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ミニマルアートのアンドレ個展
1960年代後半のアメリカを中心に興った、最小限の要素で構成するミニマル・アートを代表する美術家であるカール・アンドレが2024年1月24日に亡くなった。88歳だった。
そんな折、日本の美術館として初めてのカール・アンドレの個展が開かれる。「カール・アンドレ彫刻と詩、その間」が3月9日(土)から6月30日(日)にDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市坂戸631)で開催される。
アンドレは木材、金属、石といった素材を工業製品のような同一規格に加工し、床に並置するスタイルで知られる。<スクエア>や<カーディナル>をはじめとする代表的な床置きの大型彫刻13点が紹介される。
《メリーマウント》(1980)を含めて3点展示する床置きの木の彫刻は、これまでのところ国内の美術館に収蔵されていない作例。
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規則的に広がるアンドレの典型的な彫刻作品を大きな空間で展開する。アンドレは自身の作品が、それが置かれる周りの空間に作用するものであることを「場としての彫刻」という言葉で表した。
特にスケールの大きな作品として、横幅15メートルにも及ぶ《上昇》(2011)にも注目が集まるだろう。人の背丈を超えるL字の金属板が並び、壁との間に出来た空間を通ることができる。
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今展覧会ではさらに、アンドレによる詩の仕事をまとまった形で紹介する。タイプライターの文字が紙の上に視覚的構造をともなって配置されるアンドレの詩は,彫刻的な文字表現といえよう。
約70ページの詩には、彫刻に通ずる空間的、構造的な認識や、文学、美術、歴史、政治など作家自身の幅広い思考が反映されている。
初期の詩のアンソロジーである<セブン・ブックス>から厳選した約40ページを、作家本人のデザインをもとに制作した展示台で紹介する。
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開館時間は午前9時半から午後5時(入館は午後4時半まで)。
休館日は月曜(ただし、4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)と5月7日(火)。入館料は一般1800円、学生・65歳以上1600円、高校生以下無料。