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1・15原子力規制委会見

 原子力規制委員会の山中伸介委員長の定例会見が2025年1月15日(水)に開かれて、事故があった東京電力福島第一原発の中長期リスク低減マップに関しての質問が集中した。
 同マップは2015年に同原発のリスク低減に関する活動の進捗状況を見るために決定され、現在のマップは昨年4月に改訂されたもの。
 マップでは2051年に福島第一原発廃炉完了を目標としている。
 2024年度を達成時期としている目標6件のうち1件は時期を見直し、2025年度以降達成としている目標4件は目標時期を見直す必要があるとされたことについて記者たちから疑問が投げかけられた。
 山中委員長は「どうしても高レベルの放射性物質を扱う作業であったり、大規模な工事が含まれていたりするので、作業の前後が出てくるのは仕方ないと思っています・・・今、特に課題があると理解していない」と述べて、特段、東電にペナルティを課すものではないとした。
 委員会は東電の工程を管理するものではないと繰り返した。

目標不達成に関して東電にペナルティ課さず
 「やはりサイト全体のリスクをどう理解して東京電力に伝えていくか、一般の方に伝えていくかがリスクマップの重要性だと思います」。
 事故当初は短期で非常に大きなリスクを下げていく必要があったので単年度でそれぞれの工程の見直しを行い、達成時期の項目もあった。
 しかし、「昨年4月に改訂したのは、事故後10年以上経過して、もう少し先の状況までサイト全体の様子をながめながら、リスク低減してゆく項目を整理して全体をみながら、どういうリスクを下げていくのか」にリスクマップを使っていくためだと山中委員長は話した。
 同時に目標時期の記載があるままで、遅れているものや進んでいるもの等があるのはいけないので記述の仕方を工夫してはどうかという指示を出したところだと山中委員長は話した。

汚染水放出後のタンクの解体へ
 汚染水を放出して空になっているタンクの解体が近く始まる件について質問があり、「放射性物質の放射能の大小あるし・・・金属タンクなどの解体あるいは減容ということ(についていえば)多岐にわたって廃棄物というのは分類わけしていけないといけないので、事故なくバランスよく進めていく必要があると考えています」と述べた。
 またデブリ関連施設を、解体するタンクの跡地に建てることについて、今のところ1000基あるタンクのうち解体されるのはまずは20基ぐらいだということからタンク解体のスピードを速める必要があるかとの質問があり、山中委員長は「敷地をどう有効利用するかという考え方次第ですが、まずは建屋周りのセットバック、建屋周りの放射性物質の処理保管そういうことが重要になってくると思います」という。
 「またタンクのある部分のスペースを有効利用することも重要で、減容する施設の在りようも考えていかないといけないと思います」。

柏崎刈羽原発で2度目の通信機器トラブル
 東電の発表によると、柏崎刈羽原発(新潟県)で緊急時に使う連絡機器の一部が故障した。昨年11月にも同様のトラブルが起きたばかり。
 「二度目の衛星電話の不具合ということで、法令違反ではないものの、事業者自身が独自に決定したル―ルなのだから、原因を究明してこういうことがないように進めて頂ければと考えています」。
 委員会としても通信手段の重要性は十分に理解しているとしたうえで、事業者もそうであろうと山中委員長は述べた。

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