婚姻編 15回目 ⑲
多くの人は、国籍は一つです。
例えば、日本で生まれて、日本で育った場合は
国籍は一つであることがほとんどです。
しかし、
父親が外国籍、もしくは母親が外国籍。
または、両親は日本人だけれど外国で生まれた場合など
国籍が複数に及ぶ場合があります。
多国籍なんてうらやましい。
と思う人もいるかもしれません。
確かに、日本と他国を行き来して、いろいろな国や場所で
華々しく活躍する機会があれば非常に良さそうな気はします。
しかし、国籍とは、その国の一員であるということですから、
権利と共に義務も当然課せられます。
国籍があるということは、国によっては、兵役や納税、
宗教や身分など多岐にわたる義務があります。
そういったものが二つ以上の国籍をもっていた場合、
どちらの国籍国の義務を果たすのでしょうか?
両方の国籍国の義務を果たすのでしょうか?
どちらかの国で戦争が始まった場合、徴兵制度が
あれば兵役にでなければいけない場合もあるかもしれません。
こういったこともあり、重国籍となった場合に、国籍の選択を
しなけえればいけない法律があったり、国籍を喪失する法律が
ある場合が多いと思われます。
日本においても、
外国籍の方が身分行為をする際に重国籍者だった場合は、
以下の方法で、基準とする国を決めて、その国を基準に
法律の判断をします。
二つ以上の国籍を有する者は、持っている国籍のうち当事者が
・「常居所」がその国にあるときは、
⇓
その常居所地の法
常居所がない
↓
・最も密接な関係がある法
(密接地関連法)
重国籍のうちのいずれかが日本国籍の場合は、日本法を
当事者の本国法とする
(通則法38条)
としています。
これは例えば、外国籍Dさんと外国籍(重国籍)Eさんが
結婚する場合、Eさんの結婚条件を調べるためには、どの
国を基準にすればいいか?ということです。
Dさんも、Eさんも日本に長期間在留しており、
Eさんの本国法を特定する必要がある場合です。
その場合、常居所が日本にある場合、Eさんの複数国籍とは
合致しません。
したがって、密接に関連する土地を考えなければなりません。
その場合は、Eさんの経歴や、家族構成、日本に来日する前の
状況などを総合的に考えて決めることになるということです。