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ハーバーライト もう一度 出逢いの頃の ときめきと 無邪気な瞳 照らしておくれ~読書note-22(2024年1月)~

先月末の日曜日、柏に住む姪っ子(妻の姉の一人娘)の結婚式に出席した。浦和で妻と義父母を拾い、横浜のみなとみらいのインターコンチネンタルホテルへ。結婚式および披露宴に出席するのは、十数年ぶりか。

我が家は男の子二人だったので、幼い頃から姪っ子を「女の子ってこうやって成長していくのか!!」と遠く離れて暮らす娘のように見守ってきた。毎年正月に浦和の妻の実家に集まったり、足利にも何度も遊びに来たり、バレエの発表会には何度もこちらから足を運んだものだ。

一人っ子なので兄妹のように過ごした愛犬・チョコの存在が大きかったからか、中学生の頃から獣医を目指し、高校は私立の進学校を首席で卒業し、6年制の獣医大学へ進学。そして、卒業年度に超難関国家資格である獣医師国家試験に見事合格し、夢である獣医となった。

ホント、凄い自慢の姪っ子だ。常にうちの息子達の先を走り、努力を続けて一つ一つ目標をクリアしていく姿は、良い手本だった。式と披露宴では、父親でもないのに、感慨深くて涙が幾たびも零れ落ちたよ。綺麗だったなぁ。

1月は相変わらず、資金繰りに追われる苦しい日々で、この月末の姪っ子の晴れ姿を見届けることを楽しみに己を励まし続けた。そんなこんなで、12月同様にたった一冊しか読めなかった、トホホだよ。次月こそは。


1.ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 / 東野圭吾(著)

1月に唯一読んだ本が、姪と叔父のコンビが事件解決に挑むミステリーとは。別に図った訳ではないけど。たまたま、本屋の文庫本新刊コーナーにあったから、読書が進まない時は「東野圭吾に限る!!」という我が知見により買ったまでだ。案の定、結婚式前の週の土日二日で読み終えてしまった。

主人公の真世の故郷で一人暮らしをしている父親が殺される。元・中学教師で、真世達の学年の同窓会の準備も進めらていた最中に。そこに何年も音信不通だった、アメリカでマジシャンをやっていたという叔父・武史が現れ、警察に頼らず二人で犯人を捜していく。

この小説が何とも言えぬ違和感を醸し出しているのは、舞台がコロナ禍という設定だからだ。県を跨いでの移動や宴会の制限とか、物凄く隔世の感がある。この4年間が如何に異常な時代だったかがよく分かる。でも、この時代を描いたというだけでも、後々貴重な文献になるかもね。

また、「名もなき町」と称された田舎の町、我が足利市と重ねてしまう。そういえば、地元出身のゲームソフト会社社長に、街の人々が色々と乗っかろうとする所も似ている。あの社長も学生時代は冴えなかったのだろうか。町おこしに出身有名人を利用するのは世の常だが、それ頼みかよという一抹の寂しさは拭えない。

黒い魔術師が華麗な手品のように謎を解いていく様は爽快だ。叔父を頼りつつも、少しずつ自立していく真世の成長も嬉しい。うん、完全に叔父目線だ。やっぱ、姪と叔父という関係が、よく教育や子育ての分野で言われる、縦(親子)でもなく、横(友達)でもない、斜めの関係というのが凄く良いんだよなぁ。我が姪っ子が困った時には頼りにされるイケ叔父になれるよう、まだまだ頑張ろう。

姪っ子が式を挙げたヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルは、何を隠そう、自分が妻にプロポーズした場所。新郎新婦の後ろに広がるオーシャンビューを見て、27年前のその日のことを思い出した。別居中だが、こうやって姪っ子の結婚式にも呼ばれ、送迎を頼まれるのだから、まだ妻の親族の一員であることを実感でき、とても嬉しい一日だった。

足元が少しおぼつかない義父のお供をするというミッションがあり、なかなか妻と二人きりになるチャンスはなかったが、妻も27年前のことをきっと思い出したに違いない。披露宴が終わり、二人で義姉夫婦に挨拶に行った後、一瞬だけ夜景が見えて「綺麗だね」と互いに言い合えた喜びをそっと胸に刻んでおく。良い結婚式だった。


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