現代語俳句への旅 14
「 じんるいの旅 」
~現代語俳句集~
かお上げてじんるいの旅あきの雲
菊いちりんしなやかに耐え嵐あと
秋神輿ゆくときこの世かがやかよ
後の月ほほえむひとであってこそ
ぬくめ酒酔ってひかりの世界へと
応援団長天よりたかいこえをだせ
あきの雲旅はなににもこだわらず
台風がもっとも泣いているそらよ
つくだけでこころあたたか秋灯よ
あおぎみる誰もが月へみちびかれ
◇
空よりもしずかに銀杏散ることよ
身にしみる大きな空のさびしさが
大学生活銀杏となって散るだけか
サラリーマン仰いだ空へ小鳥とぶ
聴きにきた京のしずかさ秋のこえ
今年酒酔えばこんなにあたたかな
未来へとひろがる香り柚子しぼる
目がさめて家郷消えゆく秋のゆめ
ぽっつりと家あらわれる秋の灯よ
ふるさとがだだあるだけで冬暖か