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#578 高い現場力が根本解決を妨げる!? 「戦略なき日本、水道が象徴」を読んで

ちょっと古いのですが、2月16日付の日経新聞「直言」というコラムを読んで思ったことを、メモ。


1、どんな記事?

2月16日付の日経新聞2面、「戦略なき日本、水道が象徴」という記事で、日本政策投資銀行(DBJ)の地下誠二社長が、埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損による道路陥没事故を取り上げ、日本の水道事業が深刻な課題に直面していると警鐘を鳴らしている内容です。

主には、日本では水道設備の老朽化が進む一方で、更新投資の財源が不足していて、その要因の一つとして統廃合が進まず、4割の自治体が水道料金の原価割れ状態となっていることが指摘されています。

年間2万件以上の漏水事故が発生している現状を踏まえ、国土交通省へ所管が移ったことで、水道行政の統合や河川管理との連携強化に期待がかかる、としています。


2、強い現場力が根本的解決の妨げになる!?

私がこの記事を読んで印象に残ったのが、以下の部分です。

「皮肉な言い方になるが、現場力が強いため、『戦術』の工夫で意外に長持ちしてしまう。『戦略』そのものは古くていいかげんであるにもかかわらず。根本的な『戦略』を見直したり、基本構造を変えたりといったことが後手に回ってきた。日本の産業を象徴しているように感じる」

つまり、日本の産業の強み、とされている「現場力」が、現場でなんとかしてしまうために、「戦略」や「基本構造」というより上位の、根本的な解決策を考えることを妨げてしまっている、ということです。

これは「失敗の本質」でも挙げられていた、零戦とF6Fの事例*を思い起こされる内容です。

*日本は個人の操縦能力を猛烈な訓練により命中精度を極限まで高め、防弾力を削ってスピードや旋回力を研ぎ澄ました零戦を開発したのに対し、アメリカはVT信管という、命中せずとも近くを掠めるだけで爆発する爆弾と、スピードは劣るものの、防弾性と兵器積載力を高めたF6Fを開発、パイロットの技能(命中精度)に頼らずとも勝ててしまう、という、そもそもの「ゲームチェンジ」をしたことで一気に局面が変わったという事例

これは、もう一つ上の問い、つまり、戦術ではなく戦略レベルの問いができたか否かが大きな違いで、日本はなまじ現場力に優れているためにそれができなかった、ということです。


3、まとめ

いかがでしたでしょうか?

日経の日本の下水道の課題を指摘した記事を読んで、日本の現場力の素晴らしさ、が課題の根本的な解決を妨げる「皮肉な」ことになっているのではないか、そしてそれは、かなり以前から変わらない日本の課題とも言えるのではないか、と考えてしまった、というメモでした。

この話はどのレイヤーでも当てはまる話で、私は中間管理職ですが、チームメンバーがいかに円滑に仕事をできるか、には熱心でも、そもそも今のやり方で良いのか、そもそも解くべき問題は別にあるのではないか、といった部分にもっと頭を使うべき、と反省をしました。

それにしても改めて「失敗の本質」読みましたが示唆に富む内容ですね。って、何度か読んでいるのに…活かせてない…

最後までお読みいただきありがとうございます。
日経の記事を読んで「失敗の本質」に共通する日本の課題について改めて考えてしまった、というメモでした。どこか参考にしていただけるところがあれば嬉しいです。

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