新築市場が縮小傾向にある日本の住宅業界で、工務店が「地域に選ばれ、潰れない」ためにはどうすべきか。
新築市場が縮小傾向にある日本の住宅業界で、工務店が「地域に選ばれ、潰れない」ためにはどうすべきか。忘備録としてまとめてみました。
適切な事業規模を保つといったポイントが重要だと考えています。
今後のポイント
新築住宅着工数は今後10年で60万~70万戸程度まで落ち込む可能性があり、新築オンリーの戦略はリスクが大きい。
生き残りのカギは「地域密着」「高付加価値化」「複数の収益柱」「職人・スタッフの組織力強化」。
**従業員数15~30名・年間新築着工20~30棟・売上5~10億円・営業利益率5~10%**を一つの目安に、堅実な経営基盤をつくるのがおすすめ。
新築市場縮小に備えて、リフォーム・メンテナンスの柱を太くし、「潰れない工務店」として地域から選ばれる企業を目指す。
メモ:日本の新築住宅を取り巻く主な問題点
少子高齢化と人口減少
出生数の減少による住宅需要の長期的な減少。
若年層が少なく、住宅ローン利用者も減りやすい。
空き家問題の深刻化
地方のみならず都市部でも空き家が増加傾向。
「新築より中古リノベを選ぶ」という動きが広がる可能性。
住宅ストックの質向上とリフォーム志向
国が既存住宅流通・リノベーションを促進。
長期優良住宅など高耐久・高断熱の住宅が増え、新築の更新サイクルが伸びる。
資材・人件費の高騰と技術者不足
ウッドショックや鉄鋼など資材価格の上昇。
大工・職人の高齢化、後継者不足により人件費が上昇。
顧客ニーズの多様化・高性能化への対応
省エネ・ZEH・耐震・デザイン性など求められる要素が増加。
小規模工務店には技術・資材コストの負担増。
地域で選ばれる・潰れない工務店の事業規模・年間着工頭数・強みや売り
(1) 事業規模
小~中規模(従業員10~30名程度)が主流。
多すぎる従業員は固定費圧迫、少なすぎると専門性や対応力が不足。
(2) 年間着工頭数
10~50棟前後が目安。
地域密着で安定受注を確保しつつ、リフォームやアフターサービスにも人員を割ける規模。
(3) 強み・売り
地域密着:地域事情に合わせたプラン提案、小回りの利くアフターサービス。
顧客ニーズへの柔軟対応:自由設計や細やかなコミュニケーション。
高い技術力・専門性:耐震、省エネ(断熱・気密)、自然素材などの特色。
長期保証や定期メンテナンスサポート:施工後の安心感を提供し、リピート・紹介を獲得。
(4) 潰れにくさの要因
固定費を抑えた運営:従業員数や事務所設備を必要以上に増やさず堅実なキャッシュフローを確保。
複数の収益柱(新築・リフォーム・リノベ・メンテナンス):需要変動への耐性を強化。
信頼関係と口コミ:地域での評判、顧客紹介、地元不動産会社との連携で安定受注。
資金繰り・金融機関との良好な関係:信用力確保で急な資金需要に対応可。
最適な規模の工務店の形態(例)
従業員数:15~30名
大工・現場監督・営業・設計・事務をカバーし、協力業者とも連携。
年間着工頭数
新築:20~30棟程度
リフォーム・リノベ:新築棟数以上(年間40~50件以上)
新築への過度な依存を避け、既存住宅の改修需要も積極的に取り込む。
売上高(年間):5億円~10億円程度
新築1棟あたり請負金額3,000万~3,500万円と想定し、新築20~30棟で計算。
リフォーム案件などで付帯売上を上乗せ。
利益(年間):営業利益率5~10%程度を目標
広告宣伝費を抑えつつ、技術力と付加価値で一定の利幅を確保。
経営者や幹部が原価管理・余分な固定費を抑制することがカギ。
経営の安定性ポイント
銀行借入の返済計画:無理のない資金繰りを徹底。
受注先の多角化:個人施主だけでなく公共施設や地元企業の改修受注も検討。
キャッシュフロー重視:早期売掛金回収、仕入れ代金の最適な支払いサイト設定。
人材育成と定着率向上:働きやすさと報酬制度で人が辞めにくい環境をつくり、品質を安定提供。
これまでの方針から変更すべきポイント
問い合わせ対応の自動化
AIチャットボット+CRMの導入で、24時間問い合わせ対応&リード管理を徹底。
担当者が不在でも一次対応し、見込み客を取りこぼさない仕組みをつくる。
新築だけに頼らない収益構造
リフォーム・リノベーション・メンテナンス事業の強化。
地域への密着度を高める
口コミ・紹介システム、地元不動産会社・行政との連携強化。
職人やスタッフの育成・組織体制の整備
ノウハウ継承、多能工化、人材定着率UPでサービス品質を安定。
固定費を必要以上に増やさず、キャッシュフローを重視
リスク管理と堅実な運営を最優先。