マンガと現実が交差するシン・3次元を目撃した(ハイキュー!! × Vリーグ)
2020年8月16日、日曜日の16時。カメイアリーナ仙台で、記念すべきイベントが行われました。
同年7月に週刊少年ジャンプでの連載が終了したバレーボールマンガ「ハイキュー!!」とVリーグがコラボレーションし、スペシャルマッチ(無観客試合)を開催したのです。
(※以下試合とマンガのネタバレが多少ありますので、アニメ派の方はご注意ください!!)
「ハイキュー!!」高校編(1巻~42巻第369話)の後、終章で作者は主人公達をVリーグの舞台に立たせました。主人公の日向翔陽(オレンジの髪の人物)はブラジルでビーチバレーの修行後、MSBY(ムスビイ)ブラックジャッカル(以下BJ)というチームに加入します。
小柄ながらオールラウンダーな選手に成長した日向に嬉し泣きしたファンも多いはず(もちろん私も)。
そして日向の永遠のライバル・影山飛雄(バナー最左の人物)は高校卒業後、シュヴァイデンアドラーズ(以下AD)のセッターとして大活躍。リオ・オリンピックの日本代表にも選ばれていました。
(※以上のバナーは公式配布のものです)
そんな2人のいるチームの激闘は、最終回前まで続くものに。各選手の信念と技、数々のキャラクターの思い、そして各出身校の理念が素晴らしく重なりあったマンガならではの名演出を本当に見てほしいです。
今回のイベントは、そんな熱いゲームが現実となったもの。 Vリーグの最上位で戦う選手達が、BJとADのユニフォームを着て対決。しかも「ハイキュー!!」を愛する選手が集まっている。
これ、すごくないですか? 2次元でも2.5次元でもなく、3次元の選手が戦うけれど本当の3次元でもない。だから、シン・3次元と呼んでしまいたい。
さて、本番の模様に参りましょう。
試合前
司会は仙台放送の金澤アナウンサー、解説は元日本代表の大林素子さん(現Vリーグ理事)。そして「ハイキュー!!」の担当編集である東さん。ぬかりなくバランスのとれたコメンタリー陣。
さらに、東京からアニメ版の声優である村瀬歩さん(日向役)、石川界人さん(影山役)が参戦。選手入場はおふたりのアナウンスで、なんたる豪華さ・・・・・・!!
さて、試合前から会場を沸かせた選手がいます。富松崇彰選手。東レアローズのミドルブロッカーで、今回のマッチでは最年長の36歳。彼の母校は宮城県の東北高校なので、より思い入れがあったかもしれません(ちなみに本校はマンガに出てくる名門校、白鳥沢学園のモデルとしても有名)。
そんな富松選手はなんと、モヒカン姿で登場。「ハイキュー!!」の中のキャラクター、山本猛虎の髪型でキメてきてくれたのです。どれほどマンガのファンが狂喜したかは想像に難くない。YouTubeのコメントでも彼に言及する人、多かったように思います。
ここからは、試合周りの雑感を書いていきます。
1.プロの試合って……すごい!!
私はこの日が初めてのバレーボール観戦だったので、まず「コイントス」は本当にあるんだなと思いました。これは、スポーツマンガから入った人あるあるかもしれません。本来は現実が先なんだけど、初見がマンガだとそうなりがち。
そして、のっけから展開が早い。ポンポン点数が入るから、爽快。知らなかったです。今までいかにバレーボールに目を向けていなかったのか。
鍛え上げた選手たちが、さらに飛ぶアタックやブロック。いつまで続くのか読めないラリー。その迫力はPC越しにも伝わってきました。
そんな猛者たちの中で、個人的に注目していたのは喜入祥充選手。身長174センチで、「月刊バレーボール9月号」の「リアル日向翔陽は誰だ!?」投票で見事第1位に選ばれていました。
現在はサントリーサンバーズ所属のリベロ(守備専門)ですが、大学まではスパイカーだったとのこと。
できれば日向っぽいプレーが見たい……! と思っていたら、なんと当日はリベロではなくアタッカー(アウトサイドヒッター)で参戦。バックアタックの姿、まさしくリアル小さな巨人でした!
