誰一人欠けてはいけない風景
いつもはすんなり通るはずのPCの指紋認証が通らなかった。
なんでだろうと一瞬思って「そうだ」と気づく。今日は #稲作本店 にて「田植えイベント」を行ったので、自分の指紋の隙間に土が入り込んでいるのだ。
田植えイベントには11名の素敵な方々が参加してくださった。イベントでは昔ながらに手で植える体験と、実際の農家が行っている農機をつかった体験。そのどちらもやっていただいた。大人から子供まで平等に。
雨が降ったりやんだりと悩ましい空模様だったけど、現場は前向きな、楽しもうとする空気が広がっていた。それは運営側ではなく、きっと参加して出さった方々がつくった空気だったのだろう。
こういう風景が僕は大好きだ。「ああいいなぁ」ってしみじみ思う瞬間がたくさんあった。
同時に、思い出すことがあった。
2020年1月31日と2月1日に前職の書店であるフェスを開催した。
全国の40の本屋さんが一堂に会し、フードありライブありイベントありワークショップありの2日間。
そのために要した準備期間は10ヶ月。
僕は運営の責任者として、チームのみんなと広げた風呂敷を「ああでもない、こうでもない」と1つずつ現実化させる役割だった。
準備のときは正直つらくなることもあった。プレッシャーもあった。イベントやフェスを企画して運営するのはカンタンなことではないのだと知った。
でもフェス当時を迎えて、お客さんがたくさん来てくれて(2日間で3万3000人!本も1万冊売れた)、本屋さんと読者の方の交流がそこかしこで起きていて、ポジティブな雰囲気がその空間を包んでいて、そんな風景をみたときにすべてが報われた。それどころか与える以上のものを受け取ってしまった感覚だった。
青空と音楽と本と人。
その風景が忘れられない。
ずっと見ていてられた。そしてそれは誰一人として欠けてはいけなかった風景だった。
いま自分が仕事をするときには
「ずっと見ていたい風景をつくりたい」
を裏テーマとしてこっそり持っている。
そしてまさに今日は「ずっと見ていられる風景」だった。誰一人欠けては同じ風景にならなかったのだろう。
与える以上に受け取った1日がふけていく。
21/05/22