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浅くて広い知識が欲しい

なぜか今ごろになって勉強したい欲が出てきている。

別に雑学王になりたいわけではないし、大学受験の時並みに死に物ぐらいで勉強したいかと言われるとそうではない。

単純に、普段生活している中で疑問に思うことをちゃんと知っておきたいなと思ったのだ。

本当にこの世の中知らないことがたくさんあって。

もし今小学生の子どもが目の前にいて、純粋無垢な心で世間の疑問を尋ねられたとして、どれぐらいちゃんと答えられるんだろうか。

「インターネットってどういう仕組み?」
「なんで蛇口をひねると水が出るの?」
「どうやって地下鉄の沿線って伸ばしてるの?」

何一つまともに答えられる気がしない。
こちとら聞きたいぐらいなんだけど。
どうやってあんな東京メトロみたいな
あみだくじと大差ない路線作ったんですか。

実際、高校生のころはなんでこんな簡単な問題解けないんだろうと不思議に見ていたネプリーグだって、最近見ると思い出せない問題が多くなっていて、どっちかというと出演者に共感してしまう。分からないと言っているゲストに「分かるわ~」って思う。

今、高校生の人たちはネプリーグに出ている大人たちを決して馬鹿にしないで欲しい。君も5年後ぐらいには覚えた事をきれいさっぱり忘れているから。馬鹿にするなら5年後に改めて馬鹿にしてほしい。

ただ、色んな知識が欲しいのは確かなのだけど、一つのことを根掘り葉掘り知りたいわけではないのだ。

ただ、浅くて広い知識が欲しい。
言うならばスペシャリストじゃなくて
ジェネラリストになりたい。

別にスペシャリストを軽く見ているわけでは全くなくて、一つのことを極めることが出来るのはそれだけで尊敬するし、才能とその好きを極める覚悟を合わせ持っている一握りの人しかできない所業だと思っている。

ただ自分には好きなことがいろいろあっても、それぞれ他の誰よりもそのことが好きで負けないかと言われるとそこまでの自信はないのだ。

中学時代は全科目オール4で大体のことはそこそこできるけど、全体で一番になれるものがあるかと言われたらそうでもなく。いわゆる器用貧乏。出木杉君の足元にも及ばない。

ただ、興味のあることはいっぱいあって。

そういった興味のあること、好奇心が動くものを素通りしていると、気づいたら山積みになって取り出せなくなってたりする。

この世の中には知らないことがたくさんある。
そして、その知らない知識をすぐに得ることが出来る。

そんな今のご時世に、別に知らなくても生きていけるから良いじゃないとは到底思えない。小学生の純粋な疑問に答えられない大人よりは、さらっと知識が出てくるほうが何だかかっこいい。

実は、そんな幅広い知識を持っていて、質問したらそれなりの答えを返してくれる人が昔から近くにいた。

それは、父親だった。

父親は別にとんでもなく学歴が高いわけではないし、大学には行かずにそのまま就職していた。

ただ、父親は物知りなのだ。
自分が疑問に思ったことについて、1を聞くと10の説明が返ってくる。

中学生の頃ふと授業で気になった日本の歴史について尋ねたところ、その後1時間ほど拘束されることとなった。

軽い気持ちで聞いたことを後悔した。まさかちょっとした質問が、八百万の神が登場する大講義になるとは想像だにしていなかった。

別に父親も元から物知りだったわけではなかったと思う。ただ、父親は割と気になったことはすぐに調べる人だった。

ポケモンにハマってた時だって、家族の誰よりも早く努力値について知っていた。無邪気に育てている自分たちの横で、ちゃんと厳選してた。

疑問を疑問のままにしないこと。

それを今でも出来ている人は
そんなに多くはないように思う。

ところで「自分の理想の父親像」と言われて誰か思い浮かぶ人はいるだろうか。

自分が思う人物に、森見登美彦さんの「ペンギン・ハイウェイ」という作品にでてくる、主人公アオヤマ君の父親がいる。

アオヤマ君自体、小学生にしては物知りで興味のあることをとことん突き詰めるタイプなのだけど、分からないことや行き詰ったことがあったとき、大体アオヤマ君の父親が登場する。

だけど、アオヤマ君の父親は
決して正解を教えることはない。

ただ、正解を教えることはないのだけど、正解に辿り着くまでの手助けになるような教え方をする。

例えば、すごく難しい問題があったときに
アオヤマ君が使う「父さんの3ヶ条」がある。

①問題を分けて小さくすること
②見る角度を変えること
③似ている問題を探すこと

どれも決して答えになるものではないけど、この「父さんの3ヶ条」は目の前の問題を解決するヒントのようなもので、きっとこの後もアオヤマ君が壁にぶち当たった時に彼を助けてくれる考え方になる。

自分もこの考え方を参考にすることがよくあるぐらい。

「問題が何か、ということが分かるのは、たいてい何度も間違ったあとだ。でも訓練を積んだ人は、だんだんそれを見つけ出すのが上手になる」(p.96)

特に難しい言葉は使っていない。
考えを制限することもない。
でも、どの言葉もすんなりと心に入ってくる。

それにしても「ペンギン・ハイウェイ」の映画良かったな。歯科医のお姉さん役の蒼井優さんの声ぴったりすぎ。

とにもかくにも、自分も興味を持ったものは後回しにしないで、極力その都度調べることが多くなった。

何も耳に入れずに直線コースぶっちぎりで走ったほうが早いに決まっているけども、自分は回り道してでも小さな疑問や興味を好奇心の赴くままに拾っていきたいなと思っている。

浅くて広い知識がどこで役に立つかは分からないから。

そして、今は全くビジョンも見通しも見えないけども
もし自分が父親になるようなことがあるのなら。

我が子が知らないことや難しい問題に差し掛かったとき、決して答え合わせのように回答を教えるのではなくて、その出口までそっと導いてあげられるような言葉をかけてあげられる人になりたいと思うのだ。

自分の父親が、そうだったように。

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