親子編 35回目 参拾七
「嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係
については、子の出生当時における父の本国法により、
母との間の親子関係については当時における母の本国法による」
この場合において、次では、
2段目は、「認知」行為による親子関係の成立についてです。
この認知による親子関係の成立については、
認知の当時における子の本国法によれば、その子または、第三者の
承諾または同意がある事が認知の要件である時は、その要件も
備えなければならない」となります。
なにやらややこしい分が続きます。
そもそも
子供はなるべく法的に安定した状態において、
保護者の庇護のもとで安定的に過ごすことが
子供にとっての利益と考えられています。
法律は、この部分を重要視しています。
生まれてきた子供が、より良い状況になるように考えて
出生という事実だけではなく「認知」という行為でも
親子関係を認められるようにしました。
しかし、ただ「認知」さえすれば、親子関係が生じてしまうと
良からぬことを考える人間や、不本意な形で親子関係が生じて
しまう場合もあります。
子供は生まれたばかりですから、本人に「親子関係を作りたい?」
と聞いても答えることはできません。
そこで、「子の利益」を守るために
1段目の「父親との関係」「母親との関係」はそれぞれの本国法に
おいて判断しつつ、しかも、認知される子供の本国法において
認知する場合に、その子供本人、もしくはその子供以外の
第三者からの承諾や同意がいる。
ということを「子供の本国法」が条件としているときは、
第三者の承諾や同意をもらってからでないと認めることはできません。
ということです。
そもそも「子供の本国法」とはどう決まるのでしょうか?
よほど特殊な場合以外は、出生した時の「母親」の国籍と
同じ国籍を取得することになります。
つまり、日本人Aさんが出産した子供は、出生の事実と共に
日本国籍を取得することになります。
ただ、海外には出生だけでは駄目で、届出をして初めて
母親と子供関係が発生するところもあるようなのですが、
そうなると、いろいろと問題がおきる気がするのですが
そういった法制の国もあるようです。
子供の本国法による時には条件がつきます。
確かに、子供との親子関係を認めやすくする必要はありますが、
安易に認めてもよくないので、条件を付けて、その条件をクリア
できるほどの関係性があり、子供と親子関係を結ぶのであれば、
認めるとなります。
その1段目と2段目において、
「出生という事実」「認知という行為」
どちらでもいいから、なるべく子供との親子関係を成立しやすい
ということで選択の幅を持たせたものになります。
例えば
未婚状態の日本人Aさん(奥さん)、外国籍Bさん(旦那さん)が、
子供Cが出生した場合、Aさんとの親子関係については、
日本法をもとに親子関係を判断します。
そして、外国籍Bさんとの関係については、
B本国法をもとに親子関係を判断する。というわけです。
そして、外国籍Bさんが、Cを認知する場合においては、
Cの本国法。
すなわち日本人Aさんから生まれているから日本法。
Cの本国法=日本法
日本法において、第三者の同意や承諾が必要との条件があれば、
それをクリアしないと外国籍Bさんは、Cを認知できない。
ということです。