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エッセイ

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新しい文芸の波を生起させんと。
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#読書

ジュピター 2

 そこから突然、光輝は日本語から英語に変えた。さかまく激流のように英語をまくしたてた。…

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黒いカラスなのに、どうして白いカラスとして生きるのか。

 自分の正体を隠して生きた人間を描いた作品が、つい数年前にも書かれている。フイリップ・…

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私たちは後世に何を残すべきか 上編 内村鑑三

 序文    この講演は明治二十七年、すなわち日消戦争のあった年、すなわち今より三十一年…

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私たちは後世に何を残すべきか 下編 内村鑑三

 昨晩は後世へわれわれがのこして逝くべきものについて、まず第一に金のことの話をいたし、…

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あの朝の光はどうだ

 午前中、森閑としている児童館は、小学一、二年生があらわれる一時頃からざわざわしてきて…

90

ゆるぎない言葉の世界を確立し、時間に廃れない文体をつくりだしていくにはどうしたら…

彼女は今では女性作家の第一人者になっていて、連載をいくつもかかえ、直木賞の選考委員にもな…

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「note」の書き手たちの文体は、世界で通用するのだろうか

第一級の翻訳者であり、「翻訳通信」の発行者だった山岡洋一さんの「本物と偽物 リンドバーグ夫人著吉田健一訳・海からの贈物」を、「note」という土壌を変革するために植え込んだ苗木はどうなっているのだろか。すくすくと育っている。やがてこの森の中心になってそびえ立つ木になっていく。 「note」の書き手たちの文体は、一行書いたら改行だ。改行どころか、一行あけて、さらに二行、ときには三行もあけて、さも重大な石を投じるかのように空っぽの言葉を書き込む。これが「note」の書き手たちの

戦慄のセザンヌ物語

吉田秀和さんは音楽評論家だと紹介されるが、この評論家という肩書きは、小林秀雄が登場してか…

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同胞(とも)よ 地は貧しい われらは豊かな種子(たね)を播かねばならない

今年中に読書社会に本を投じることを決意した十人の人々への手紙 この大陸に上陸してまもなく…

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漱石は日本最初の引きこもりの元祖であり、語学留学挫折の元祖だった

夏目漱石は英文の本を世界に投じた経歴はない。しかし悪魔の書では日本英語を誕生させた四人目…

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もうすぐバイリンガル小説の時代がやってくる

水村美苗さんは漱石が生きた時代の文体で書き上げた「続明暗」で読書社会に鮮やかに登場してき…

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日本語は英語の世紀の中に飲み込まれていくのか

こういう風潮に水森氏さんは鋭く警告するのだ。いま日本人が守るべきものは日本語であり、英語…

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日本語が亡びるとき

最近、もっとも興味をそそられた本が水森美苗さんの「日本語が亡びるとき」(筑摩書房刊)だが、…

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足の感触  廣瀬嗣順

 絵本館から北西に、信濃富士と呼ばれている有明山が鎮座している。その南西に中房温泉がある。北アルプスから流れ出ずる穂高川に沿って五、六分車を走らせると、霊験豊かな山岳信仰の有明山に登る裏参道を見つけることになる。人ひとりやっと通れる程の小径であるが年々、落葉が積み重なって、次第に径の形相が変ってしまう。  たぶん夏には、人が入り込むのだろうが、秋には、未踏の径となってしまう。絵本館周辺は針葉樹の赤マツが主なのだが、この参道周辺は、見事な太い広葉樹の森である。妻と子供たちとで手