見出し画像

埼玉の「子ども放置禁止」条例案問題: ダブルケアの視点から

すでに撤回されましたが、埼玉県で提出された条例案がニュースになりました。一見すると、車内での子供放置などは安全を守る一環としては正しい措置に思えます。ただ、小学3年生以下の子どもを家などに残したまま保護者の外出を禁止することや、4年生から6年生については禁止ではなく努力義務とすることが虐待禁止条例の一部改正案として提出されました。しかしこれはダブルケアの視点から考えると、問題が浮かび上がります。

ダブルケアを担っている人々は、介護と子育てを両立しながら働くという困難な状況に立たされています。仕事、家事、特に見えない家事のマルチタスクに追われる中で保育園や幼稚園の送迎や学童のお迎えが分刻みで行われます。同時に介護の対応もしなければなりません。その中で小学生の子どもに少しの時間家で待っていてもらう、自分で移動してもうことも少なからずでてきます。

しかし、条例が施行された場合、そのような一時的な留守番が難しくなります。具体的には、仕事や介護の予定(通院など)が急遽変更になった場合や、夏休みなど長期休暇や振替休日で子どもは休みになりますが、親の仕事が休みではない場合などです。

この問題は、ダブルケアの人々だけの問題ではありません。共働きや一人親家庭の人々も、同様の問題に直面しています。これから働き手が少なくなる中で、これらの現状を知り、理解し、さまざまな人々の状況に応じた働き方が広がってほしいと願います。条例がニュースになったことで、これらの現状がより広く明らかになったと言えます。

政策決定者には、ダブルケアを行っている人々や、共働きやひとり親家庭の人々の現状を理解し、それに基づいた対策を講じることを強く訴えます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?