「もののあはれ」とは
私の知っている範囲ですが、著名人はこう言っています。
「もののあはれを知るために恋に勝るものはない。道ならぬ恋のほうがよりよい」(本居宣長)
「恋せずは人は心もなからましもののあはれもこれよりぞ知る」
(藤原俊成)
「どんなにすぐれた男でも色を好まない男はまことにものたりない。まるで底のない玉杯のようなものだ」(吉田兼好)
「紫式部は藤原摂関政治によって観念の世界に追いやられた『もののあはれの世界』を完璧なまでに『源氏物語』をとおして表現してみせたのである。
『もののあはれ』の世界は、心の中に追いやられた女の鬼心によって崩壊するということを示したのである」(赤羽根龍夫)
誰が言ったのか資料を失くしてにしましたがある研究者は、
「もののあはれは男が作り出した身勝手な美意識である」
つまり「もののあはれ」は研究者によって千差万別。どの説を信じるかは個人の勝手、ということなのです。
金科玉条のごとく崇められてきた本居宣長の『源氏読み』でさえ、今は、反論異論が相次ぎ、多くの間違いやら何やらが指摘され、源氏帝国は崩壊しつつあるのです。
江戸時代の国学者の考え方は現代にはそぐわないものがあるのでしょうか。
ちょっと知っていると違う視点から源氏を愉しめるかと思い、いくつか紹介しました。
それにしても『源氏物語』自身は決して色褪せず、様々な学説を手玉に取って微塵も揺らがず生き続けるのだから凄い~