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久世物語⑮【発展期】さらなる飛躍

当社は今年創業90周年を迎えました。
90は語呂合わせで『クゼ』と、まさに久世の年。

長い歴史の中には創業者や諸先輩の苦労や血の滲むような努力があります。
私たちがどのような会社で、どのような思いが受け継がれてきたのか。
「久世物語」をお届けいたします。

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【第15回】さらなる飛躍

C&Gプロジェクトの成果

 上場後、数年を経た頃、久世の業績に少しずつ陰りが見えはじめた。
外食産業を取り巻く市場の成長基調が弱まる中、久世社内では新入社員が増加し、かつての一体感が薄まってきていた。
さらに、中期経営計画に応じて立ち上げた久世の業務革新プロジェクト、キスコフーズの生産革新活動も形骸化しつつあり、問題点を指摘できても、実行できなかったり、頓挫することが続いた。

そして、2009(平成21)年、創業以降初めて、中間期での赤字決算となる。
「今こそ、強い会社にしなければ」


 健吉は現状の久世の問題を探るべく、外部のコンサルティングを導入した。
そして、これまでの業務改善が単なる問題提起に留まっていたことを痛感する。「いつまでに、なにを、どれだけやるか」が明確でない限り、その場しのぎの改善はできても、本質的な問題解決には至らない。
これまでのように外部から解決策を提示してもらうのではなく、自分たちで問題を見つけ、解決までの進捗管理をコンサルタントに任せることにした。
さらに、こうした施策を幹部任せにせず、健吉自らトップダウンで敢行した。
 


こうして「第1次C&G経営計画」が立ち上がる。
「Change & Grow for The Good Company」

「企業として成熟し、より高い目標へと『登る山が変わった』からこそ、ひとり一人の意識レベルから変革しなければならない」という考えから、期限管理の推進による成果へのこだわり、週単位のPDCAマネジメントの徹底など、具体的な行動指針を掲げて意識と行動の変化を促すものであった。

合わせて、仕事を「効率的に、正確に、気持ちよく」行うための基本動作研修が実施され、翌2010(平成22)年には、経営の基本理念が記された「KUZE WAY」が全社員に配られた。
同年、真也が社長に就任したキスコフーズでも、C&Gが本格的に導入された。


 変化への対応、そして、顧客とともに発展する利益へのこだわり。創業以来の誠実な経営方針を具現化するC&Gは、全社挙げての取組みにより当期増収増益という成果をもたらした。


新たな挑戦

 C&Gの定着は、確実に社員の意識を変え、行動を変え、仕事の質を上げていた。そして、2010(平成22)年の年初、創業75周年の「感謝の集い」の席上で健吉はある決意を口にした。

「首都圏No .1」「お客様満足業界No .1」
久世営業利益2%・キスコフーズ営業利益6%を達成し、グループ売上1000億を実現する。

創立75周年を機に今一度原点に立ち返り、創業者福松が築き上げた信頼や誠実をもとに久世グループの価値を向上する。
ここに、久世の新たなる挑戦が宣言されたのである。
 


 C&G導入2年目となるこの年から、財務・経理や人事総務、品質管理など間接部門への浸透も図られる。
「1億円のコスト削減」という旗印の下、走行距離を短縮する新しい配送ルートの検討・実現などが成果を上げ、利益率向上へ大きく貢献した。
翌2011(平成23)年にはすべての業務プロセスの品質向上に向け、キスコフーズ清水工場、久世・キスコフーズ本社でIS22000/FSSC22000認証取得に向けた取り組みが始まる。これに伴い、久世グループの品質方針「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」も制定された。
 


 2011(平成23)年、東日本大震災でいち早く復興支援活動を展開した久世は、C&GのCをそれまでの「Change」から「Challenge」へと読み替えることを発表した。
久世の業績と人間的成長を意味するC&Gに、新たに「挑戦」というキーワードが追加されたのである。
この「Challenge & Grow for The Good Company」をスローガンとした、「第2次C&G経営計画」が2012(平成24)年よりスタート。
「杉の木を植える」かのような長期的視野に基づいた、幹部候補社員の人材育成の方針も加味された。


 
 そして、創業80周年を迎える2014(平成26)年。
超・高齢化社会の到来が間近に迫り、原油や原料の長期的な値上がりや消費税増税など、外食産業と久世をとりまく環境は決して安泰とはいえなかった。

しかし、「目標が大きく困難であればあるほど、達成感は何物にも代えがたい喜び」と健吉は断言する。
それを表すかのように、海外拠点の充実、商品開発力強化への取り組み等、売上1000億を目指す施策に取り組んだ。
そして、2014年4月1日より水産仲卸会社である旭水産株式会社が全株譲渡によってグループに加わった。


(発展期・完)

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