。