現代語俳句への旅 13
「 地球ひとつぶ 」
~現代語俳句集~
大ぞらを引っぱりつつよ林檎もぐ
林檎もぐ空からあたえられるまま
ひとり立つ大きな秋のまんなかに
気がとおくなるまで嶺は秋澄んで
きつつきにこころが遠くなるよ山
こだまして啄木鳥の山しんしんと
ひとすじにこころのおくへ紅葉川
神戸という銀河今宵もきららかに
顔あげてじんるいがまた月へゆく
古酒くんでこよい人生とおく澄む
◇
大横綱なんどころんできたことか
平和とはしずかなことか銀杏散る
子らのせた旅客機に秋たかくあれ
ずっしりとあきのそらとぶ熱気球
かがやいて地球ひとつぶつゆの玉
海もまた露のひかりのまぶしさよ
胡桃割る夜のしずけさを味わうか
城下町きょうもがやがや新とうふ
へいわな世鹿の角切り見にゆくか
くじらゆくはてない海の淋しさよ