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【飼育初心者でも安心】ニジイロクワガタの飼育方法 徹底解説
24.6/22 一部加筆・画像追加しました。
24.6/25 画像追加しました。
こんにちは!Stag Beetleです。
前回の記事では、外国産クワガタの基本的な飼育方法をご紹介し、飼育初心者の方にはニジイロクワガタがおススメというお話をさせていただきました!
ニジイロクワガタはクワガタの中でも最も飼いやすい種類です。
趣味での飼育はもちろん、繁殖や生態が観察しやすいといった点で夏休みの自由研究にもおススメできるクワガタです!
この記事では、ニジイロクワガタの成虫飼育から産卵方法、そして幼虫~羽化までの飼育方法がマスターできるように解説しておりますので、どうぞ参考にしてください!
【ニジイロクワガタの基本情報】
その名前が示す通り、体色が虹色に美しく輝くニジイロクワガタ。
オセアニアに生息するクワガタで、中でもオーストラリアのクイーンズランド州が有名な産地として知られています。
大きさはオスが40mm~70mm程、メスが20mm~35mm程です。
成虫の寿命は1~2年と長く、丈夫で適応温度に幅があるので、クワガタの中では最も飼育が容易な部類になります。
現在国内で流通しているニジイロクワガタは全て人工的に繁殖させたもので、野生の個体が入荷することは恐らくありません。
というのも、ニジイロクワガタの原産地は国立公園に指定されていて採集禁止なうえ、オーストラリアの動植物は国外持ち出しが禁止されているからです。
日本に初めてニジイロクワガタがやって来たのは1999年の4月。
当時は1ペアで数十~百万円程度で取引されていたそうです。
現在は価格が落ち着いて数千円で購入することができます。
昆虫ショップ以外にも、ホームセンターやペットショップ等で販売しているところもあり、かなり入手しやすくなりました!
野生下では玉虫色の個体しか生息しておりませんが、人工飼育下で赤色や紫紺、ダーク系といった体色の血統も生み出されております。
体色の異なる個体を掛け合わせて、独自の色や美しさを追及するのもニジイロクワガタ飼育の醍醐味と言えるかもしれません。
【成虫の飼い方】
【温度管理】
クワガタは直射日光の当たらない涼しい場所を好みます。
ニジイロクワガタも例外ではなく、15~25℃程度で飼育するのが理想です。
暖かいオーストラリアが原産国ということもあって、意外に思われるかもしれませんが、暑さには弱いのです。
とはいっても、適正温度を外れたからといってすぐに死んでしまう訳ではありません。
冬場は室内で10℃くらいの環境にいても半ば休眠状態で耐えますし、夏場は日中30℃に達する環境でも生きています。
ただし、凍結と蒸れには弱いので、飼育ケース内が水分過多にならないように注意してくださいね。
【飼育方法】
クワガタは飼育ケースに個別で管理します。
ニジイロクワガタは比較的小さい種なので、飼育ケースの大きさはミニサイズで十分です。
『クリアスライダー』や『コバエシャッター』といったコバエの侵入を抑制できるケースがおススメですよ。
ニジイロクワガタは温厚で、大アゴ(針葉樹マットがおススメ)を3㎝程敷き、その上に昆虫ゼリーと転倒防止材(割りばし等)をセットします。
転倒防止材は非常に重要で、クワガタは爪が引っかかる足場がないと、転倒した時に自力で起き上がれないので必ず入れてください。
あとは成虫を入れて直射日光の当たらない場所で管理し、エサのゼリーを3~7日程度の間隔で定期的に交換しましょう。
また、飼育ケース内が多湿になっていたり、汚れが目立っていたりする場合は、新しいマットに入れ替えて清潔に保ちましょう。
放置すると蒸れてクワガタが弱ってしまったり、悪臭の原因になったりします。
【産卵方法】
【交尾(ペアリング)】
まずはじめに、産卵をさせるには交尾をさせる必要があります。
成虫になって間もない個体は交尾・産卵できないので、しっかりと成熟した個体を交尾させます。
成熟の判断基準は、元気に活動してエサを食べているかどうかです。
元気にエサを食べているようでしたら繁殖可能と判断して良いでしょう。
また、羽化した日付が解かればより確実に成熟を見極められます。
エサ食いが良く、羽化してから3~4か月経過していれば間違いありません。
ただし、羽化から1年以上経過している個体は、交尾しても産卵しない傾向がありますのでご注意ください。
交尾はオスの飼育ケースにメスを入れて3日~7日程同居させればほぼ確実に完了します。
ニジイロクワガタは交尾欲が旺盛なので、オスとメスが出会うとすぐに交尾を始めますが、一度の交尾で精子の受け渡しが上手くいかない場合があるので、複数回交尾させて確実に有精卵を得るためにも数日間の同居させることをおススメします。
【産卵セット】
同居期間が終わったら、メスだけ産卵セットに移します。
産卵セットとはその名の通り、産卵に適した環境をセッティングした飼育ケースのことです。
ここでは、ニジイロクワガタの産卵セット作り方をご紹介しますね!
