生命の木立となって時代とともに成長していく仕事
読書社会に新しい地平を切り開くクラウドファンディング
長い苦闘の果てに書き上げた作品が、本となって読書社会に投じられるまで何段階ものハードルがあり、そして実に複雑なルートを通さねばならない。晴れてその本が書店に並べられたとしても、その本を手に取る人はゼロで、したがってその本は二三週間で返本される。ごみ同然となったその本は即刻裁断され焼却される。これが今日の出版の現実である。この現実を切り開かんと、いま全く新しい出版のシステムが登場した。クラウドファンディングである。大望を抱く者が、しかしその大望に取り組む資金のない者が、社会に人々に助力を求めるシステムである。
草の葉ライブラリーはこのシステムによって、一冊一冊が読書社会に投じられていく。複雑な流通システム一切なしである。リターンにクリックされた購入者のもとに草の葉ライブラリーから発送される。出版システムの革命である。
生命の木立となって時代とともに成長していく草の葉ライブラリー
現在の出版のシステムは、その本を読書社会に投じられたらそれで完了である。一度出した本を再編集して投じるなどということはめったに行われない。出版社は絶版の山を築いていくばかりである。大地を豊かにする名作がこうして捨てられていく。ゴッホの絵がなぜいまなお脈々と生命をたたえているのか。それは繰り返し彼の絵が展示されるからである。なぜモーツアルトの音楽がいまなお人々に愛されるのか、それは繰り返し演奏されるからである。生命力をたたえた本は、繰り返し新しい世代に向けて発行してくべきなのだ。
「草の葉ライブラリー」は新しい編集がなされ、新しい体裁によって繰り返し刊行されていく。新しい時代の生命をその本に注ぎ込むことによって、その本は時代ともに成長していく。
高校教師から飲食業界というまったく未知の世界に乗り出したBさんの戦いが毎日「note 」に書き込まれている。Bさんのその戦いの日々をフォート・エッセイ集にして刊行する日も近い。そんなBさんにはるかニューヨークからエールが届けられたのだが、なんとそのエールがぼくにも届いた。その発信者は、エスター・ダイソンさんという女性の投資家だ。エスターはまだ幼児期だったコンピューター産業、そして次に起こってくるインターネット革命に早くから注目し、そこに投資家として参入して、そのムーブメントに大きな影響を与えた人物だった。アメリカでは最もパワフルなビジネスウーマンとして知られている。彼女のエールは、地平を切り拓こうと立ち上がった者たちを限りなく励ましてくれる。
──How can Japan promote more entrepreneurs?
──First, you need to decide you want to change. And then the things you would need to change are mostly cultural. The attitudes towards failure. The attitudes towards taking a risk. And I mean, I’m a perfect example of it. I’m not an institution. And most people, especially in Japan, they want to be part of an institution. They are scared to be on their own.
And so, you need to encourage people that you can have a small business that is not a brand name. You can operate on your own without being affiliated with a big publication or whatever. And it’s─that can be scary in the U.S. I would imagine it’s ten times scarier in Japan.
──日本でもっと多くの起業家が生まれるにはどうすべきですか?
──まず初めに、変わりたいと決断することです。変えねばならぬという意志は文化に根ざしたものです。失敗に対する姿勢、リスクを背負うことの姿勢、たった一人で事業を行っている私がよい見本です。私は組織の一員でありません。ほとんどの人は、とりわけ日本では、組織の一員になりたがります。独立するのが怖いのです。
ブランド企業ではない、小規模ビジネスでも経営できるのだと人々を励ますべきです。大きな出版社や大きな企業と提携しないでも独立して経営できるのです。それはアメリカ人でも怖いと思うのですが、日本ではその十倍も恐ろしいことなのだと思います。
──What does entrepreneurship mean to you?
──Always make new mistake. Because it means you should make new mistakes that you can learn from. Not the same old mistake without learning. So, there’s a great story about─it’s a joke, of course. It’s about an American CEO.
He’s at the bord meeting. And he tells the board, “Well, you know, in our Japanese subsidiary, the guy who was running it, he made this huge mistake. We produced 10 million of the wrong product. And so, we had a huge write-off and it cost us $10 million.” And the board members say, “Ah-ha, I see, well, so, you’re going to fire the head of the Japanese subsidiary, aren’t you?” And the CEO say, “Of course not. I just spent $10 やmillion educating him. And now I want to benefit from his education.”
So, the point is that these mistakes are an education. They’re something you learn from. And if you make new mistakes, it means you learned from the old ones.
──あなたにとって起業家精神とは何を意味しますか?
──常に新しい失敗をすることです。その意味は、そこから学ぶことができるような新しい失敗をすべきだということです。面白い話があります、もちろんジョークですが、アメリカ人のCEO(最高責任者)についての話です。
CEOが役員会議に出ています。冒頭、彼が発言します。「諸君、当社の日本の子会社で経営責任者が大きな失敗をした。一千万個の売れない製品を製造してしまった。なんと一千万ドルの赤字だ」。すかさず役員たちは「なるほど、わかりました、その日本の子会社の代表を解雇することです」と口々に言った。するとCEOはこう答えたのです。「とんでもない。彼の教育に一千万ドルもかけたんだ、今度はその教育から利益を生み出したいね」と。
つまり、失敗は教育ということです。そこから学ぶべきなのです。もし新しい失敗をしたならば、それは過去の失敗を学んだことを意味するのですから。
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