Akira Harada(くさむら)

都内で過ごす愉快な大人。大学での肩書きを投げ捨てて新たにチャレンジ中。 なんでも自分が気になったことをnoteにまとめています。

Akira Harada(くさむら)

都内で過ごす愉快な大人。大学での肩書きを投げ捨てて新たにチャレンジ中。 なんでも自分が気になったことをnoteにまとめています。

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ボードゲームの紹介はなぜ分かりにくいのか

はじめに:ゲームの選別最近もっぱらボードゲームにハマっている。ボードゲームカフェに行くのではなく、なるべく自分の家に友人を集めてプレイしたい。人が多いところを避けたいという時勢的なものもあるが、ものに囲まれるのが好きなので、なるべく買いたいというのが主な理由だ。 しかしここで早速問題が発生する。それはどうしてもプレイしたことのないボードゲームを購入しなければならないということだ。最近でこそ、たまにボドゲカフェにソロで凸して初対面の人と相席で未プレイのゲームを試すことが増えた

    • 中高生からの人文学 その12

      5-5. note執筆の動機5-5-1. 人文学を分かりやすく  私がこの本を書いた動機は、人文学について各分野の概要を説明するのではなく、人文学全体をまるっと分かりやすく説明するような本やみなさんの生活に引きつけて書かれた本がほとんど見当たらないことにありました。人文学を「分かる」「実感する」ことに重きを置くことは実践されてこなかったと言っても良いでしょう。 一方で人文学の各分野について解説した本は文字通り山のようにありますし、その中には私個人としても読むことを他の人に

      • 中高生からの人文学 その11

        5-3. 0と1の狭間で5-3-1. 白か黒かで考えること  令和は既にデジタルの時代で、0と1の二進法で情報が伝わっていきます。因果関係はわかりませんが、それと並行して白黒をつけたがる人が増えたような印象を受けます。誰かが悪い、自分は正しい、このように善悪や敵味方など分かりやすく自分の内側か外側かを区別する手段を誰もが求めているかのようです。 確かに「白黒はっきりさせる」という言葉があるように、物事が進めやすくなることは間違いありません。ですがその流れの中で0と1の間に

        • 中高生からの人文学 その10

          5. これからの人文学5-1. 象牙の塔5-1-1. 人文学の現状  みなさんは「象牙の塔」という言葉をご存じでしょうか。この社会を離れて現実逃避し、大学や研究機関に閉じこもって研究を行う態度のことを指します。もちろん昨今の情勢下で、本当の意味で外界との接触を持たずに研究に勤しんでいるような研究者はほぼいないといってもいいでしょう。 中高生を対象として大学の授業を体験してもらう公開講座や、研究機関が主催するセミナーなど、そうしたものを積極的に手に入れたい人に対しては「開か

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        ボードゲームの紹介はなぜ分かりにくいのか

          中高生からの人文学 その9

          4-2. 会社で人文学4-2-1. 会社における問い 学問において最も重要なことは「適切な問いを立てること」だと先ほど説明しました。これは何も学問だけに限らず、ビジネスでも同様です。むしろ利益を求めるビジネスだからこそ、より適切な問い(=解くことによって会社に利益がもたらされるようなもの)を立てる必要があるわけです。 大きな会社でお金が十分にあるところは、すぐには利益にならなさそうな問いを研究する部門に十分なお金をつぎ込むことができるのですが(家電メーカーや食品メーカーな

          中高生からの人文学 その9

          中高生からの人文学 その8

          4.大学の外における人文学 さてここまで人文学とは何か、そして人文学の面白さについて簡単に紹介しました。簡単に振り返ると、人文学とは「人の立場から、人の営み」を見つめる学問です。もちろん人の営みと言っても、歴史・思想・言語・文学・文化など多種多様です。 そして主に昔の人が置かれていた時代状況や彼らの価値観などといった自分と違った他者のコンテクストを見極めたり、他者のコンテクストの理解を通じて自分が変化していくところに人文学の面白さがあるわけでした。 「はじめに」でも述べた

          中高生からの人文学 その8

          中高生からの人文学 その7

          3-2. 他ならぬ自分が考えること3-2-1. 人文学の特徴  人文学が圧倒的に他の分野と異なるのは、他ならぬ自分が考えることに意味がある点です。みなさんはひとりひとりが全く異なる環境で生まれ、育ち、経験してきた、誰とも違う一人の人間です。 同じものを見ても、何を不思議と思うか、面白いと思うか、違って当然なのです。ざっくり好き嫌いのことと捉えていただいてもOKです。 一方で少し話は逸れるようですが、誰もそうとは言わないものの、クラスや部活といったリアルの場かSNSなどの

          中高生からの人文学 その7

          中高生からの人文学 その6

          3.人文学の面白さ3-1. コンテクストを見極める3-1-1. 「正解らしき」もの  さて前章を読んでもらえれば人文学がいったいどういう学問なのかについて何となく分かってきてもらえたんじゃないかなと思います。まだ分からないなぁという声も聞こえてきますが、今から私が思う人文学の面白さの核心に迫っていきます。実際にみなさんも面白さに触れた方が人文学についての理解が深まると思います。是非ゆっくり読み進めてください。分からなければ立ち止まっても全く問題ありませんし、別の例を読んでも

