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「なぜ」の理由を考えさせる教師になりたい|「先生」とのつながり

学生たちには、一人ひとりに大切な「つながり」があり、物語があります。
さまざまな人々と出会い、それぞれの経験を積み重ね、自分らしく輝く学生の姿を追いかけます。

化学の楽しさを知って、教師を目指した

高校生のとき、化学に興味を持った。
理科の先生が導いてくれた「有機化学」の世界。
先生はいつも、現象が起こる原因を考えることを大切にし、「有機化学の楽しさ」を教えてくれた。

いつしか、自分もその楽しさを生徒に伝えられるような先生になれたらと、高校の理科教師を目指すようになった。

神奈川大学に入学すると、自ら考え、持っている知識を用いて、目の前の問題を解決する力を養うことを大切にする先生と出会った。
そして迷わず、有機化学を専門とするその先生の研究室の門戸を叩いた。

ゼミでは発表者に対して必ず全員が質問をし、議論を深めていく。これは、「良い研究をするためには、お互いの意見を言い合える環境が大切」とする先生の指導観によるものだ。

一人では見えないこと、思いつかないことも、ゼミ生同士が意見を述べ合うことで、多様なものの見方、考え方に触れ、新たな方向性が見えてくることがある。それにより、研究が前進することもある。

文中

どんどん引き込まれていく「有機化学」の世界

有機化合物を研究対象とする「有機化学」は、衣類、医薬品、高分子材料など、日常生活に関わりが深い分野だ。

自然界に存在する有機化合物を模倣しつつ、いかに存在しない有機化合物を合成するか。試行錯誤しながらも取り組んでいる自分の研究には、私たちの目に見える分野と見えない分野をつなぐ役割があるのではないか。

研究室に所属してから、多くの研究者たちが60年もの長い歳月をかけて取り組みながらも、いまだ成功したことがない分野の研究に挑んできた。
自分が今、取り組んでいる研究が成功すれば、もしかしたら世の中を変えることになるかもしれない。そう思うと身が引き締まり、さらに有機化学の楽しさに引き込まれていった。

今後は、大学院でさらに有機化学の研究を深めながら実験の技術も高め、高校の理科教師を目指して教員採用試験にも挑戦する。

教科書に書かれていることをそのまま教えたり、正解が一つしかない問いを投げ掛けたりするのではなく、生徒が学んだ知識を咀嚼し、自分の考えを加えて発信できる力をつけるような授業をしたい。
そして生徒が自ら考えることを大切にし、目の前の現象に対して「なぜ?」と、理由を考えさせる教師になりたい。

今、自分が思い描いている教師像は、高校時代、そして大学で出会った先生の姿に重なっている。

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