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【イギリスひとり旅】 Vol.1 旅の終わりに

昼過ぎ
帰りの飛行機でこれを書いている。
今朝、まだ薄暗い中ふと目が覚めた。
アールズコートの斜めの天井の窓が
少しずつ白んでいく。
ピョョルルリ!鳥が窓際で歌っている。

Blackbird singing in the dead of night,
  You’re only waiting for this moment to arise.

ベッドのはしごを伝って降りて、顔を洗って支度をする。良い表情をしている。昨日仲良くなったDanielにありがとうとメモを残して部屋を発つ。
今日もよく晴れた空で、Earl’s Courtのレンガのオレンジ色が緑によく映える。

すぐ近くのカフェの同じ席で、紅茶とエッグベネディクトを食べる。昨日と同じお姉さんが横で忙しく準備をしている。壁に映し出された地中海の映像に、ゆったりとピアノが流れる。

地下鉄でウェストミンスターへ。駅から出るとすぐ目の前にビッグベンが迎える。さよならを言いに来た。黒くそびえる尖塔のシルエットが朝陽を背に空を型取る。

橋を渡る。自転車からの景色が蘇る。反対側に着いて、ついに新一が隠れた赤い電話BOX(コナン)のアングルを見つけた!ここだったのか!

横断歩道を渡って橋の反対側を渡ってゆく。背中に芯がすっと入って、尻の穴が自然と締まるような、かっこよくあろうと思うこの雰囲気が好きだ。何か背中を支えて、押してくれる気がした。

初めてここへ来たときの逆を辿ってVictoria St.まで歩いていく。道沿いの木々の枝はどこか梅に似ていて、ピキッと空間を引き締める。それでいて木漏れ日が優しい。真っすぐな通りを一歩一歩、歩いてゆく。

バッキンガムパレスを過ぎ、Westminster  Cathedralの横を通り、駅に着く。
13番のプラットホームからGatwick Airportへ。
LolaにありがとうとDMを送った。どうしてもロンドンを出る前に送りたかった。

あれから2週間が経った。
幸福にも、時を忘れたように旅ができた。
ずっと旅をしていた気がする。
寝ても覚めてもイングランドにいる。

2023/9/6 旅日記より

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