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何故サブスクリプションが普及したのか?

ITサービスの発展とサブスクリプションは同時に語られることが多いですが、その理由があまり理解できていなかったので、調べてみました。


0.サブスクが普及した3つの要因

昨今の消費行動における「所有から利用」への変遷には
(1)モノを「買えなくなった」
(2)モノを「買わなくてもすむようになった」
(3)モノよりも「サービス(コト)を買うようになった」
という3つの要因が挙げられる。


1.モノを「買えなくなった」

バブル崩壊後に長らく続いた景気低迷により、賃金水準の低い非正規雇用者が増え、正規雇用者でも30代~40代で収入が伸びにくくなっている。

一方で2014年頃から、アベノミクスによる雇用環境の改善によって、企業等の新卒採用が積極化し、特に25~34歳の非正規雇用の割合は低下している(それでも当該年代男性の15%は非正規)。しかし、35~44歳のいわゆる就職氷河期世代は、その恩恵を受けておらず取り残されて状況にある。

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また、2003年以降の相次ぐ制度改革によって、所得税・住民税・厚生年金・健康保険料・厚生年金保険料がすべて増加しているため、額面年収が一緒でも、手取り額(可処分所得)は年々減り続けている。

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さらに、モノを「買えなくなった」要因の1つに、少子高齢化による将来の経済不安も挙げられる。

内閣府では、年金と医療、介護の三領域において、生まれ年別に給付と負担の関係を推計しているが、生涯のサービス受給額から生涯の保険料支払額を差し引くと、1955年生まれからマイナスになり、1980年代後半生まれではマイナス3,000万円にもなる。 ーニッセイ基礎研究所ー


以上を要約すると、消費者がモノを「買えなくなった」要因は
1.収入が減少した(非正規労働者が増えた)
2.手取りが減少した(社会保険料率が増加した)
3.将来への経済的不安(年金の手取りが減少した)
の3つが挙げられる。


2.モノを「買わなくて済むようになった」

現代の成熟した社会では「お金を使わなくても」消費生活を楽しめるようになっている。

前述したように、現代の若者は経済的に厳しい状況に置かれているが、一方で生活満足度は高いというデータがある。2019年の内閣府による調査では、若者(20~29歳)の85.8%は、生活に満足orやや満足していると回答しており、他のどの年代よりも高い割合となっている。

若者の生活満足度が高い背景には、デフレと技術革新により、安くて品質の良いサービスが溢れ、お金を使わなくても、過去と比べて質の高い消費生活を送れることが挙げられるという。

例)ファストファッション、LCC、SNS

特にサブスクリプションの拡大によって、自動車・雑誌・本・漫画・ゲーム・音楽・映画・ドラマなど、生活に関わるあらゆるサービスが、月々低額で利用できるようになった。

加えて、消費者間における社会貢献意識の高まりも、モノの大量消費に歯止めをかけている可能性がある。温暖化や地球規模の環境問題が問題視される中で、消費者の消費意識も変遷してきているのかもしれない。


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以上の背景を考えると、私個人としては、サブスクリプションが、資本家階級が労働者階級をより搾取するための次なる手段のように思えてならない。昨今、資本家と労働者の間の富の拡大が問題視されているように感じるが、サブスクリプションの拡大は、そのような社会情勢を反映しているのかもしれない。


3.モノよりも「サービスを買うようになった」

第三の要素として、モノよりも「コト」を買うようになったことが挙げれらる。ITの発展により、モノが「デジタル化」されたことで、モノではなくサービスを買うことに拍車をかけたのではないか。高速通信技術やスマホの普及によって、いついかなる時もインターネットにアクセスできる環境が整備されなければ、音楽や動画、自動車のシェアリングサービスも生まれなかったかもしれない。

そのように考えると、IT技術の発展と共に、サブスクリプションが拡大したことには納得感がある。


出典: 所得から利用へと変わる消費-なぜサブスクリプションサービスが拡大するのか?-

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