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キャメルアップにみる、ゲームの楽しみ方
皆さんはキャメルアップというボードゲームをご存知だろうか。
5匹のラクダがレースをして、その勝敗を予想するというゲームだ。戦略性と運との絡み合いが絶妙なゲームで、ルールも非常に分かりやすく初心者にもとても人気である(当社比)。
ただ一点入手が若干困難なことが難点としてあげられるが、フリマなどにたまに出品されているので、是非見つけたら手に入れていただきたい。
さて今日はそんなキャメルアップを例にあげて、プレイヤーはどのようにゲームを楽しむかということを考察していきたい。ボードゲームにおいて、楽しむことを最善としている私にとってはこの検討は必要不可欠なのだが、みなさんはどうだろうか。
キャメルアップの簡単な紹介
このような記事を読む人が、キャメルアップを知らないとも思えないし、毎度文字だけの説明で一切の画像を入れない記事で、ルールを知らない人が読んでくれるとも思わないのだが、まぁとりあえずインストの練習も兼ねて簡単に説明したい。
キャメルアップは5匹のラクダのレースの勝敗を予想して、最終的に獲得した金額が最も多いプレイヤーが勝利するというゲームだ。
このゲームには「レグ」という概念があり、簡単に言えば各ラクダが1度ずつ動き終わったらレグが終了したとみなす。レグを複数回繰り返して一つのレースになるということだ。
プレイヤーは以下の4つのアクションから一つを選び次のプレイヤーの番となり、レグが終わるたびに清算をして次のレグに進むという流れを取る。
①レグ札を取る:そのレグが終わった段階でどのラクダが一位かを予想する
②サイコロを振る:ラクダを進める
③オアシス・砂漠札を置く:お邪魔札を配置する
④レースの勝者・最下位を予想する:そのまま
ルールはたったこれだけだ。詳しく知りたい人は各自ググってほしい。それではこのゲームをどのように楽しめるのか、実際の自分のプレイ体験も交えて説明していこう。
ただし以下の分類のどれかだけにプレイヤーは含まれるわけではなく、混ざり合っていることには注意されたい。
どのようにゲームを楽しむか
①純粋に勝ちにこだわる
これはゲーム慣れしている人が一番よくやるパターンだと思っている。キャメルアップというゲームにおいて、4つのアクションをどのタイミングで行うのが最も良いのかを早い段階で見極める。そしてその行動を繰り返すことで勝利に近づく、というわけだ。
キャメルアップはやはりレグ札を人より早く取り、レースの勝敗予想を早い段階で行うことが勝利の秘訣だと私は考えている。もちろんレグ札もレースの勝敗予想も外せば-1点をくらうのだが、5点8点が得られる可能性に比べたらその程度の出費は安い。
またこのゲームはどうしてもサイコロを振った後の手番の人が有利になるようにできている。そのため勝ちに貪欲になればなるほど自分では振らない方が得だという判断になる。一緒にやっていて全くサイコロを振らない人は多分がっつり勝ちにきてるので、注意しよう。
最も分かりやすく、負けてしまえば元も子もない楽しみ方ではある。もちろん過程を楽しむことと相反しているわけではないだろうが、結果が全てなので負けてしまえば何も残らないのではないかと思ってしまう。
というように、私はこの楽しみ方はしない。というよりも負けた時に悲しいのでやらない。
②運ゲーで勝つ
キャメルアップなんて運ゲーでしょ、って思ったそこのあなた。
もっと運ゲーにする方法があるじゃないですか。
そう、レースの超序盤にレースの勝敗予想を行うことだ。まだどのラクダも前半の方にいる段階で勝敗予想札を置いてしまう。
目を瞑って針の穴に糸を通すような行いだが、決まった時は周りからの賞賛と運に勝った誇りとで幸せになれる。
事実初めてキャメルアップをやったときは好きな色のラクダにかけたらしっかりあたったので、以来あのときの感動を再現すべく同じことをしている。
なおメークドラマにはならん模様。
③他人の邪魔をする
このゲームではレグ札を取ることは、そのレグ終了時点でのラクダの順位を予想することに等しい。従ってオアシス・砂漠札をいい感じの位置に置いてあげることで、その人の予想の邪魔をしてあげられるわけだ。
このゲームはサイコロの出目が1~3までしかないので、札を置くと1/3が2/3くらいの確率になって邪魔をすることができる。
邪魔をして他人が嫌がるところを見て楽しむ。これも立派なゲームとの付き合い方だ。人との付き合い方を間違えているかもしれないとか言わない。
意外とこういうことしてる人も勝ちに貪欲だったりしてるから侮れない。そういう奥深さがこのゲームにはあると思う。
④場を盛り上げる
キャメルアップにて最も求められる人材は誰か。
そう、サイコロを振る人だ。先ほども言ったようにこのゲームはサイコロを振るインセンティブが若干弱い。前の人に振らせて自分はレグ札を取るのが勝つためには最善策だからだ。
だからこそ、サイコロを振る人は皆から求められる。みんながレグ札を取ったり、勝敗を予想したり、もうこれ以上濁らないお茶にさらに牛乳入れて濁そうとしているなかで、浄水器の如く現れるあなたに場は拍手喝采だ。
しかも全員が自分の出目に何かしらの期待をしている。出ろ、出るな、刺せ、逃げ切れ、そんな期待と思惑がうずまく砂漠にてあなたが天啓を授けるのだ。
サイコロを振る役をかって場を盛り上げよう。そして皆の期待を背負って明日に向かって立つ人となるのだ。
⑤ゲーム性と少しずれたところではしゃぐ
といっても、やはりサイコロを振るインセンティブに欠けている点は否めない。では、どうするか?振らせるインセンティブをゲームとリアルの世界の端境で用意すればいいのだ。
調べてもらえれば分かるのだが、キャメルアップの最大の特徴はダイスを振るアイテムがピラミッド状になっていることだ。やったら分かるが、これを振らずにいられる人は生まれた時から精神年齢が30くらいなんだと思う。
いっぱしの人として親のお腹の中からおぎゃあと言って産まれてきたBaby経験のあるみなさんなら、これを振らずにはいられない。
こういった、ゲームの本質とは異なるところでしっかりと盛り上げる要素があり、しかもそれがゲーム性と実は重なっているところにキャメルアップのゲームとしての完成度は頂点を迎えると言っても過言ではないだろう。
またこのゲームをやると、大抵誰かが徐にスマホを取り出して、競馬のファンファーレや徒競走のときにかかっている曲を鳴らし出す。何かこどもごころをくすぐる仕掛けがこのゲームにはあるのだろうと踏んでいる。
さいごに
繰り返しになるがキャメルアップはゲームとしての完成度が非常に高い。
ゲームとしての完成度は、どれだけ多くの人を楽しいと思わせられるか、その器の広さにあると思う。
そしてアナログゲームはそこにモノがあるからこそ、ゲームとリアルの世界とを容易に架橋する。それがピラミッドであり、曲を流させたくなる何かだ。
是非キャメルアップをプレイしてほしい。そして色々な楽しみ方をしてもらえれば幸いだ。私は明日も青のラクダの勝利を願って、予想札を置こう。