四季折々の俳句 11
「 うなぎ屋 」
夕焼けて平和なせかいおもひけり
大とんびたかだかと舞ひ梅雨明か
たくさんの薔薇咲せたき地球かな
手にとりし人にもつとも薔薇匂ふ
おのが息とほくきこゆる昼寝かな
よろこびをぎつしりつめて冷蔵庫
歯を立てて光しぶけるトマトかな
うけとりしそよかぜ暑中見舞かな
画用紙を黄でぬりつぶす向日葵畑
いつぴきのありが真向かふ大自然
うでくんで昭和のをとこ大暑かな
背ただして昭和のをんな大暑かな
茄子漬けにまづ箸のゆく齢ならん
子どもにもなやみあれこれ夕涼み
天からのおくりものなる夕立かな
うなばらをあらつてゆくか大夕立
手にさげし江戸風鈴のきららかや
まつり笛足もはづんでゐたりけり
子供らにゆめ売つてゐる夜店かな
星ぞらへこころひらきて涼しさよ
うなぎ屋にとんと縁なき土用かな
きららかにときながれけり川遊び
をとこの児あつけらかんと裸かな
朝顔のふはりと割れしふた葉かな
たましひに火がつきにけり草相撲
ひとり食ふものがなしさよ大西瓜
阿波踊ひと夜ふた夜とつづきけり
手花火はたましひ照しゐたりけり
ふるさとはとほくてちかし天の川
街ぢゆうの灯がまたたきて大銀河