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四季折々の俳句 8
「 梅雨 」
町ぢゆうをいやさんとして大き虹
熱々の蕎麦をすすらん梅雨に入る
遠き日のわかれをおもふ梅雨の雷
逢ひたさのつのるばかりよ蛍の夜
なつの灯やふたりでつくる親子丼
寝ころびてまことすずしき畳かな
わらひつつ逃げまはる児の洗ひ髪
魂のひかりだすまでシャワー浴ぶ
天そばにこころは晴れて梅雨かな
貴族にはあらねど紅きゼリー食ふ
*
太陽をひとつもぎとるトマトかな
スサノオかヤマトタケルか雲の峰
晴れぞらへ背すぢのばして花菖蒲
いつ見てもうしろ姿のかきつばた
かがやいて白きのれんの鮓屋かな
飯どきのあかりに照りていなり鮓
ひとくちの幸をいただくにぎり鮓
見渡してふたたびは来ぬ鮓屋かな
ガラス器に真珠びかりのしら玉よ
ともかくも今にかんぱい生ビール
*
見るひとの心にも咲くあやめかな
あじさゐの青きたましひ描く画家
歳月を追うてすすむかかたつむり
子どもらのまんなかに母涼しさよ
太陽をまぶしんで飲むラムネかな
空をさすゆびより翔てりてんと虫
玉ねぎもうまいぢやないか牛丼屋
のびをしてながむる富士は五月晴
見わたして終ゆる今年の田植かな
とほき日とかはらぬ声の河鹿かな
路地奥へ冷しラーメン食ひに行こ