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忘れられない食事Vol.5 旅の友は道連れ

8月に挙式を終えて、9月にいきおい家を買って、10月に引っ越した。異動先の部門に良くも悪くもカルチャーショックを受けながら、プロジェクトもいくつか乗り越えた。そうこうしているうちに気づけば前回の投稿からかなりの月日が経過してしまった。もう年末!Gotoのおかげもあり、下半期は人の動きが活発になったと思う。

ところで「一緒に旅行に行ける人」について、どんな基準があるだろうか。
良くあるのが以下のような条件ではないだろうか。
・金銭感覚が近い
・食事の好みが近い
・生活リズムが近い
・清潔レベルが近い
個人的にはこれらに加えて「トラブルを一緒に楽しめるかどうか」も大切だと思う。振り返ってみると、思い出深い旅行には必ず何らかのアクシデントが発生しているからだ。

ということで今回は、トラブルが発生した旅先の食事について振り返る。タイのパタヤで飲んだロングアイランドアイスティーと、長崎のフェリーで食べた、魚を甘辛く煮たおつまみである。

前者は2015年の夏に、高校の親友と3年越しの卒業旅行で訪れた時のことだった。バンコクを拠点に一週間くらいの滞在で、パタヤの良さげなホテルに2泊してエステを受けてどろどろになることをあらかじめ決めていた。私も彼女も自他ともに認める雨女で、パタヤに着いた時からすでに空模様は怪しく、荷解きも早々に離島までの船乗り場に向かう途中でかなり強めの雨が降ってきた。予想はしてたが船は営業しておらず、雨宿りも兼ねて近くのレストランに入った。その時のメニューに、道中話題に挙がった「味も見た目もアイスティーなのにめちゃくちゃ酔う飲み物」が載っていることに気づき、面白半分で頼んでみた。残念ながらこの時に飲んだものは、確かに見た目こそアイスティーそのものだったが、味・香りは露骨にアルコールを感じさせるもので、2〜3口でギブアップしてしまった。それでもほろ酔いくらいにはなった。

で、タクシーに乗ろうと店を出たところで水が足首くらいまで溜まっていることに気づいた。あとでわかったことだが、過去最大の洪水に見舞われていた。スプラッシュマウンテンさながらの水飛沫を起こしながらホテルまで送ってもらった後は、送迎付きのエステを除き、基本的に引きこもるほか無かった。それでも夜中にプールで泳いで騒いだり、水着でアホみたいな自撮りを死ぬほどしたり、朝ごはんを山盛り食べたりして機嫌よく過ごした。エステは言わずもがな、最高だった。

後者は、2017年の秋に妹と九州旅行をした時のことである。「Vol1. まずい飯」で祖父と博多で食べた回転寿司について書いたが、その後の出来事である。佐賀の嬉野温泉でのんびりした翌日、長崎で九十九島遊覧船に乗ることに決めた。お互いの食欲と舌と相談して、船の発着エリアにあるイタリアンレストランでピザを食べる予定にしていたのだが、着いてみると店はあるのに営業している様子がない。(今回調べてみたら私たちが行った5ヶ月後に居抜きで似たお店がオープンしていたようで、察した)

仕方なく代わりの店を探したが、前日に旅館でいいご飯をたくさん食べていたこともあってちょっと高い海鮮や五島うどんの店はしっくり来ず、そうこうしているうちに出発時間が近づいてきた。お腹はそれなりに空いていたので、おつまみコーナーに並んでいた甘辛煮と、お茶と一緒に船に乗り込んだ。
山の上で食べるおにぎりと同じ要領で、潮の匂いを嗅ぎながら食べるそれはいつもより美味しく感じた。

以上がトラブルに見舞われた時の食事である。嫌なことは無いに越したことがないが、そんな嫌な時間でさえ楽しめる「旅行を共にできる存在」はこの上なく貴重だし、そういう人たちの存在があるからこそ、今日も生きていけるのだ。

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