「ライブハウス」
「今日はよろしくね」
ライブハウス責任者のお兄さんと
挨拶を交わす
とうとうこの日が来たのだ
そう、初めてのLIVE
憧れへの第1歩
外には縦型看板があり
そこには「マグナム」と
英語で書かれていた
ライブハウス「マグナム」は
トレーラーのような外見をしていて
銀色に輝いた姿はどことなく
未来っぽい雰囲気に感じた
目の前には公園があって
人通りもあった
入り口から入ると左横に
スタッフさんがチケットの
やり取り等をするカウンターがあって
そのまま一番奥にステージがある
ステージの向かい側
入り口から入って
右側にはドリンクを提供する
バーカウンターもあったが
我々はティーンの為
この日はソフトドリンクのみになっていた
広さはスタンドで100人程が入るキャパだ
もう一つ、ここと同じ系列会社が運営する
広いライブハウスがあるのだが
俺達には広すぎて
スタッフさんのすすめもあり
規模が少し小さめの
ここ、ライブハウス「マグナム」を選んだ
ライブハウスに入って
リハまで待機ということなので
壁横に寄りかかり
みんな思い思いの顔をして
楽器や機材の調整をしたり
譜面を見直したりを始めた
そんなみんなの
面持ちはなかなかに強ばっていて
その姿を見たら
少し気が引き締まった
そうしていると
このLIVEに出演してみないかと
声をかけて参加してくれた
別のバンドマン達が
ぞろぞろと入ってきた
2組は声をかけた顔見知りだったが
もう1組は知らないバンドで
知り合いバンドの1組が声をかけて
出演してくれる事になったようだ
今回、俺達のバンド主催で
LIVEは行われるのだが
タイバンと言って他のバンドもいる
自分達を含め4組のバンドが今回出演する
全組コピーバンドだった
その中で何度かLIVEを経験している
バンドも居て、それがあの知らないバンドだ
なんとなく余裕そうに見えたが
同じティーンらしい
でも、この頃は自分達の事しか頭に無く
タイバン相手はあまり目に入って無かった
正直、他に目を向ける程
余裕もなくいっぱいいっぱいの状態だった
ただ不思議と緊張は一切無かった
30分程してスタッフさんが
誰ともなく声をかけてきた
「リハ始めて下さーい、まずはトリのバンドさんからね」
リハが始まった
逆リハと言って
出演する順番と逆順に
マイク音量や楽器類の音量調整
実際演奏して問題ないかをチェックしていく
俺達は実力ゼロだが
主催者なのでトリで演奏になるらしい
別に決まりではないらしいが
せっかくだし、良い経験になるよと
スタッフさんに言われて今回
クロージングアウトに。
なのでリハは最初になった
楽器部隊各々が音出しを始めた
するとスタッフさんがドラムやベース
ギターやシンセ、マイクなど
PAを通して音量調整を始める
へー、こんな感じで音量調整してくれるんだ
そんな風に思っていると
スタッフさんから曲リハの指示が出る
取り敢えず1番目に歌う曲を
演奏する事にした
ドラムのカウントバチ音が
スリーカウントで響く
「♪__________________🎵」
サビ前までのフレーズを歌う
この時思った
なんて歌いやすいんだろう
音量は出てるのだろうけど
普段より格段と歌いやすい
ロックだから叫んで歌うけど
無理やりじゃない
良い感じのシャウトでいける
なんでだろう?
これがPAのお蔭だと言うことを後で知る
そう思って歌っていると
ステージ前のホールで
思い思いに腰を降ろしていた
タイバン相手のバンドマン達が
こちらを観ているのが目に入った
まるで何かの審査員のように見えて
いやいやなんかこわっ、と
変な気分になった
無事にリハが終わり
みんなも思ったより
良い演奏が出来た事に
本番への自信がついたように見えた
次のバンドのリハが始まる
あの知らないバンドだ
「♩🎶♪!!!」
_____うまい
演奏も落ち着いていて
でもどのパートも主張していて
そう、まとまっている感じだ
俺達のバンドとはジャンルは違うけど
スゴくかっこよかった
この時から自分の音楽への幅を
広げる為、ロック以外のジャンルを
俺は率先して聴くようになる
全体のリハが終わり
本番まで2時間
俺達のバンドは
軽い食事を取ることにして
マグナムをあとにした
「ライブハウス」終わりのある物語3 ~過去~
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ご覧下さりありがとうございました。