婚姻編 20回目 弐拾四

前回までは、日本人Aさんが、

日本国籍を選択した場合。

日本国籍を離脱して、B国籍を選択した場合

の話でした。

では、逆にBさんはどうでしょうか?

日本の国籍法では、「婚姻」を機に

配偶者に国籍を付与する制度はありませんから、

Bさん自体が重国籍になることはありません。

(あくまでも、Bさんが婚姻前に重国籍者

でない場合です)

ですので、Bさん自身としては日本人との

結婚において国籍の問題にはなりません。

ただ、B国法における規定によっては、

B国籍離脱が条文かされているかもしれません

ので、よく調査をする必要があります。

国際結婚で非常に難しいのは、

その国の国籍者だからといって、その国の法律

を知っているとは限らない。ということです。

当然ですが、日本人だからといって、国際結婚

の際の法律を知っている人ばかりではありませんし

国籍に関する法律以外にかんしても知っているとは

限りません。

確かに、日々の「生活」だけを考えるのであれば

煩雑な手続きや届出にかんしては、それほど

深く考えることはないかもしれませんが、

災害、病気、戦争、相続、出産などの場合は、

国籍はもちろん、身分関係の規定が関わってきますから

これらの手続きが適正になされていないとで受ける

不利益というのは非常に重いものになります。

人生がその時点から、大きく変わってしまうことすら

あります。

例えば、宗教上の理由から本国法で「離婚禁止」が

法制化されている国もあります。

そうはいっても、男女の仲。

当然、うまくいく場合もあれば、そうでない場合もあります。

しかし、法律上「禁止」になっている場合、法律が

現実にそっていないなくともその法律にそって行政が動きます。

そうなると、人々が、その法律に従わず「現実対応」をすることで

法制度の形骸化を招くことがあります。

本来ならば、その形骸化した法律を現実に対応させるために

改正をしなければいけないのですが、様々な理由から

人々の生活では全く異なる習慣になっているのに、

法律だけは残っている。という国も多くあります。

その場合、「現実」を優先して生活を続けていたとしても、

いざ、行政の「証明書」や「宣誓書」などを請求する段階に

なっても取得できず、日本の行政側では対応できない。

もしくは対応しない。ということも多くあります。

その結果、自分以外に、子供や孫などが国籍をはく奪、

喪失することすら起こりえます。

もし、そうなった場合は、その国で生まれ、育ち、
生活をしていてもある日突然、国籍がないことで、

無国籍の「外国人」となり国での生活ができなくなる、

国外退去の可能性すらあります。

日本での生活では、そこまで起きることはケースとしては

多くないですが、外国法との関連では起きる可能性は常に

あると思っていただいた方がよいです。