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11・27原子力規制委会見
このほど能登半島で発生した震度5弱の地震について、原子力規制委員会の山中委員長は2024年11月27日(水)の定例会見で「これまで分かっている、報告されている知見に基づき志賀原子力発電所の地震、津波関係の審査は慎重に進めていく考えだ」と述べた。
北陸電力志賀原発2号機(石川県)は現在再稼働に向けて審査を受けているところ。また、北陸電力は能登半島北部の活断層が連動する範囲を従来の約96キロからおよそ178キロへと見直したばかりだ。
能登半島地震が今年元旦に発生し、停止中ではあったが志賀原発2号機をめぐっては多くのトラブルが発生し、周辺住民の避難に関しても道路が寸断されるなど多数の課題が浮き彫りになった。
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11月26日夜、再び能登半島で地震が発生し、石川県輪島市と志賀町で震度5弱の揺れを観測した。
山中委員長は「敷地内断層については基準地震動策定のために結論が出ている。周辺の断層については今、審査を進めているところで、その審査の中でどういう断層が基準地震動に影響するのか評価してゆく」と話した。
基準地震動とは設計あるいは安全確認の基準となるシミュレーション計算でつくられた地震のゆれの大きさ・強さ、のことで、最大加速度をガルの単位で示し、「この原子炉建屋の基準地震動は〇〇ガルでXX地震の△△ガルの揺れには耐えうる」などと評価することがある。
志賀原発2号機は2011年3月から運転停止中。
原子力規制委員会は2023年3月に「敷地内の断層は活断層でない」とする北陸電力の見解を妥当としている。
また今月になって元旦の地震でパネルの金具に不具合が生じていたことが分かった。そのことに関して質問があり、志賀原発2号機は「まだ未適合の炉ですので北陸電力にはきちんと調べてもらいたい」と山中委員長はの述べ、総点検は求めず日常の検査の中で見ていってほしいという。
核のごみ最終処分場の文献調査報告について
11月22日、原発の核のごみ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が北海道の2町村で実施した全国初の活断層や火山などに関する文献調査の報告書を北海道知事らに提出した。
文献調査は2020年に北海道寿都町と神恵内村で始まった。全国でほかに文献調査に応じたのは佐賀県玄海町のみ。NUMOは道内外で説明会を開き、3月5日まで住民らの意見を受け付け、次の概要調査の実施計画を申請して経済産業相の承認を得るという段取りになっている。
山中委員長は、規制当局として今回の報告書について特にコメントはないとしつつも「我々は高レベル廃棄物の地層処分についての考え方まとめたこともあり、事業の進展の度合いに応じてこれからどう対応するかは改めて委員会で議論していきたい」と話した。
「高レベル廃棄物の処分については重要な課題であるとの認識は以前から変わっていない。今後必要になってくる基礎データについて安全研究で取得してくことになろうが、その結果に基づいて必要な時期がくれば基準の策定に移っていく」と付け加えた。
具体的事業の中身を提案受けてから委員会で高レベル廃棄物の最終処分に関する規制基準について議論することになるが、いつになるかというのはNUMOでのこれからの進展次第だと話した。