          中高生からの人文学 その6

          中高生からの人文学 その5

          2-3. 人文学のディシプリン2-3-1. 歴史学のディシプリン  さていよいよ本題です。人文学のディシプリンは何でしょうか。歴史・哲学・言語・文学のそれぞれについて当てはまるような、そんな大きなディシプリンが本当にあるのでしょうか。 例えば歴史学は「今この時代を生きる立場から、史料によって、人の過去に」取り組む学問分野です。歴史学はその名の通り歴史、つまり過去を研究することになります。史料という言葉は少し聞き慣れないかもしれません。 国立国会図書館のHPによれば史料と

          中高生からの人文学 その5

          中高生からの人文学 その4

          2-2. ディシプリン(discipline)について2-2-1.  ディシプリンとは何か?  というように、学問は「自ら問いを立てて、それに対するベターな答えを見つける作業」というように考えられるわけです。さて少し難しい用語になりますが一つ重要な単語をみなさんには知ってもらいたいと思います。「問いを立て答えを見つける」作業を行う学問において「どういった立場から、どうやって、何を見るのか」という枠組みのことを、「ディシプリン(=discipline)」といいます。disci

          中高生からの人文学 その4

          中高生からの人文学 その3

          2.人文学って何だろう2-1. そもそも学問って何だろう 2-1-1. 科目と学問の違い  さて、人文学っていったいどんなものなんだろう、ということを説明する前に確認しておかなければならないことがあります。それは「そもそも学問って何だろう」ということです。なぜなら「人文学は学問分野の総称」と述べたように人文学は学問の一部であるため、学問が何かを分かっておくと人文学を理解するのに役に立ちます。 そのためには普段学校で勉強している「科目」と「学問」はどう違うのか、というとこ

          中高生からの人文学 その3

          中高生からの人文学 その2

          1.イントロダクション1-1. はじめに  突然ですがみなさんに質問です!「人文学」ってご存じですか?もし今中学校・高校に通っている人でこの言葉を知っていれば、近くに学んでいる大学生や研究者がいたり、本で読んだことがあるのかもしれません。  また後ほど詳しく説明をしますが、人文学は「歴史・哲学・言語・文学」といったような人の営みについて研究を行う学問分野の総称です。これだけで「なるほどね!」とみなさんが全てが理解できるのであればここで終わってもよいのですが、これだけでは人

          中高生からの人文学 その2

          「人がやらんくてええやろ」を考える

          先日知人を招いて自宅でボドゲ会を開き、ライナークニツィアの名作である「エスカレーション」をプレイしていたときのこと。 一旦説明を終えて、一度テストプレイを行ったあとに、少しボドゲ経験がある友人が大負けしたあとにこう言い放った。 まぁまぁそう言わず、と何ラウンドか繰り返した結果、彼も結局はエスカレーションの虜になったのだが、私の中ではそのときの発言が今もこだましている。 別にショックだったわけではない。ボードゲームを色んな人とプレイする中で、あれやこれやは言われ慣れている

          「人がやらんくてええやろ」を考える

          中高生からの人文学 その1

          以前書いた文章を折角だからとインターネットの海に放流してみる。 書いたのはもう一年も前だが、気持ちは何も変わっていない。 はじめに みなさんはじめまして。私は東京の大学院を2020年の3月に卒業して、今は都内の会社で働いている会社員です。今この文章を読んでくださった方で人文学を既にご存じの方がいらっしゃれば、「こんな文を書いているくらいだし文学部を卒業したのかな」と予想してくださると思いますが、実は全く違います。私は理系の人間で、大学・大学院での専攻は社会基盤学でした。一丁

          中高生からの人文学 その1

          ごいたへの愛を語ろう

          皆さんは「ごいた」というゲームをご存知だろうか。 ごいた石川県で生まれ〜といったWikipediaでもできる説明は、Wikipediaに任せて本題に入っていこう。ルールなどは以下のnote記事を参考にしてほしい。この場を借りて、krisch_crzさんには感謝申し上げます。 ごいたに取り憑かれるまではじめてプレイしたのは、去年の秋頃だったように記憶している。 仕事の付き合いで参加したゲーム会で「いいゲームだからやろう」と誘われたのがきっかけだ。正直その時はあまり面白さが

          ごいたへの愛を語ろう

          ボードゲーム紹介⑦:バイキングシーソー

          ボードゲームの最大の問題点は場所を大きく取ることだ。一つ一つのゲームに思い入れがあっても、しまうスペースがどうしても足りない。 そんな中オインクゲームズなどは、持ち運べることを目的とした小箱のボードゲームを多数制作し、人気を博している。 今回はそんな小箱系のボードゲーム、かのライナー・クニツィアがデザインした、バイキングシーソーの紹介だ。 服一枚入るスペースがあるなら、仕込めるゲームだ。秋の夜長にいかがだろうか? バイキングシーソーとはプレイヤーは船に荷物を一つずつ積

          ボードゲーム紹介⑦:バイキングシーソー