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1・29原子力規制委会見

 欧米では原発の「オンライン・メンテナンス」すなわち「運転中の保全」を行っているが、その理由の一つとして定期検査に要する時間を短縮する効果を期待する狙いがあるともいわれている。
 その運転中保全については以前から原子力規制委員会からも提案がなされていたところ、この度、原子力エネルギー協議会(ATENA)から回答があり、四国電力伊方原発3号機で現場実証を行う構えとなっている。
 現在では設備に劣化の兆候が見られるなどのやむを得ない場合にのみ出力運転中のメンテナンスが認められている。
 その点においてオンライン・メンテナンスの実施条件が緩和されることになるが、2025年1月29日(水)に行われた原子力規制委員会の山中伸介委員長の定例会見ではその点に質問が集中した。
 山中委員長はオンライン・メンテナンスが定期検査に要する時間を短縮するとは「まだそこまで考えていない」とし「長い目でみて安全性向上につながることから実施しよう」と委員会から提案したという。
 「長い目で見て本当にリスクが下がるのか、どのくらいリスクが下がるのか検証してみようということで(まず)こちらから事業者に提案して、事業者からそれへの回答が来たところだ」と山中委員長は説明した。
 事業者は「設備の分解点検など多くの保全作業が運転停止中に実施されるため、大人数の作業員が点検エリアに集中することによる作業環境の悪化や、限られた熟練作業員の活用率の低下などが課題であり、その解決策として運転中保全の適用を提案するもの」だという。

東電柏崎刈羽原発で通信機器トラブルが頻発
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で衛星電話など通信機器での不具合が頻繁に起こっている。昨年秋からすでに3回トラブルが生じているがまだ原因が特定されていない件についても質問があった。
 福島第一原発事故で情報が伝わらなかった「反省から各事業者が通信機器に関してはかなり気を使って台数を定めている」と山中委員長。
 今回のトラブルについては「事業者の自主的な改善で十分対応出来るレベルだという判断に変わりはありません。規制当局としては日常の検査のなかでそういう部分を注視していきたい」と述べた。
 東電によると、今年1月27日、柏崎刈羽原発5号機の緊急時対策所に設置している衛星電話設備の工事を行っている時に衛星電話端末1台に異常を知らせるランプが点灯。その後、正常に戻ったが、これは本設アンテナの不具合であることが分かった。
 「当該アンテナの不具合の原因について調査」しているという。
 山中委員長は、アンテナの不具合は地震や天候といった要因もありうるし、メーカーの設備自体の問題の可能性もあるとの見方を示したうえでメーカーが「自社で調査しているところなので結果を待ちたい」と述べた。

伊方原発周辺住民と意見交換
 四国電力伊方原発(愛媛県)周辺の住民と同委員会との意見交換会が1月24日に行われ、山中委員長はオンライン参加した。
 「稼働中の原子力発電所であり、伊方という地域の特性もあって防災についてのご質問ご意見が多かったと思います。屋内退避についていろいろなご意見を頂いたところです」。
 また、同原発の敷地内で使用済み核燃料を金属性容器に密封する乾式貯蔵方式で「一時的な保管」が始まるので、住民の方々へ分かりやすい説明をしてもらいたいとの意見も出たところだという。
 「原子力防災全般へのご意見もあったので、内閣府、国交省など他省庁との連携」が非常に大切であるとの認識を山中委員長は示した。
 とはいうものの他省庁との連携強化に関して「現在、具体的な対策があるわけではない」とも付け加えた。
 

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