見出し画像

谷川賢作ライブ

 谷川賢作(たにかわ・けんさく)さんは、父で詩人の谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さんはメディアに不満を持っていると話した。
 賢作さんはいった「どうしてもステレオタイプになってしまいます。父はインタビューを受けて、若い女性記者から「最後にメッセージを」と言われました。それで父は「電気はこまめに消しましょう」と答えたのです」。
 会場からは笑いが起こった。2023年5月20日(土)に「Gallery Bauhaus(ギャラリー・バウハウス)」(東京都千代田区外神田2-19-14)で開かれた谷川賢作さんのコンサートでの一場面だ。
 楽しいライブだった。そして、谷川俊太郎さんの詩が素晴らしいのはもちろん、それに曲をつけた賢作さんが弾くキーボードで奏でられたそのメロディも素敵な響きで数々のことばと呼応していました。

谷川賢作さん

 コンサートは賢作さんの「どうも息子です」の一言で始まった。
 これまでに谷川さんは30から50くらいの校歌を手掛けてきたという。そして老人ホームの歌まであるという。その日のコンサートを賢作さんは「ゆりかごから墓場まで」と名づけて、スタートした。
 まずは沖縄県那覇市の保育園のうた「風のうた保育園」(2008)。これからみんなで遊ぼうー「ちむどんどん」という楽しい歌だ。
 続けて「杉並区立天沼小学校校歌」(2008)と「長野県戸隠小学校校歌」(2006)。「青梅市立立泉中学校校歌」(1983)を演奏する前に「23歳の時に初めて書きました」と賢作さんは説明した。
 次は作詞が谷川俊太郎ではなく正津勉で作曲が賢作さんの「福井県啓新高校校歌」(1999)。「啓新高校は甲子園に出たことがありますが、初戦は強豪大阪桐蔭でした。でも勝ったのです。予算がなかったらしく、自分のデモテープが流れました。ベンチ前でみんな笑っている。歌っているのか怒鳴っているのかわからない。最高でした」(賢作さん)。
 さらに大学の校歌から老人ホームの歌「よりあいのうた」へ。
 賢作さんは語った「社交が出来るのはおばあちゃん。おじいちゃんはつまらないですし、しゃべらないですね。おばあちゃんが気をつかう。(この歌は)おちょくっていると思われるかもしれないけれど、愛情があります」。
 「群がる犬」そして「イソップさん」。後者について賢作さんは「谷川俊太郎らしく、おちょくっておいて最後に愛情をみせます」という。それから「死ぬ前におじいさんにいったこと」。
 谷川親子は学校公演をよくやっていたという。でもコロナ禍でストップ。「足が弱ってしまって。外に出てほしいが、面がわれているので人が寄ってきてしまう。だいたい声をかけてくるのはおばちゃんです」と賢作さんは父俊太郎のことを話した。

 続いて、林光(はやし・ひかる)さんの「国語の授業ってこんなもんだよっていう作品」で「作者」。賢作さんは「先生って一つの答えしかないみたい。「いるか」っていう詩の「いるかいるか いないかいるか いないいないいるか いつならいるか よるならいるか またきてみるか」を問題に出して「さて何回いるかって出てきますか?」だって」と言った。
 それから演歌チックな「いい子」。古い作品で「けんかならこい」。
 谷川俊太郎さん自身が好きでステージで歌っている曲たちが紹介された。「とんびのぴーひょろろ」と「宿題」。
 そこでスペシャルゲストの鈴木絵麻さんが登場した。東京FM少年合唱団の事務局を務めるボーカリストである。賢作さんと絵麻さんのコラボで「けいとのたま」と「かえる」が披露された。
 賢作さんのソロに戻り、カバーされることが一番多いという「さようなら」が演奏された。谷川俊太郎さんが作詞をして、坂本龍一さんが作曲を担当した「たかをくくろうか」。
 続けて、賢作さんが詩を書いた「むし きらい!」。「すっぽんぽん」から「夜はやさしい」で本編が終了。アンコールは作詞が俊太郎さん、作曲が賢作さんの「国立市立国立第7小学校校歌」(2007)だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?