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四季折々の俳句 27
「 ちいさき春 」
子どもらのあかるき声が春を呼ぶ
たびの空春へつづきてはるかさよ
鶴舞つて空うつくしくなりにけり
落ちるなよ赤いちりんの寒つばき
さい果てに海鳴りやまぬ雪見かな
雪いつか雨にかはりてはかなさよ
生きてゆくからだはたけば冬の塵
なかなかにとけぬ空家の根雪かな
ひとり寝のあかりをけして冬終る
舞ひ落ちてことごとく花ぼたん雪
☆
灯ひとつともしてねむる吹雪の夜
煎りあげしせつぶん豆の黄金いろ
よろこびをもうひとつぶや福の豆
立春ときつぱり告げしこよみかな
顔あげて今日より春のひざしかな
早梅のおもひあまつてひらきけり
人といふちひさき春のゆく野かな
いちりんの梅匂ひたつ日なたかな
白魚のいのちの透けてゐたりけり
歌好きもしばし黙つてうぐひす餅
☆
日本が目をさましゆく春あかつき
ひととして見あげてゐたり凧の空
恋猫のしあはせさうにうたふ夜や
目ひらきてふるさとおもふ春の闇
真紅とはいのちのいろか牡丹の芽
情熱のあかくふきだす薔薇の芽よ
吹くひとのこころのかたち石鹸玉
やどかりやみなみの島の海は瑠璃
野のかぜにふかれてだれも春の草
どこまでも行ける自転車春のかぜ