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四季折々の俳句 28
「 帰る鳥 」
春障子こころもろともひらきけり
さきがけて空に響かすうぐひす笛
おほいなるフェリーの汽笛雪の港
背中押すバレンタインの日の風よ
揚りゆきそれつきりなる雲雀かな
勿忘草わすれたころに咲きにけり
誰しもがいつぺんの雲のどかなり
のり巻いておむすびといふ母の愛
子どもらへわらひて母は春の風邪
日だまりに寝ころぶここち春炬燵
☆
馬鹿らしくなりてわらへり花粉症
たびびとのゆくへは知らず春の雲
はつ恋をおもひださせよさくら貝
真向かうてちからをもらふ春夕焼
があがあといのちをうたふ蛙かな
鳴きなきて夜をふかくする蛙かな
耳ばかりうごいてをりぬこたつ猫
尾を立てて日なたあるくよ春の猫
どの雲も富士へながれる春野かな
帰る鳥とほくに富士の見ゆるなり