【読了】文芸ムックあたらよ 創刊号
昨年6月、第一回あたらよ文学賞に参加しました。
受賞作品がこちらのムック本に掲載(私は二次落選😭)
コツコツ読み進めて、少しずつXの方に感想を書いていました。
読み終えてはいたのですが、コンテストなどに集中していたため一旦放置しておりました😅💦
🌸受賞作品全体の感想
主催者の方が「右ストレートを送ってこい!」と言っていただけあって、みなさんの癖が強かったです🤤 個人的に特に優秀賞作品が全て好みでした。
そして、やはり「自分はこれが、こういうのが好きなんだ!」というのがひしひしと伝わってきました。第二回に向けてとても参考になり、そして自信も失いかけています(笑 それくらいすごい作品群だった、ということです。
🌸作品の感想
順不同
対談、挿画、書評等については感想を割愛。
「絵かきのリュカとまほうのつえ」 カイシトモヤ/著
エッセイとありましたが、童話のようなお話。かと思いきや、現代のAI問題を彷彿させる。少々ネタバレになりますが、最後は自分の糧にしてしまうところに皮肉が効いていて好きです☺️こういうお話大好き。
「現の夜、夢の朝」 梧桐輝/著
時代ものかな?と思って読み始めたら、一気にファンタジーになって世界がブワッと広がった。世界観が好きです。
「光源」 岡本真帆/著
短歌連作。テーマ夜に沿って何気ない日常を切り取った短歌で、それぞれ光景を脳内再生して繋げていくと面白い。 「灯る」から始まって「消灯」で終わるところが好き。
「とろけたクリーム」 綾坂キョウ/著
厳しい母とその息子の思い出を描く。死してその人柄を知るのは私も経験があり共感する人多そう。私くらいの年代だと母視点でも息子視点でも読める。最後の1行に母親へのいろんな感情が込められててちょっと優越感なのが好き。
「ナイト・バーズ」 伊波真人/著
短歌連作。シティホテルで夜を過ごす男の時間を描いた作品。多分作品の本質はそこじゃないんだろうけどお腹が空いてきそうで好き。
「うきうきキノコ帝国」 マルクス・ホセ・アウレリャノ・シノケス/著
大賞作品。これでもかと言うくらい地の文で説明してくる。私がSFに深くないからだろうけど、これは読むのが難しかった。だけどこの独特な世界観がすごく好きで、これ本当はきっと1万5千字で収まる内容じゃないよね。
最終選考が……熱い!!(オンライン座談会)
すごい接戦だったんだなぁとわかります。最終選考作品の講評とかなぜそれを選んだとか逆にこれはどうなのかな? と裏話が全部載ってるんですよ……コンテスト厨の皆さん……見たくないですか、これ?
いやこれ見ちゃうと自分自信なくなるんですけどw
いやあ、このレベルの文章書けないと最終通らないってことっすよね、これ。
いやぁ怖い怖い🤤
来年に向けてどうしましょうねぇ。文芸っぽい文体の人はぜひ挑戦してみてほしいな。
「巡礼者《ペレグリヌス》たち」 百百百百/著
地軸が傾いて昼と夜の真っ二つな世界ができてしまったSF。極寒の夜の世界から聖域を目指す女性二人のお話だけど、厳しい世界に優しい世界はなかった…(泣 2025の予言とか彷彿させるの好き。
用水路/オレノグラフティ著
エッセイ。タイトルの通り用水路の思い出。子供の頃に用水路を秘密基地とか、わかるー!と思いながら読んだ。そんなワクワクな用水路も、夜になると恐怖の対象。いろいろと共感。
***
さて、ここまで読んで、ふと気づきました。
私、読むのが遅いのでこのままだと、
いつまで経っても受賞作に辿り着かない(笑
まだ大賞作品しか読んでない。
ここで、受賞作から読むことにしました。
***
「こはねに勝てないなら死ぬ」 岩月すみか/著
優秀賞作品。キャバ嬢の嫉妬を描いた作品。決して新しい話ではないんだけど、なんだろう…キャラ文芸としてめっちゃ秀逸な気がして「好きぃ…」ってなる。優秀賞なの納得。めっちゃ好きぃ…
「ツー・ミッドナイト・ノブレス」 蛙鳴未明/著
