四季折々の俳句 6
「 オアシス 」
子つばめに明るき空のありにけり
壜ふれば青き波ゆれオーデコロン
香水のかすかなひかり身にまとふ
かきこんでちからをもらふ冷し汁
植つけしここに根を張る早苗かな
ほたるかごといふしづかな小宇宙
ゆく雲に乗つたここちよ籐寝椅子
はためくは冷やし中華ののぼり旗
雲の峰ひとつがお前ひとつがわれ
*
鳴るなかにしんとをりけり風鈴売
遥かなる隠岐を見てたつ日傘かな
いのちあるかぎり海亀およぎけり
オアシスをさがすや暑き街のなか
すねしひとくちとがらせて苺食ふ
灯のかずのもの語りあり梅雨の街
誉め言葉まいにちかけて薔薇大輪
いちりんをもらつて去るか薔薇園
おほぞらにくづれては湧く雲の峰