『介護現場歴20年。』感想 "介護はクリエイティブな仕事"!
「ブパパブパパブパパ」でお馴染みのお笑いコンビ、メイプル超合金の安藤なつさんによる、介護についてのコミックエッセイ『介護現場歴20年。』を読みました。
介護施設を営んでいた叔父の影響で子どもの頃から介護が身近だったという安藤さんのこれまでの歩みを描いたマンガ(マンガ:まめこさん)と、介護の現場で働く様々な人との対談で構成されています。
介護職や介護現場と言っても色々あって、場所が施設なのか居宅なのか、対象は高齢者か障害者かなどでだいぶ内情が違ってきます。安藤さんはどれも経験されていたし、対談パートでも様々な立場の人と話をされていたので、あらゆる介護職が自分のこととして読め、介護を受けたい人も、介護から遠い人も偏りなく介護のイメージを持てると感じました。そこが素敵だなと思いました。
私は介護現場歴1年です。仕事で、訪問介護(主に障害)をしています。いろいろ理由があり、やりたくて就いた仕事です。
まだひよっこですが、安藤さんの「介護には大変なイメージがあると思うけれど、魅力があるから伝えたい」「介護の仕事をする人を増やしたい」という気持ちに共感します。
利用者目線で
読み終わった直後に、毎日のように行っているある利用者さん(介助される側の方を専門用語(?)で利用者と呼びます。ちょっとおかたい言い方ですが…)のお宅で、同じ本を発見。
「あ、これ!私も読みました!」
同じ本を同じタイミングで読むなんて、なんだか嬉しくなりました。
面白かった部分を挙げて笑いあい、少し真剣な話をしました。話してもらったことを私なりにまとめると、
「これまで介護職のことを描いたものには、いくつかネガティブな引っかかりがあった。
・「介護の仕事が大変」という語られ方をすると、利用者側としては「じゃあ我々はどうすればいいの?」と思ってしまう
・「介護の仕事、福祉の仕事をする人は優しい」というイメージがあるが、優しい人ばかりじゃないし、聖人である必要はないのにと思う。様々な理由で働いていることを知っている。
しかし、この本はこういった引っかかりを感じなかった。」
ということでした。
なるほど。
たまにこういう介護のあれこれを本音で話せるのはありがたいことです。
芸人さんだなぁ
二人して面白くて印象に残った安藤さんのエピソードがあります。
・なかなか着替えをしようとしない方に、いろんなキャラクターになりきっるなど工夫して声掛けした
・安藤さんが認知症の方に力士と間違えられた。「今場所は出ないの?」と聞かれ「はい、出ないんすよ」と答えた
・別の時には化け物と思われ、大きな声を出されてしまった。「どうも、化け物です~はい、●●山の方から来ました」のように返した
いかにも芸人の振る舞いだなあ。芸人スイッチが入っているときではないんだろうけれど、こういう切り返しができるのはすごいなあと思いました。
マンガで見るともっと面白いのでぜひ読んでみてください。
介護はクリエイティブ
「介護はクリエイティブな仕事」と安藤さんは言います。私はここがいちばん印象に残りました。
上に挙げた面白エピソードは群を抜いてトリッキーかもしれませんが、介護の仕事は、人と関わり、体を介し、様々な反応を感じ、日々、命や生活を支える、大変に興味深い仕事だと思います。この本を通して、介護の仕事とその魅力が広まったら、私も嬉しいです。