さて、肝心の第1セットの結果はというと……
でした。ちなみにマンガでは以下の結果に。
既にこの時点で、現実とマンガで結果が分かれていますね。
2.会場のバナーがお祭りを盛り上げる!!
試合会場を彩るもののひとつが、バナー広告。たくさんの企業やブランド名が会場を埋めてますよね。
今回のマッチではバナーもやっぱり「ハイキュー!!」仕様。以下の会社、お店が出稿してました(試合のビジュアル除く、あいうえお順)。
「おにぎり宮」
「坂ノ下商店」
「嶋田マート」
「滝ノ上電器店」
「Bouncing Ball」
「パワーカレー」(このイベントが初出しだそう)
この広告の話をコメンタリー陣でしてくれて、楽しかったです。「Bouncing Ball」さんは広告を出すのは簡単だけど、「嶋田マート」さんは大枚はたくの大変だったかも、など。もう、ニヤニヤが止まらない!!
そして、離れたところに「仙台市博物館」もあったのだけれど、これは現実の広告……なんだろうな。見つけた時、個人的にかなりはしゃいでしまったけれど。
そして気になる第2セットの結果はこちら。
やっぱりここはね、最終セットが見たいのでブラックジャッカルありがとう・・・・・・!って思いますよね。
3.最終局面で、まさかのあの技が炸裂!!
本来の試合は5セット(3セット先取)ですが、諸々の都合で今回は3セットでした。
日向のようなブロード攻撃あり、時間差攻撃あり。リベロも繋ぐ繋ぐ。盛りだくさんで初見ではついていけないところもあったけれど、正直知識がなくても楽しめました。
そして一番驚きと興奮に満ちた瞬間が、3セット目の終盤に生まれました。ADのセッター、手原紳選手のトス、そこからの―
変人速攻!!!
日向と影山の必殺技が現実になってしまった!!! これは超合金ロボットの合体シーンくらい燃えますね。
ちなみに手原選手は、影山に影響を受けているそうですよ。
そして最終戦、第3セットの比較はこちら。
見事に試合とマンガの内容、逆ですね!!
というわけで、この試合は3セットなので、
セットカウント 2-1
シュヴァイデンアドラーズの勝利!! でした。
原作はこの後も試合が続きますが、その結果は最終巻をチェックしてみてください。正直、どちらも甲乙つけがたい内容です。
試合後
約2時間の激闘が終わり、最優秀賞が発表されました。ADの池田幸太選手、おめでとうございます(余談ですが、池田選手と自分の音楽の趣味が一致していてびっくり。応援しよう)
その後、選手たちは本来の所属チームのユニフォームに着替え、今後の抱負を語りました。10月からVリーグの試合が始まるということで、皆さん要チェックですよ。
それにしても、本当に素晴らしいイベントでした。即興のチームで、しかも合同練習もしていないのにあのクオリティ。「ハイキュー!!」のファンを楽しませようとするサービス精神。
何より、戦っている両チームがとても盛り上がっていたのが印象的でした。点数が入った時のBJチームのブラックジャッカルポーズ、ADチームの木兎ポーズ、もっともっと見たかった。
この日戦った彼らは、かつては高校でバレーをし、大学などを経て、そしてVリーグに入りました。そう、まさに「ハイキュー!!」を体現した人たち。
マンガの道と現実の道は実はそう遠いものではなかったのかもしれない、と感じました。そしてその2つが一瞬交差する、その不思議で魅力的な時間を、15万人の人と目撃することができました。お祭りの素敵な奇跡。
「ハイキュー!!」とVリーグの関係者の皆様、本当にありがとうございました。
お疲れっしたー!!
こちらもあわせてどうぞ
当日の解説、大林素子さんのまとめです。前後編でボリュームたっぷり。ちなみに大林さんの推しはスガさんだそうで、同担ってこういうことか・・・・・・!と思いました。
こちらは記事で取り上げた、喜入選手のTwitter。
手原選手のTwitter。
池田選手のTwitter。
※2021年1月18日、年が改まったこともあり一部修正しました。
「♡」は、誰でも(noteアカウントなしでも!)押すことができます。この投稿を「いいな」と思った方は、気軽に押してもらえると嬉しいです。もちろんフォローも嬉しいです!