優秀賞。最後まで読んでようやくタイトルの意味がわかった。とても不思議な世界観、嫌いじゃない。ストーカーと化した宇宙王子からの逃亡劇、爽快。意図せず結婚してたこと、双方が割と納得してて、さらっとしてて好き。
「私たちの月の家」 咲川音/著
優秀賞。ファンタジーかと思いきや生々しくリアル。女子高生と家庭不和。共感できる人も多いのではないだろうか。親友の存在が本当に救い。彼女たちには幸せになってもらいたい。読みやすくて好き。
「椿桃、永遠に」 伊藤なむあひ/著
優秀賞。椿桃と書いてネクタ。審査員の方も言ってたけど一言で言うと「なんだこれぇぇ」です。すごく独特な世界観。でも引き摺り込まれて一気読みしてしまった。これはいい。好き。多分本気で感想書いたら140字じゃ収まらんやつ。文芸だからこその。大賞候補だったのも頷けます。
「月が落ちてくる」 辻内みさと/著
佳作。これぇ…これで佳作ぅ…🤤
とても官能的で情景描写が凄まじい。だんだんと真相に近づいていくにつれて登場人物全てが狂っていることに気付かされる。性癖ブッ刺されたので5回くらい読みました…おにいさま…。
「神と夜明け」 山川陽実子/著
佳作。人と文明が歩んできた道を古代ファンタジーに描かれた作品。うまく言えないのですが、人が時代を生きていく上で避けられない争いはこのように起こるのだなぁ…と。
「まゆどじょう」 佐藤龍一クライマー/著
佳作。寺の奥様視点で語られるのですが、本当にまゆどじょうってなんなんだ、と最初から最後まで考えさせられた。もしかしたら訪ねてきた学生さんもまゆどじょうだったのではと錯覚させられた(笑
「猫が飛んだ夜」 右城穂薫/著
佳作。小学生の主人公が母親に親戚の家へ連れてこられて、ああ、こういう感じわかるなぁと。洋子が弟が亡くなって「これからは帰りを待たなくていい」というのが印象的で、彼女はそれから自由になれたのだろうか。
「夜が冷たく忍びよる」 えきすときお/著
佳作。夜を恐れて常に移動し続ける昼族のお話。昼族すごいな(笑) しかし実際の夜は…。昼と夜が「共存」というよりも結局のところ夜に魅せられた感じですね。いい意味で。
「夜を駆けない」 中靍水雲/著
短歌連作。これは事故に遭って亡くなられた方の想い…か、残された方の想い…だろうかと勝手に解釈。「有効期限の切れたスタンプ」がとても好き。
「黒い鳥」 輝井永澄/著
夜の繁華街、昼のオフィス。夜は闇や裏の世界を表し、昼は規則「正しい」世界。そんな世界がある時からぐるんとひっくり返ったような気がする。私観ですが。あとおしり。
「明日にのぞむ夜」 蒼山皆水/著
青春! とても青春。とあることから学校へ行けなくなった主人公。生徒思いの先生と、同級生。他愛のない話をして、明日にのぞむ。タイトルがとても好きです!
「さっきまでの話」 初谷むい/著
短歌連作。別れの歌だけど、ぴかぴかと光るとても夜のネオンが綺麗な感じ。ほんもののさよなら。ふたりはどこへ行くのだろう。
「この夜を焚べる」 小谷杏子/著
とても色香のある話……と思いきや、サスペンスなお話でした。同僚の男が妻を◯害し、車で遺体を乗せながら走っているところへ主人公と偶然会い、共犯の道へ…しっとりとしたヒューマンドラマでした。
「匂いの夜」 犬怪寅日子/著
エッセイ。子供の頃に神奈川から香川へ帰る時の、ワクワクな特別な時間。車で帰る時は眠ってしまうのに、フェリーを使う時は夜でも煌びやかな空間があって。それでも海は暗くて怖い。
「四季の歌」 青松輝/著
短歌連作。夏から始まる四季の歌。短歌は難しいけれど、春が見えないのは何か意味があるのかもしれない。四つの季節のうち三つは冬。というフレーズが印象的。
これで全てに感想をつけたかと思うのですが、抜けがあったら申し訳ありません。
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