≪用意するモノ≫
・小~中サイズの飼育ケース
・産卵用のマット(微粒子発酵マット)
・転倒防止材
・昆虫ゼリー
産卵セットの作り方は簡単で、飼育ケースに産卵用のマットを堅く詰めるだけです。
ケースの8分目の高さまでマットが詰まるように、3層くらいに分けて堅くマットを詰め込みます。
特に、ケースの側面と四隅は入念に(ケースが割れない程度に)押し固めてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1719013978995-WLgQgP7rwc.jpg?width=1200)
産卵用マットを詰めたら、その上に転倒防止材とエサのゼリーをいれて完成です。
あとは交尾済みのメスを産卵セットに入れて、エサを切らさないように気にかけながら1か月程管理します。
あまり涼しいと産卵しないので、この期間は23~25℃くらいで管理しましょう。
1週間もすればケースの底に卵が見えて来るかもしれませんよ!
産卵セットにメスを入れてから1か月程経過したらメスを取り出し、再び個別管理に戻します。
メスを取り出した産卵セットは、その後さらに1~2か月は20~25℃の温度帯で保管し、全ての卵から幼虫が孵るのを待ちましょう。
【幼虫の飼い方】
【割り出し】
孵化したばかりは数mm程度の大きさしかなかった幼虫も、1か月もすると体長2㎝くらいまで成長します。
幼虫は1令~3令までの成長ステージがあるのですが、この時期はほとんどが2令幼虫となっていると思います。
ここまで育てば、幼虫を回収する際に見落とすリスクが少なくなるので、いよいよ産卵セットから割り出します。
産卵セットをひっくり返すとマットの塊が出てくるので、幼虫を潰さないように慎重にマットの塊を解しながら幼虫を取り出します。
取り出した幼虫は、個別にクリーンカップ等の小型容器にマットと一緒に入れて一時保管し、この間に必要数の幼虫飼育用のエサ(菌糸や発酵マットを詰めたビン)を用意しましょう。
【温度管理とエサ】
ニジイロクワガタの幼虫も成虫と同じ温度帯で飼育できますが、23~24℃で管理すると大きく育ちやすいです。
幼虫飼育は、800~1400㏄のボトルを使用して個別に飼育します。
基本的には800㏄で十分ですが、大きく成長した大型のオス幼虫などは途中で1400㏄のボトルに移行します。
エサの種類は菌糸ビンでも発酵マットでも、どちらでも構いません。
発酵マットの場合は、産卵セットのときと同様に握ったときに水が滴らない程度に加水しましょう。
コストはかかるけど大きく育てたいのであれば菌糸ビン(菌種はカワラタケがおススメ)を、飼育コストを掛けずに育てたい場合は発酵マットを選ぶと良いでしょう。
発酵マットでもオスで60mmくらいの立派なサイズが羽化させることが出来ます。
菌糸やマットを自分で詰める場合は、麺棒などできつく突き固めるようにして詰めてください。
【補足】
菌糸ビンにはオオヒラタケ、ヒラタケ、カンタケ、カワラタケといった菌種の違いがあり、クワガタの種類によって好みの菌種が異なります。
ニジイロクワガタの場合はどの菌種でも育ちますが、特にカワラタケとの相性が良く、大きな成虫になり易いです。
【エサ交換】
幼虫のエサは定期的に新しいものに交換するのが基本となります。
とくに、菌糸ビンの場合は劣化するとエサとして機能しなくなるので、3~4か月を目安に交換するのが基本となります。
