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10・16原子力規制委会見

 関西電力美浜原発3号機(福井県)の機器冷却用の配管から海水漏れがあったのち5日間も運転を続けたことを指摘され、原子力規制委員会の山中伸介委員長は2024年10月16日(水)の定例会見で、関電はルールに従って漏えいの判断をしてから10日以内に運転停止したと理解を示した。
 記者は同原発3号機でかつて同じように穴があいた配管によって人が命を落とす事故があったのに「なぜ即時停める判断をしなかったのか」と厳しい指摘をしたが、山中委員長は配管のタイプが違っていたという。
 「起きている事象は私自身、非常に似通っていると理解している。不幸な事故が起きた配管は二次系の高エネルギー配管で、今回の冷却材の海水の戻り配管とレベルが違う配管なので事象の取り扱いに差があったことを私自身は理解出来るところだ」と山中委員長は話した。
 これは一種の経年劣化かと問われて、山中委員長は「環境劣化には違いないと思いますし、おそらく・・・今回のケースはFACと呼ばれる流れ加速腐食現象が起きてこういうことが起きたと思います」と述べた。
 広報によると、関電は10月5日に戻り配管に塩の析出を確認し、10月10日に2ヵ所の穴を確認して原子力規制庁に報告したという。
 関電が運転を完全に停止したのは10月15日の夜だった。
 美浜原発3号機は1976年に営業運転を開始。2016年11月に40年を超える運転が認められているが、来年6月の改正原子炉等規制法施行後も運転を続けるのならば、改めて認可を受ける必要がある。

高浜原発1号機50年超運転を認可
 この日、原子力規制委員会は原発の50年を超える運転継続を初めて、関電の高浜原発1号機(福井県)に対して認めた。
 高浜原発は1974年に運転を開始した国内最古の原発だ。
 これについて、山中委員長はすでに運転40年の際に運転延長認可制度で60年までの運転についての規制基準の適合性が確認されていると説明。
 そのうえで「改めて高経年化技術評価という申請を受けて、データの再確認を行ったところです・・・特に技術的な論点がこの審査ではなかったというふうに理解しています」と話した。
 運転期間制限について「これから60年以上に延びることは当然考えられるが、我々としては10年ごとの長期施設管理計画の認可を、きっちりと審査をしてゆく、基準適合性を確認してゆくのが役割です」。
 「基準適合性が確認が出来れば次の10年運転が認められるが、そうでなければ運転を我々としては許可することが出来ないという判断をすることになると思います」。
 記者から点検出来ないところについての不安について問いがあり、山中委員長は炉内構造物に関しては「事業者が予防的措置として交換をするという手続きを取るという宣言をしたと理解している」と述べた。

屋内退避が困難な場合には
 再稼働が日程に上がっている東京電力柏崎刈羽原発の地元新潟の地元紙新潟日報の記者から屋内退避自体が困難なケースへの不安が上がっているとの声があり、山中委員長が見解を述べた。
 10月18日に屋内退避についての検討チームが改めて論点を議論することになっているが、「今回取りまとめるのは、まずオンサイトの状況が屋内退避にどのような影響を及ぼすか、あるいはオフサイトの放射性物質がどう屋内退避に影響を及ぼすか、そのなかで出てきた論点を整理しようということだ」と山中委員長は話した。
 「一般の方々がご心配のように自然災害が非常に大きい場合、あるいはその際に原子力災害が同時に複合災害として起きた場合、どう対処するのかということについて、私自身も、検討チームのメンバーも現状の減災指針の考え方で十分だとお考えになっていると思いますが、改めて論点としてあがってくる、議論になる可能性はあると思います」。

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