見出し画像

帯の場所により使う繊維を変えていることについて

同じ葛でも葉の形や蔓の色、形状などそれぞれ個性があるのですが、札幌市内だけでも私の知る限り5〜6種類はあり、それぞれ繊維の状態も結構違う。蔓の選別によるのはもちろん、天候や採取するタイミング、発酵のさせ方も取れる繊維の様子に影響するので、強度・弾力・光沢・厚みなどもそれぞれ違う。
帯地として使いやすい繊維となるように、なるべく一定になるように努力はするが、どうしたって手の及ばない差は出るし、時に失敗もする。
でも以前も書いたように(参考記事→『葛布の帯地の年間生産量について』)一年で取れる繊維はほぼ一年で使い切る。

八寸帯地の場合はお太鼓や体に巻く部分と手先はある程度のハリが必要だが、結ぶ部分は柔らかい方が扱いやすい。だから、硬く厚みのある繊維をハリの必要な部分に使い、柔らかい繊維は結ぶ部分に使うようにしています。
また、半幅帯地や角帯地には、少し弱い繊維でも太めに裂くことで強さを持たせ=八寸帯地と比べて少し地厚になるように織る、という風にして、限られた材料をなるべく無駄なく使えるようにしています。
途中で繊維を変えるときは、その境目が目立たないように、徐々に変化するように織っていきます。
厚みのグラデーションと言うと伝わりやすいでしょうか。

葛布八寸帯地『upas 6』
https://kuzunonuno.com/upas/

画像1


(更新履歴)
2024.10.11 微妙な部分を手直し

いただいたサポートは制作費として大切に使わせていただきます。 https://kuzunonuno.com