発酵マットの場合はエサの量が足りていて、マットに異常(泥化、コバエ、変色)がなければ羽化まで交換なしで持つ場合もありますが、それでも基本的には4か月くらいで交換した方が、成長不良や羽化不全のリスクが少ないように思います。
大型化を狙うブリーダーのなかには、1本目のエサは発酵マットで、2本目から菌糸ビンというように、エサを変更する方もおります。
ニジイロクワガタはエサの選り好みが少ないので、飼育の目的や予算に応じて、最適なエサを選ぶと良いでしょう。
【蛹~羽化】
幼虫飼育を開始して半年~10か月ほど経過すると、ビンの側面などに幼虫が小部屋(蛹室)を作り始めます。
下の画像が蛹室です。※幼虫が苦手な方は注意してください
![](https://assets.st-note.com/img/1718745230268-VTxT3VHg2P.jpg?width=1200)
蛹室は幼虫から蛹、蛹から成虫へと変態するための部屋です。
蛹室を作り始めたらエサを食べず、蛹になるための準備段階に入るので、エサ交換はしないようにしましょう。
また、ここからは大変デリケートな時期になりますので、観察する際も振動を与えないように気を付けましょう。
蛹室を作り終えた幼虫は、前蛹といって体が黄色くシワシワになり、ほとんど動かなくなります。
そこから数週間で蛹になり、さらに1か月ほどして成虫へと羽化していきます。
羽化したばかりのニジイロクワガタは、実は10円玉みたいな色をしています。
その後、身体が固まっていくにつれて玉虫色の光沢が見られるようになるんですよ!
なお、羽化した後も体が未完成で大変デリケートな状態なので、羽化後1か月はいじらないでください。
【補足】
蛹室をビン底に作っている場合は、水分が溜まって水没したり、蒸れて死亡するリスクがあるのでビンを逆さまにします。
このとき、通気口を塞がないように注意してください。
また、蛹室の内部にキノコが生えてしまった場合は、露天掘りにしてキノコを除去するか、蛹を人工蛹室に移行して救出しましょう。
【新成虫の管理】
![](https://assets.st-note.com/img/1719316072287-yRHpZKRyY2.jpg?width=1200)
羽化から一か月以上経てば成虫の体が出来上がってくるので、ビンから取り出しても大丈夫です。
取り出した成虫は本格的に活動開始するまで、さらに1~2か月ほどかかります。
その間はエサを食べないので、ゼリーではなく湿ったティッシュを被せ、時折り霧吹きで保水するなどして乾燥しないよう注意して管理します。
ティッシュをボロボロにして徘徊するようになったら活動開始の合図なので、ゼリーを与えてください。
【まとめ】
ニジイロクワガタの飼い方について解説してまいりました。
ポイントをまとめると下記のとおりです。
ニジイロクワガタは、15~25℃程度の温度帯で飼育するのが好ましい
10℃以下の低温と30℃以上の高温は避ける
成虫も幼虫も個別管理する
産卵は堅く詰めたマットにする
幼虫のエサは菌糸でも発酵マットでも良い
蛹室を作ったらビンに極力触れない
羽化したばかりの成虫も触らない、エサもあげない
羽化から2~3か月以上経過し、徘徊しだしたらエサをあげる
今回はニジイロクワガタの飼育方法について紹介いたしました。
参考になりますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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