初めての失敗から学んだこと
さて、これまでは僕が実際に対応してきた成功事例を元にした記事を書いてきました。
今回は、介護相談を始めたばかりの頃に経験した、少し苦い思い出をお話ししたいと思います。
その時、相談に乗った患者さんは90代の方で、趣味で俳句や詩を書くことを楽しんでおられました。実は、昔は俳句の先生をされていて、ご自分で書いた俳句や詩を、情景が伝わる美しい絵と共に紙に書き起こして、透析室のスタッフに見せてくれることもありました。そんな素敵な方が、ある日、介護施設への入居を考えているとスタッフから聞き、僕は早速お手伝いしようと思いました。
しかし、当時はまだこの患者さんと深くお話しする機会が少なく、関係性も十分に築けていませんでした。患者さんは、自宅近くの介護施設に入居するか、俳句の生徒さんが働いている遠方の施設に入るかで悩んでいました。もし遠方の施設に入居すると、透析治療も別の場所で受けることになり、患者さんの生活環境も大きく変化することになります。
僕は、できるだけ患者さんが住み慣れた環境で安心して暮らせることを重視し、自宅近くの介護施設をいくつか提案しました。ですが、患者さんとご家族は費用面や施設の雰囲気など「終の棲家」としての環境を整えたいという思いから、すぐに決めることができませんでした。また、ご家族としては、患者さんが馴染みのある人がいる遠方の施設に惹かれていることも分かりました。
そして、患者さんは遠方の介護施設を選び、転居されました。僕は、もっと早くから患者さんと関係を築いていれば、より適切なサポートができたのではないかと感じています。
このことをきっかけに、今ではより多くの患者さんと信頼関係を築けるようになってきました。これからも、透析治療を受けている高齢の患者さんたちが安心して生活できるように、引き続きサポートを頑張っていきたいと思います。
今回は、少し短い文章でしたが、人と人との関わりに絶対はありません、僕もこのような役を任せていただき、介護施設で働いていた時とはまた違う視点をもって関わっていかないといけないと思えた出来事でした。