親子編 36回目 参拾八

「嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係

については、子の出生当時における父の本国法により、

母との間の親子関係については当時における母の本国法による。

この場合において、この認知による親子関係の成立については、

認知の当時にける子の本国法によれば、その子または、第三者の

承諾または同意がある事が認知の要件である時は、その要件も

備えなければならない」

となります。

またまた法律の条文です。

これだけ長いのに様々な意味あいが込められているので

非常に重要なんですが、大変です。

この条文のあとに、この条文の補足がついています。

「この認知は、前項前段の規定により適用すべき法によるほか、

認知の当時における認知するもの又は、子の本国法による。

この場合において、認知する者の本国法によるときは、同項後段

の規定を準用する」

長い条文のあとに、長い補足をつけるというなんとも

呪文のような作りになっています。

呪文に呪文を継ぎ足せば、より長い呪文になります。

ますます大変になっていきました。

これは、最初の条文が長いのでそこに、無理やり補足をつけると

さらに長くなって何が何だかわからなくなってしまうので

分けて書いています。

つまり、この補足の目的は、より「子の利益」をかなえるために

付け加えられているということが最重要です。

そのうえで、

子供が

「出生した時」に認知する者の本国法

(すなわち父親、母親、それぞれの本国法)

もしくは、

「認知の当時」の認知する者の本国

もしくは、

「子供の本国」という。

これは、「出生した時」「認知した時」という2の時間と

「出生した時の認知者」「認知した時の認知者」「子供本人」

という3人の登場人物のそれぞれの本国法の法律。

3つの本国法のどれでもいいから認知できる法律を使って

親子関係を認められることができればよいということ

を書いています。

それだけ、「広い時間」と「基準とする人物の人数」を設定して

なんとか「子供の利益」に添って、
子供を安定的な立場にしようとする

ことになります。

これで確かに、間口を広くはしますが、なんでもかんでもではよい。

というのは駄目なので、前回同様、それだけ間口を広くしたとしても、

ちゃんと、決められた最低限の条件はクリアしなければ駄目。

ということです。